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LNJ Logo 科学者は怒っている〜日本科学者会議東京支部大会の決意表明
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日本科学者会議東京支部大会の決意表明です。

科学者たちは一見冷静のように見えますが、その怒りのポテンシャルはたまりにたまっています。(疋田)

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「研究者、教育者の権利および地位の擁護のための決意表明」

 財界の意向を最優先とした、歴代政府・与党の「構造改革」路線にもとづく科学技術・教育行政の推進のもとで、
基盤的経費が削減されるとともに競争原理が持ち込まれ、日本の科学技術開発と教育は産業界に直結する方向へ大きく偏向し、企業の論理・管理運営方式の大学・研究機関・高等教育への適用がはかられている。

明らかな労働基準法違反、労働安全衛生法違反、就業条件の不明示の職場も生じている。 産業界からの軍需産業振興・軍事研究の露骨な要求も強まっている。

 これらと深いかかわりをもって、研究と教育の現場においては、国民生活全般の疲弊と同様に、危機的状態が深刻に進行している。理事長や学長・校長などによる専断的運営が強まり、「職場に憲法なし」と豪語して、労働者の基本的人権を無視してきた企業の論理が学園にも広がりつつあり、大学の自治、学問の自由、教育の自由を敵視して、これらを押しつぶす攻撃が加えられてきている。

大学間の競争と格差拡大をはかり、研究・教育には決してなじまない効率性の追求が強制されている。研究者・教育者の多忙化、疲労の蓄積、過労死、低賃金化、身分の不安定化がすすみ、くわえて管理強化と協力関係の分断の攻撃、正義と公平のために保障されなければならない諸権利の抑圧が強まっている。

多くの学術分野を支えているポスドク・非常勤研究者・教育者の研究・生活・権利状態は文化国家を名乗るに恥ずかしいほど深刻化し、学術の危機状態といっても過言ではない。

 こうした状況のもとで、研究者・教育者が労働組合に結集し、その条件のないところでは仲間をつくり、あるいは単独で、研究条件の確保と生活条件の改善を要求し、また学術研究のつり合いのとれた発展をめざして行動することは、当然の権利であり、社会進歩のための責務でもある。現在、多くの大学・研究機関で、企業よりの儲け本位の研究テーマの設定、一方的なテーマ変更・中断が研究者の意思を無視して強制されている。

とくに中小の学園では、経営の都合や経営者の恣意的人事により、意にそわないものに対する人格攻撃、報復的処分、解雇・雇い止めなどの攻撃がくり返されている。

 このような不合理を是正するために、裁判所において公正な判断を求めることは、法治国家での重要なたたかいでもあるが、最近注目すべきは、裁判所の判決内容が、たとえば埼玉女子短期大学衣川准教授不当解雇や都教育委員会による疋田教諭分限免職の判決にも見られるように、日本国憲法23条(学問の自由)、教育基本法第9条(教員)の精神をないがしろにし、あるいは無視していることである。

さらにはユネスコ勧告など国際的にも承認されている研究・教育に関する普遍的価値観、研究と教育という使命と職責の重要性、それにもとづく研究者・教育者の身分保障を少しも顧みていないことである。

また、過労死訴訟判決においては、専門職性におけるその労働の量的過重性(労働時間)と質的過重性の特殊性に関する無知ないしは無理解ははなはだしい。

 私たちは、上記事態に鑑み、平和と民主主義、学問の自由、教育の自由、大学の自治、 学術研究の総合的でつり合いのとれた発展、軍事研究および人々の生活に害ある研究の拒否、研究条件の確保と生活防衛、法治国家としての公正な裁判のために、研究者・教育者として人間らしく生きるための諸権利の擁護のために、諸団体・個人と連帯し、あらゆる機会をとらえて仲間をふやし、行動を強める決意を新たにするものである。
 
                           
2010年5月23日

日本科学者会議東京支部第44回大会

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