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人権委の野宿者人権勧告... 人権団体「何もしないのが最善」

『飲酒禁止区域-指定病院制定』、むしろ野宿者追い出す

ソン・ジフン記者 2013.02.06 14:12

国家人権委員会が「野宿者の住居、健康権を保証しろ」と各広域地方自治体と 政府部署に『野宿者人権改善政策勧告』を発表した。しかし人権委のこの勧告 は、むしろ野宿者の人権状況を後退させるという憂慮が提起されている。しか も今回の政策勧告は、昨年1月、人権委全員会議で否決された政策勧告案の後続 措置だという点で、野宿者人権に対する人権委の視点がますます後退している という指摘もある。

国家人権委は2月5日、野宿者人権改善政策勧告を発表し、「〈野宿者人権状況 実態調査〉を実施した。その結果、野宿者の住居、雇用、医療および野宿者に 対する認識に関する政策の改善が必要だと判断した」と明らかにした。人権委 は、各広域地方自治体に「野宿者の飲酒行為は、指定された場所ですることを 推奨するなど、無分別な飲酒行為を指導する方案を用意して施行」しろと勧告 した。保健福祉部にも「国公立病院などがない地域は、民間医療機関を『野宿 者指定病院』として運営」しろと勧告した。

しかし、当の野宿者と人権団体は人権委勧告が「野宿者人権状況を改善せず、 むしろ野宿者の統制に使われる」と憂慮した。『ソウル駅野宿者強制退去方針 撤回/公共駅舎ホームレス支援対策用意のための共同対策委員会』(ソウル駅共 対委)は6日に声明を発表し、「人権委の勧告は、野宿者に対する管理と集団的 差別を要求した」と批判した。

人権委が地方自治体に勧告したいわゆる『飲酒禁止区域』は、「酒を飲む野宿 者により野宿者のイメージが悪くなるので酒を飲む姿を隠せと勧告するもの」 と主張した。また「ソウル駅で追い出されたばかりか、今はもうひとつのゲッ トーを作り、野宿者を閉じ込めようとしている」と明らかにした。

鉄道安全法を根拠としたソウル駅野宿者退去措置、地下鉄駅舎通路深夜時間の 閉鎖、ソウル市の野宿自律禁止区域指定など、ソウル駅夜間野宿禁止措置の後、 野宿者たちは身動きできる範囲がきわめて狭くなった。最近では地方自治体ご とに公園、停留場などを『飲酒清浄地域』に指定する条例が続々と制定されて いる。ソウル市では12区で『飲酒清浄地域』を置く条例が制定された。ソウル 駅共対委は、今回の人権委勧告が、全国的な『野宿禁止区域』の大量指定につ ながる可能性が高いと展望した。

ソウル駅共対委は「野宿はアルコール中毒という原因で発生する現象ではない」 と指摘した。野宿者のアルコール依存指向は、野宿長期化による副作用だとい う。共対委は野宿者のアルコール依存対策は、中毒疾患治療のための医療支援 体系を強め、地域基盤アルコール疾患管理対策(アルコール相談センターの拡大 設置など)を誘導する方向で作れと主張した。人権委勧告も治療リハビリ対策の 不十分を指摘し、それに対処する方向でなければならないということだ。

ホームレス行動のイ・ドンヒョン活動家は「公式に野宿者の飲酒を認める場所 がない状況で、駅周辺などに飲酒禁止区域を具体的に設定すれば、地方自治体 は野宿禁止区域として受け止めるほかはない」と指摘した。

人権委の政策勧告はこの他にも「野宿者の人権状況をきちんと認知せず実効性 のない方案だけを出している」という批判も受けた。

人権委が野宿者医療権を保障するとし、保健福祉部に野宿者指定病院を運営し ろという勧告も、まさに野宿者には「どうでもいい措置」だ。野宿者指定病院 は、国公立病院で主に3次医療機関だ。野宿者にとってはとても接近性が低い。 また、野宿者が指定病院を利用するには『野宿者1種医療給与資格』を取得しな ければならない。野宿者1種資格を得るためには3か月以上施設に入所しなけれ ばならず、健康保険料が6か月以上滞納されていなければならない。しかも野宿 者1種の資格を受けると保険証に野宿者と表示される。社会的烙印に対する恐れ で、野宿者はほとんど野宿者医療給与1種を取得しない。

国土海洋部への勧告も、野宿者の人権状況とはかけ離れている。人権委は国土 海洋部に対し、野宿者住居対策を要求して「小規模世帯の供給以外に家族単位 の野宿者の要求が反映された住居も供給」しろと勧告した。しかし、家族単位 ではなく独身で生活することが多い野宿者には、適切ではない対策だという。 イ・ドンヒョン活動家によれば、家族単位賃貸住宅は、野宿者はその賃貸料を 負担できない。まさに野宿者に必要な住居権対策は、一人世帯賃貸住宅の拡大 だが、人権委の勧告はそれとは全く違う方向だという指摘だ。政府が提供した 2012年の住居ぜい弱階層のための賃貸住宅では、一人世帯はたった36世帯だっ た。それも12世帯は既存の賃貸住宅賃借人が入居し、まさに一人世帯住居ぜい 弱階層が入居した実例は24世帯しかなかった。

▲2012年1月、国家人権委全員委員会は「野宿者人権改善のための政策勧告」を否決した[出処:ビーマイナー]

イ・ドンヒョン活動家は「役にも立たないどうでもいい政策勧告がむしろ状況 を悪化させる」という憂慮を隠さなかった。彼は続いて「人権委が昨年、政策 勧告を否決したことに対する後続対策とやらが、野宿者の強制退去させる補完 勢力の役割になっている」と批判した。

ソウル駅共対委も「昨年、ソウル駅夜間野宿行為禁止措置再検討勧告が否決さ れた後、人権的価値の実現はむしろ人権委と反目するようなもの」と人権委を 詰問した。共対委は続いて「野宿者に関心を持たず沈黙することが人権意識を 失った現人権委が野宿者にできる最上の善意」だと明らかにした。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


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