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[論評]移住労働者の集団死、予告された構造的殺人

認識転換と根本的防止対策だけが再発を防ぐ

チャムセサン/ 2007年02月12日12時05分

大韓民国は再び移住労働者を殺した。日曜日の朝に伝えられた移住労働者9人 死亡、18人重傷の知らせは、韓国の社会構成員の胸に刃を突き立てる事件だっ た。ハン・ミョンスク副総理は、徹底した原因の調査と再発防止対策を指示し、 ハンナラ党のカン・ジェソプ代表も国家的威信がかかった重大な事案だとして 徹底した捜査と事故原因の糾明、再発防止策の用意を強調した。国政と政党の 責任者としてできる慣行的なコメントだが、どれほどまともな再発防止対策が 出されるのか見守りたい。

移住労組によれば、順天支庁長が記者ブリーフィングの時は放火の直接的証拠 が発見されていないと発表したと言われる。ところが多くのマスコミは、放火 かどうかに報道の比重をおいている。放火かどうかは、事故原因のごく一部に 過ぎない。したがって放火かどうかで、移住労働者個人の放火の可能性を大き く扱う報道は、事件の本質を隠す保守言論の典型的な報道姿勢でしかない。事 件の直接の発端である原因は、火災発生時に待避できる最小限の安全装置がな く、スプリンクラーが設置されておらず、大量に有毒ガスを発生する施設など、 保護所の環境そのものが火災以前に無防備状態だった点だ。さらに法務部は、 惨事現場に対策委団体の訪問と真相調査団の参加要求、生存者へのインタビュー などを拒否したと言われ、事件隠蔽の疑いさえ提起されている実情だ。

これだけではない。惨事原因のさらに根本的な問題は別にある。多くの死傷者 を発生した今回の事件は、明らかに現政権の移住労働者政策そのものが呼んだ 予告された悲劇だ。したがって、政府が移住労働者に対する発想の根本的な転 換をしなければ、問題解決の糸口を見つけることができないだろう。手続きに よる原因糾明や施設補完といったいいかげんな再発防止対策で移住労働者問題 に接近するのであれば、遠からず今回よりはるかに大きな不幸を招くだろう。

弟の証言によれば、死亡したキム・ソンナム氏は未払い賃金を受け取るために 20日間保護所にいたという。滞留変更のために法務部に行き、その場で逮捕さ れたことが、こうした途方もない悲劇につながったのだ。働いていた所では、 未払いの賃金支給を先送りし、保護所は火災にもかかわらず、職員は扉を開か なかったという。こうしたケースは、単にキム・ソンナム氏だけではないだろ う。韓国に足をつけて暮す移住労働者の誰が低賃金長時間労働と未払い賃金、 強制拘禁と摘発追放から自由だろうか。

大韓民国は現行の入国規約を破った移住労働者を犯罪者として取り扱っている。 移住労働者が現行出入国行政に反したという点はもちろん法律違反でありうる。 しかし移住労働者はしばらくの間、韓国社会に働きに来た隣人である。長時間 労働とつらい仕事で、明らかに韓国社会の構成員として、市民としての資格を 持つ人々だ。しかし現実には、移住労働者は犯罪者と変わらない処遇を受けて いる。単に未登録だという理由で移住労働者は四六時中、摘発の恐怖におびえ、 労働権・生活権の常時的な威嚇に耐えなければならず、取り締まられると監獄 と違わない劣悪な保護施設での拘禁と反人権的な弾圧、そして強制追放につな がる措置を受けなければならない。構造的に法律違反を誘導し、犯罪者に追い やり、移住労働者の労働力を管理する資本と政府の移住労働者政策そのものを 変えない再発防止対策とは、結局臨時の方便に過ぎないだろう。

周知のように、麗水出入国管理事務所の火災事件は反人権的な摘発追放という 企画によって行われた殺人だ。大韓民国は、盧武鉉政府は資本の要求によって 移住民の労働力を管理するだけに神経を尖らせ、彼らが韓国の社会構成員とし て差別されず、市民としての権利と義務を果たすことに対する配慮をおろそか にした。移住労働者は滞留資格の有無とは無関係に、内国人と同等の権利を保 証されなければならない。真の再発防止対策は、殺人を呼ぶ強制追放政策中断 と、出入国閉鎖、未登録移住労働者の全面合法化、移住労働者労組活動および 政治活動の保障などについて即刻措置を取ることだ。今回は、本当に再発防止 対策という名にふさわしい措置が取られることを望む。それだけが18人の死傷 者の胸にささった刃、その胸がつぶれるような怒りと悲しみを少しでも拭うも のになるだろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2007-02-13 03:48:28 / Last modified on 2007-02-13 03:48:29 Copyright: Default

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