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最高裁 大阪府の上告を棄却
混合組合は不当労働行為救済申立人適格有り

                大阪教育合同労組

「大阪教育合同労働組合が申し入れた2010年度及び2011年度講師雇用継続団交を、大 阪府・府教委が拒否したことは、不当労働行為である」と認定した中央労働委員会命 令の取り消しを求めて、大阪府が提起した行政訴訟に対する最高裁の決定が3月31日 に出た。最高裁は、大阪府・府教委の上告を棄却、上告受理申立を不受理にした。

本件の争点は、「混合組合である大阪教育合同労働組合は不当労働行為救済申立人適 格を有するのか」、また「講師雇用継続要求は義務的団交事項か」であった。これま で、混合組合の不当労働行為救済申立人適格については、裁判所及び労働委員会で見 解が分かれていたが、今回の最高裁で、長い闘いに決着が着いた。混合組合は、「労 働組合法適用者については労働組合法上の労働組合として」、「地方公務員法適用者 については地方公務員法上の職員団体として」、複合的性格をもって法律に保護され た団体交渉を行う権利を保障されるという判決が出たのである。

大阪府による大阪教育合同労働組合への団交拒否は、橋下徹前知事が就任した2008年 から始まった。大阪府・大阪市が大阪教育合同との団交を拒否している事件は本件以 外に11件あり、大阪府労委、中労委。大阪地裁、大阪高裁、東京高裁で係争中であ る。

松井一郎知事は、直ちに労働委員会命令を履行し、大阪教育合同労働組合に対して謝 罪すべきである。そして、大阪府・大阪市はすべての訴訟を取り下げ、労働組合敵視 政策を反省し、労使関係の正常化を行うべきである。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2015年4月1日

混合組合に関する最高裁決定についての声明

        大阪教育合同労働組合 執行委員長 酒井さとえ

昨日(3月 31日)、最高裁は 2014(平成 26)年(行ツ) 274号上告事件について棄却決定 ならびに 2014(平成 26)年(行ヒ) 287号上告受理申立事件について不受理決定を行った。

本件は、 2010年度及び 2011年度講師雇用継続団交を大阪府・府教委が拒否したことは不当 労働行為であると認定した中央労働委員会命令の取り消しを求めて、大阪府が提起した行政訴 訟に対する最高裁の決定である。本件は、中労委命令取消請求を東京地裁及び東京高裁におい て棄却されたため、 2014年3月に大阪府が上告及び上告受理申立を行っていたものである。

大阪府労働委員会、中労委、東京地裁、東京高裁における争点は、混合組合である当労組は 不当労働行為救済申立人適格を有するか、また講師雇用継続要求は義務的団交事項かであった。

申立人適格については、大阪府労委は当労組が 1992年に救済申立を行って以降 2009年まで 地方公務員法適用者が構成員の多数を占めると推測されるとの理由で、これを認めてこなかっ た。他方、中労委は、労働組合法適用者に関わることについて混合組合は構成員の量的割合に 関わりなく申立人適格を有するとの判断を行ってきた。この間、大阪地裁が 2001年に、大阪 高裁が 2002年に、当労組の申立人適格を否定して当時の大阪地労委命令を支持する判決を出 していた。

このように、混合組合の不当労働行為救済申立人適格については裁判所及び労働委員会で見 解が分かれていたが、今回の最高裁決定によってようやく決着がついた。すなわち、混合組合 は、労働組合法適用者については労働組合法上の労働組合として、地方公務員法適用者につい ては地方公務員法上の職員団体として、複合的性格をもって法律に保護された団体交渉を行う 権利を保障されるというものである。

今回の最高裁決定は、全国の地方自治体で急増する非常勤職員等が、同一の職場に働く一般 職員とともに団結することを推奨するものである。もはや一般職と特別職が、常勤と非常勤が、 正規と非正規がバラバラに団結する必要はなくなった。

あと一つの争点である雇用継続要求については、大阪府は臨時・非常勤講師は毎年新規任用 になるのであるから、労働組合との団交事項ではないとして団交を拒否したものである。この 主張は、橋下徹前知事が就任した 2008年に、従前の団交が違法であったとして言い始めたも のであった。しかし、今回の最高裁決定によって、中労委命令、東京地裁判決、東京高裁判決 が支持され、雇用継続要求は義務的団交事項であることが確定した。地方自治体は、非常勤職 員等の雇用(任用)継続を求める労働組合との団交を拒否できない。雇用(任用)を打ち切る 場合は、団交において解雇理由を説明して労働組合を説得することが求められる。公務員だか らということは理由にならない。

混合組合問題に関係して大阪府・大阪市が当労組との団交を拒否している事件は本件以外に 11件あり、大阪府労委、中労委、大阪地裁、大阪高裁、東京地裁で係属中である。その中には、 地方自治法に反して、大阪府議会の承認を経ないまま訴訟を提起した事件も数件含まれている。 今回の最高裁決定を受けて、大阪府及び大阪市はすべての訴訟を取り下げ、労働委員会命令を ただちに履行すべきである。大阪府・大阪市は労働組合敵視政策を反省し、労使関係の正常化 を行うべきである。

当労組は 1989年 11月に結成した、「教育現場の労働者が誰でも入れるみんなでつくる 教育合同」をスローガンとする混合組合である。「非正規公務員」や「官製ワーキングプア」な どといった言葉が登場する以前から、教育現場は多くの「非正規公務員」によって支えられ、 成り立っていたにも関わらず、権利や労働条件への取り組みが弱かったことへの決別から混合 組合という道を選択した。

今回の最高裁判決は、私たちが主張してきた「非正規公務員」の労働者としての権利を確固 たるものとした。大阪府は、公立学校で働く教職員は、地方公務員法により労組法の適用外で あるとの主張から 2010年より当労組との団体交渉を拒否してきた。しかし、いまや多くの公 立学校現場で様々な雇用形態の労働者が働いており、地方公務員法が適用されない特別職公務 員が多く存在している。彼らの労働者としての「権利」を認め、労働条件や次年度の雇用条件 についての団交を拒否した大阪府の違法性を認めた最高裁決定は、いま、日本中で権利を奪わ れ、「任用」という言葉でいいように使われている「非正規公務員」の問題を浮き彫りにし、新 たな権利獲得のたたかいを可能とする。

当労組は、今回の最高裁決定を受けて、非正規公務員と正規公務員がともに団結する混合組 合の発展強化にむけて奮闘することを誓うものである。

以上


Created by staff01. Last modified on 2015-04-02 21:04:25 Copyright: Default

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