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「社長が悪くても、われわれはここで働きます」

移住労働者の事業場移動制限は強制労働の原因

ユン・ジヨン記者 2010.08.17 16:40

京畿道金浦市の家具工場で働くビルマの労働者M氏。木材をプレスに上げたり降 ろしたりする仕事を繰り返しているうちに首と腕が我慢できないほど痛み、病 院を訪ねた。病院は精密検査を受け、MRI撮影をしなければというが、35万ウォ ンという費用で諦めた。M氏は会社に戻り、からだが痛いといったが社長は仕事 をしなければ月給を払わないと言う。特にM氏の会社は義務的に加入すべき 移住労働者に対する健康保険に加入していなかった。

社長に勧められてM氏は管轄雇用支援センターを訪ね、診断書を見せて事業場の 変更を要求した。だが雇用支援センターは事業場移動の理由ではないとして、 『韓国に来ていくらも経たないのに、つらいからと事業場を変えるのでは、こ こで働けるのか』という訓戒をならべるだけだった。その間、会社は雇用支援 センターに勤労契約解約申告を、出入国管理事務所には離脱申告をした。雇用 支援センターの職員は仕方ないと言い、会社で仕事を続けるか、本国に帰るか の選択を強要した。結局M氏は会社に戻るしかなかった。

移住労働者の雇用許可制が施行されて6年。雇用許可制が縛る移住労働者の事業 場移動制限は、彼らを相変らず苦境に追いやっている。

特に3回までと定められた移動回数制限と、事業場移動の主務機関である雇用労 働センターの事業主への肩入れは、移住労働者たちに劣悪な労働環境から抜け 出せないような鎖をはめる。

「なぜわれわれはつらくても事業場を変えられないのでしょう」

移住人権連帯が7月12日から8月7日まで、雇用許可制で働く移住労働者を対象に アンケート調査を実施した結果、調査対象者149人のうち事業場移動を経験した 移住労働者は113人で、全体の75.8%を占めていた。

事業場を変更した理由は『仕事がとてもつらい』が19.7%で最も多く、『もっと 良い条件の事業場に移りたい』が14.2%でその次を占めた。また『賃金不払いな どの勤労基準法違反』という理由が13.3%でその後に続き、『疾病や傷害など、 仕事での困難』、『契約期間満了』、『事業場と寄宿舎などの環境が劣悪』と いう回答も多かった。

だが移住労働者にとって事業場の変更は越え難い難関だった。事業場変更の過 程が容易だと答えた移住労働者は10.1%にすぎず、49.6%の移住労働者は事業場 変更の過程は難しいと答えた。

[出処:チャムセサン資料写真]

事業場変更過程が難しい理由は『通訳の不在』と共に、最高3回の移動回数制限 とビザ別の就職業種制限をあげた。また移住労働者の35.5%は事業場移動を望ん だが失敗した経験があり、失敗の原因には『会社が同意しないため』という回 答が29.5%を占めた。

事業場移動に失敗した移住労働者の55.3%は『我慢して働く』ことが明らかにな り、無断離脱による未登録労働者になるケースも10.5%に達した。結局、事業場 の移動制限で未登録労働者になれば、摘発と追放で『法律違反者』に追いやら れている状況だ。

雇用支援センター、「事業主の判断をまず尊重する」

こうした状況でも事業場移動の主務機関である雇用支援センターは、問題解決 に大きな役割を果たせない。事業場移動過程で移住労働者は雇用支援センター などの公共機関の助けより、個人的なネットワークや移住労働者支援団体などの 助けを受けていたためだ。

実際に事業場移動過程で支援を受けたところは『自国同僚や知り合い』が 44.7%で最も多く、『移住労働者支援団体』が31.7%でそれに続いた。雇用支援 センターなどの公共機関の支援を受けたという回答は12.9%に過ぎなかった。

移住労働者が雇用支援センターに支援を受けられない理由は、雇用支援センター が基本的に事業主の立場で事を処理するためだった。

ベトナムの女性労働者N氏は食品会社で働き、凍傷にかかって業務配置を変更し たが、相変らず作業場は寒いところで業務もさらに難しくなった。だが業者変 更を要求するN氏に対し、雇用支援センターは「業務が変わったので大きな問題 がないのではないか」とし「事業主の判断をまず尊重するほかはない」と話した。

事業場変更過程での問題も存在する。雇用許可制での事業場変更は勤労契約の 解約後、労働者が1か月以内に他の事業場に求職申請をしなければならず、これ を履行しなければ本国に帰国しなければならない。だがこうした過程をよく知 らない事業主や労働者は変更手続きをしないことが多く、移住労働者だけが不 利益を受けていた。

ウズベキスタン人のH氏も社長が勤労契約解約申告をした後、H氏に通知せず、 未登録滞留者になった。パキスタンの労働者A氏は社長の話でH業者でJ業者に事 業体を変更することにしたが、事業主は『よく知らなかった』とし、雇用支援 センターに業者変更をしなかったと言う。

結局、社長とJ氏は共に雇用支援センターに行ったが格別な方法はなく、社長は 「君はもう不法なので帰れ」と無責任な反応を見せた。結局J氏は不法滞留者の 身分になって、強制追放の対象になった。

事業場移動制限、移住労働者強制労働の原因

移住人権連帯は8月17日午前、光化門政府総合庁舎の前で記者会見をして、移住 労働者の労働権を侵害している事業場移動制限の撤廃を要求した。

アシアウイチャンのパク・ヨンウォン事務局長は、「事業場移動制限は、強制 労働の側面を内包する」とし「月給がなく、肉体的、精神的に問題があっても 会社をやめる権利を持てないのは明らかな強制労働」と断言した。

移住労組のミッシェル委員長もまた「未払い賃金、セクハラ、労災、虐待など にあっても社長が許可しなければ事業場を移動できず、移住労働者は逃げなけ ればならない」と説明した。続いて「移住労働者が逃げればその瞬間から未登 録移住労働者というレッテルが張られ、摘発追放で苦しむ」と付け加えた。

結局、事業場移動制限という政府の政策が事業場から逃げる未登録労働者を量 産し、政府は再び彼らを摘発するという慢性的な反復が形成されている。

これに対して移住人権連帯は「雇用許可制はこの6年間、事業主の権限を拡大す るばかりで、労働者の労働権は縮小するか元の場所をぐるぐる回るようにした」 とし「こうした状況を根本的に解決する方法は、雇用許可制事業場移動制限を 全面的に撤廃すること」と主張した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-08-18 19:05:27 / Last modified on 2010-08-18 19:05:29 Copyright: Default

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