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LNJ Logo アリさんマークの引越社「追い出し部屋」訴訟原告意見陳述と 記者会見動画
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プレカリアートユニオンの清水直子です。

温かいご支援をいただき、有り難うございます。 株式会社引越社関東で働く組合員の懲戒解雇が撤回され、今日から職場復帰を果 たしました。しかし、懲戒解雇後に張り出した名誉毀損の貼り紙が増えている有 様でした。就労環境を整え、元の職場に戻れるよう、引き続き闘います。抗議行 動の様子は改めてお知らせいたします。 先日、9月30日には、東京地方裁判所で、組合加入後の不当配転をめぐる裁判 の第1回期日があり、組合員本人が意見陳述を行いました。 記者会見の動画、各メディアの報道、原告組合員の意見陳述をお送りします。 引き続きご支援のほど、どうかよろしくお願いいたします。 裁判後の記者会見動画 https://www.youtube.com/watch?v=QD-MWTKVGt8&feature=youtu.be 中傷ポスター掲示→懲戒解雇は「名誉毀損」 2015年9月30日 18:23 http://www.news24.jp/articles/2015/09/30/07311067.html 一日中立つ「シュレッダー係」に異動、「アリさんマークの引越社」訴えた裁判始まる 弁護士ドットコム 2015年09月30日 17時57分 http://www.bengo4.com/roudou/n_3757/ アリさんマークの引越社を社員が損害賠償求め提訴 日刊スポーツ 10月1日(木)10時16分配信 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151001-00000061-nksports-soci もっとしっかり働ける環境を〜引越社従業員 日本テレビ系(NNN) 10月1日(木)2時5分配信 http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20151001-00000005-nnn-soci 解雇理由を「罪状」と掲示 「アリさんマークの引越社」 朝日新聞 2015年10月1日05時00分 http://www.asahi.com/articles/DA3S11992369.html 引っ越し業訴訟:損賠求めた訴え、解雇の男性追加 /東京 毎日新聞 2015年10月01日 地方版 http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20151001ddlk13040173000c.html 意見陳述書 平成27年9月30日 東京地方裁判所民事第36部F係 御中 原告 第1 入社の経緯 私は、被告、株式会社引越社関東に、2011年1月4日に入社しました。引越業界が未 経験だった私には、「自分の努力次第で、管理職にもなれる」といううたい文句が魅力的 でした。 入社にあたり、当時の世田谷支店の支店長から、「土地を持っている保証人が必要だ」と 言われました。面接後、詳しい説明もないまま、「決まりだから」として、十数種類に及 ぶ書類にとにかくサインをするように言われ、書類は全てその場で回収され、一切写しは もらえませんでした。 第2 入社してから営業専任職として働いていた頃までの労務実態 世田谷支店に配属後、一ヶ月間は運転をしないアルバイトと同じような立場で助手として 働き、身体中がアザだらけになりながらも引越し作業を行っていました。 その後、一年間はセールスドライバーとしてトラックの運転にも従事し、2トン車、3ト ン車、4トン車を運転する社内試験にも合格し、大型トラックの運転を任されるようにな りました。 入社一年半後には、支店のドライバーたちをまとめる整備長となり、当時世田谷支店は関 東グループで1位を獲得しました。 しかし、この頃は、毎朝7時に出勤し、休憩も取れないまま、1日に2回から3回の引越 しをこなし、支店に戻った後も、引越作業の片付けや明日の引越準備を行っていました。 支店長からは、支店に戻ったら直ぐにタイムカードを打つよう指示されており、残業代は 支払われませんでした。2トン車を運転するようになってからは、営業の仕事も並行して 行っており、夜の9時、10時まで、1日12時間以上働くことが当たり前でした。 第3 配車事務として働いていた頃の労務実態 その後、営業専任を経て、支店の管理職である配車事務に就きました。支店長に次ぐ管理 職の立場となり、ドライバーたちを指導しました。 しかし、支店管理職は、朝6時半までに出社し、鍵を開けなければならず、また、夜はド ライバーたちが全員帰宅した後、鍵を閉めてからでないと、退社できませんでした。 求人広告には月10日の休日があると書かれていましたが、実際は、月2〜3日しか休め ないこともあり、労働時間が月393時間以上に及んだこともありました。それでも、残 業代は支払われませんでした。帰宅後は、食事中に気を失うように眠ってしまい、夜中に 妻から起こされることがしばしばありました。また、タイムカード上は、終業から翌日の 始業まで8時間の休息時間を確保しているように偽装していましたが、実際は、全く守ら れていませんでした。 第4 長時間労働による生活の崩壊 入社してからの約3年、あまりの長時間労働のために新婚生活もまともに送れませんでし た。そのため、妻を精神的に追い詰めてしまい、離婚の危機に直面しました。労働環境を 変えるため、2014年、羽田支店に異動となり本部付けの営業専任となりました。その 結果、関東で5位以内を2度、さらに、太田支店に合併後の12月には関東全社で1位を 取ることが出来ました。 しかしながら、このときも、残業代は支払われていませんでした。 第5 被告の弁償金制度の仕組みと労働組合加入までの経緯 被告では、本来、引越事業を営んでいる会社が負うべき経営上のリスクを従業員に負わせ ています。仕事中の荷物破損や車両事故の弁償代を従業員の給与から天引きしたり、高額 の借金として負わせるという弁償システムが横行しています。長時間労働のせいで、注意 力が落ち、事故を起こしてしまうと、弁償金返済のために給与が減り、無理をして長時間 労働に追いやられるという悪循環に陥っています。これを被告従業員は、「アリ地獄」と 呼んでいます。 退職してからも弁償金を返還している元従業員が数多くいます。返還が滞ると、保証人に 支払い督促がいくため、家族や親戚に迷惑をかけたくないからとやむを得ず払い続けてい ます。 私は、八王子支店に営業専任として勤務中の2015年1月12日に、営業車を運転中、 車両事故を起こしてしまいました。当時、自宅からの直行・直帰が認められていましたが 、それは、営業が終わった頃には支店が閉まっているためです。直行・直帰できていても 、月の労働時間は300時間近かったと思います。 この事故について、被告から、「お前が起こした事故だ。誰が悪いんだ。」と責められ、 「損害額がいくらになるか分からないが、とりあえず48万円払え。」と命じられました 。そして、実態のない社員会である「引越社友の会」から、48万を借金させられ、その 48万円を被告に支払い、毎月の給与から1万円ずつ天引きされるようになりました。 このような被告の労働条件に疑問を持っていた妻が、『週刊ポスト』の2015年2月2 0日号で、被告の弁償金制度の実態に関する記事を目にしました。私が陥っている「アリ 地獄」そのままの状況が報告されていました。 記事に掲載されていた労働組合のプレカリアートユニオンに相談すると、弁償金は払う必 要がないものだと教えられました。長時間労働で生かさず殺さず、ものを考えないように 管理されていた私の思考が、動き出した瞬間でした。 2015年3月3日に、ユニオンに加入して被告に通告し、同じように苦しんでいる従業 員の労働環境を良くしたいという思いで、立ち上がる決心をしました。 第6 団体交渉の申し入れ後、二度の不当な配転命令を受けたこと ユニオンに加入後、被告に対し、過去の未払い賃金の請求や弁償金の返還、荷物破損・車 両事故の弁償金制度の廃止などを求め、団体交渉を申し入れました。 すると、営業職から本部勤務のアポイント部へ配転させられ、給与は半減しました。被告 は、これで私が退職すると思っていたのではないでしょうか。 しかし、私はアポイント部でも頑張り、1時間当たりのアポ獲得件数は部内で2位の成績 を上げました。 しかし、体調を崩して遅刻をした次の出勤日に、シュレッダー係へと配転させられました 。シュレッダー作業のみを行う係りです。さらに、正社員の中で、私だけに見せしめのよ うにオレンジ色の長袖シャツを着るよう命じられました。 第7 本訴訟提起後、懲戒解雇され、罪状なる書面を拡散されたこと この不当な配転に対し、配転無効の確認を求めて、2015年7月31日に提訴しました 。 すると、8月11日の朝礼で、人事部係長から突然、前に来るよう呼び出されました。8 0人もの従業員の前で、懲戒解雇通知書を読み上げらました。「会社の名誉を害し、信用 を傷付け、会社に莫大な損害を与えた、この行為は就業規則に抵触する」と言われました 。その通知書は渡してもらえませんでした。 その後、別室で被告の中村本部長から、「会社に訴状を送りつけてきた」などと言われた ので、提訴したことへの意趣返しだと思いました。 その後、被告が主張する解雇理由を「罪状」などと記載し、私の氏名と顔写真入りで懲戒 解雇したことを知らせる紙を被告の全支店、さらにグループ会社の全支店にも貼り出され ました。そこには、「懲戒解雇されたら、一生を棒にふることになりますよ。」と脅すよ うなことが書かれています。同じものが、社内報にも掲載され、全社員の自宅に届けられ ました。 第8 最後に 被告は、従業員が労働法の知識を身につけ、当たり前の要求をすることを極端に恐れてい ます。だからこそ、ユニオンに加入して、交渉を申し入れた私に嫌がらせをして、他の従 業員が加入しないように、萎縮させているのです。 懲戒解雇無効の仮処分を申し立てたところ、被告は懲戒解雇を撤回し、10月1日から復 職するよう通知が届きました。明日から私は、復職します。 しかし、シュレッダー係りとしての復職を命じてきたのです。営業専任として好成績を挙 げていたにも関わらず、2回の不当配転をされ、給与も半減したままでは、生活もままな りません。 不利益取り扱いを受ける前の仕事と待遇に戻してもらわなければ、他の従業員も萎縮させ られたままになってしまいます。 今、プレカリアートユニオンの組合員が原告となって、弁償金の返還や残業代の支払いを 求める集団訴訟が、関東、中部、関西のグループ会社各社で次々と起こっています。 被告の前近代的な労務管理に声を挙げる人が、ようやく出てきたのです。これは会社がい い方向に変わるチャンスだと思います。 私は、従業員が、会社を愛し、誇りを持って、安心して働けるようになることを望んでい ます。そして、弁償金制度の廃止をはじめとする労働条件を改善すること、労使間の問題 を誠実な話し合いによって解決できるような、健全な労使関係を築けることを心から願っ ています。

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