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おばさんを食わせるスーパー? スーパーを食わせるおばさんだ!

[戦う話(1)ホームプラス労働者]「生活にプラスになります」

蔚山ジャーナル 2014.09.05 22:57

いつからかわれわれは「私たち」がかなり豊かに暮らしていると考えるようになった。 生活は便利で豊かになった。 しかし洗練され、性能が良く、さらに大きくなったテレビのブラウン管の中には、 低賃金、雇用不足、非正規職という文句がぐるぐる回っている。 周辺を振り返れば自分のそばの誰かは前の半分の給料になり、雇用の不安に震え、仕事を見つけることができない。 あまりに当然なことは、雇用の不安。 私たちの暮らしは本当に豊かなのか? 私たちは何かを忘れて生きているのではないか? 「蔚山地域闘争事業場勝利のための共同闘争団」は、蔚山で間接雇用と雇用不安に正面から闘う人々の話を伝え、この問いの答えを探したい。 企画は(1)ホームプラス 、(2)蔚山科学大 、(3)現代重工社内下請支会 、(4)現代車非正規職支会 、(5)SKブロードバンド まで合計5回で進められる。

「スーパーが私達を食わせるって? 違うよ。 おばさんがスーパーを食わせて生かしているんだ。 最低賃金で、つらい仕事をして、家に帰る時は晩のおかずの材料を買っていくのだが、 スーパーでもらった月給をそのままスーパーにまた捧げる。 ある時はスーパーのためにに私が存在するのかと思ったりもする。」

大型スーパーは販売、計算だけでなく、陳列、包装など見えないことまで仕事が多い。 従事者はほとんどが40代、50代だ。 賃金と比べ、労働強度が高いので若い職員は多くない。 アルバイトをして入社した30代の職員を除けばほとんどがおばさん、おじさんだ。 彼らのすべての生活はスーパーにつながる。 職場がスーパーでもあるが、退勤後も休みの日も、買いものをするためにスーパーに来る。 スーパーはすでに私たちの生活と密接な空間だ。 おかずの材料を買いに行き、子供たちの学用品を買いにも行く。

ホームプラスの店の入口には「生活にプラスになります」という文句がある。 消費者が読めばそのとおりかもしれない。 ホームプラスは顧客に対し、ライバルのスーパーより高ければ差額をクーポンで支払い、 計算を間違えれば商品券を出して謝罪する。 生活の助けになるようだ。ホームプラスは労働者の人生にも助けになる企業だろうか。

表から見ればそうだ。 経歴断絶女性には再就職のために年間15兆ウォンの社会的費用がかかるこの頃、 スーパーほどおばさんが就職しやすい職場はない。 職員通路には包装破損や流通期限切れ近い商品を職員割引で売ったりもする。 スーパーで働くおばさんたちは「家で遊んでいるよりも出てきて働いて、友人ともつきあって、 職員割引で買い物をする面白味もある」と話す。 実状は、顧客に販売できない在庫商品処理に過ぎない。 スーパー職員のカード内訳を見ると、半分がスーパーで購入した内容だ。 スーパーの売り上げに与える職員の寄与度は高い。 スーパーでは職員を「内部顧客」とも呼ぶ。

ホームプラスは昨年10月に労働組合ができるまでの14年間、労組がなかった。 賃金交渉がないので職員の賃金は上がるどころか物価対応賃金上昇率はマイナスだった。 今年、労組と初めての賃金交渉に出たが、昨年より「時給を200ウォン上げる」が会社の立場だ。 来年の最低時給は今年の5210ウォンより370ウォン高い5580ウォンだ。 ホームプラス9年目の非正規職女性労働者の時給は5600ウォンだ。 生活賃金どころか、近い将来、最低賃金より低くなる状況だ。

200ウォンではガムも買えない! 全面ストライキ決意大会

ホームプラス労働組合が8月29日に全面ストライキ決意大会を開き、 3日間のストライキと不買運動を行った。 ホームプラス労組とホームプラス本社は4月から13回にわたり賃金交渉を行ったが、 立場の差を狭めることができなかった。 8月22日に賃金交渉が最終的に決裂し、ホームプラス労組は全面ストライキを決定した。 ソウル地域は永登浦・金川・合井・江東・月曲・江西の6店舗と、 京畿・江原・釜山・蔚山・大邱・慶南・全南など全国40余りの店舗の労働者が全面ストライキに参加した。

ホームプラス労組は 「秋夕を控えて一番忙しい週末にホームプラスの労働者たちが全面ストライキ闘争に立ち上がったのは、 数か月間の賃金交渉が最終的に決裂したため」とし 「『時給3区間縮小、5700ウォン(3.75%引上げ)』引上げ案を最終的に提示した後、 何の追加の提案もしない」と話した。 続いて「ホームプラスは時給が最低賃金引き上げ分(7.1%)程度は上げるべきで、 長期勤続者を現実的に待遇しなければならない」とし 「少なくとも勤続手当8年上限制をなくし、 流通業界の問題である感情労働の問題に対応して『感情手当て』の新設が必要だ」と付け加えた。

これについてホームプラスは、労組側の要求を受け入れられないという立場を明らかにした。 ホームプラスはほとんどの店舗で正常に営業した。 ストライキ参加数が多かった一部の店舗では、近くの店舗や本社から人員支援を受けた。 ホームプラス側は「互いに得ることなく、皆で共倒れだという労組の選択に強い憂慮と遺憾を表わし、 全面ストライキと積極的不買運動など、正当な争議行為の限界を逸脱した違法行為はそれに相応する法的責任を問う」と付け加えた。

蔚山でもホームプラス労組が南区ヤウム洞にあるホームプラス南区店の前で全面ストライキ決意大会を開いた。 この日のイベントは、ホームプラス組合員、民主労総、蔚山科学大学校清掃労働者、SKブロードバンド、アルバイト連帯をはじめ、 労働者の処遇改善を叫ぶ各事業場労働者が集まった。

ホームプラス労組は、消費者には景品詐欺、労働者には最低賃金を提供するホームプラスに社会的な責任を問い、不買運動を始めると明らかにした。 外で全面ストライキ決意大会が開かれている間、店舗の中は平和だった。 組合員はストライキに入っても、店舗は顧客のショッピングに不便なく運営されていた。 売り場で販売するキム・ソンジャ(52、女、仮名)氏は 「私はここの職員ではなく業者から来た人なので不平を言えないが、 スーパーは月給も少なく待遇も良くない。 姉さんたちがストをするというから、普段なら事務室に座っていた貴族までみんな出てきて計算して物の陳列をする」と話した。

ホームプラス労組のイ・ウンジョン事務長は 「労組加入率が全国は10%なのに、蔚山は50%だ。 加入率は高いが組合員はほとんど非正規職だけだ」と話す。 ホームプラス労組蔚山本部は昨年10月16日に発足した。

ストライキに参加した組合員は、ほとんどが非正規職だ。 40〜50代の主婦社員がほとんどで、レジにキャッシャーとして働く20、30代も一部いる。 普段なら、休憩室に集まってコーヒー一杯の余裕を楽しむ時間、彼らは固い歩道のブロックの上に集まって座り「ホームプラス糾弾」と叫んでいた。 イ・ウンジョン事務長は 「私はホームプラスが好きで、ホームプラスで働いていることを誇りと感じます。 しかしホームプラスは顧客を景品詐欺で騙し、 労組とは賃金交渉に不誠実な姿勢で臨んだので全面ストライキで労組の意志を見せたい」とストライキをする理由を説明した。

ストライキ参加者のパク某氏(45、入社3年目)は 「売り上げ10兆ウォンを越えるホームプラスが労働者に払う400ウォンが惜しいのか」と非難した。

ホームプラスは会社ができて15年目に初めての賃金交渉を開いたが、 労組に提示した時給引上げ案は「200ウォン」だった。 労組は「400ウォン」の値上げを要求したが受け入れられなかった。 年間売り上げ10兆ウォン台で、流通業界の売り上げ2位の企業であるホームプラスで働く職員の月給は100万ウォンにもならない。 9年目の労働者の月給は時給5600ウォンで、一か月136.3時間働いて102万ウォンを受け取る。 ここから四大保険を除き、手取りは90万3180ウォンだ。 時給が最低時給に近いうえ、0.5時間制のために実際の月給はさらに少ない。 高校生が2014年の最低時給5210ウォンで週5日、8時間勤務をしても100万320ウォンだ。 9年働いても特に差はない。

ホームプラス労組のソン・サンヒ蔚山本部長は 「ホームプラスは7.5、6.5、5.5時間で契約するので、月の賃金は最低賃金で8時間働いた人より低い」と話した。 ソン氏は「ホームプラスは売り上げが同じような他のスーパーより勤務者数が少なく、 労働強度が高いが、職員をあまり取らず忙しい時は食事する時間もなく働かせ、 客が少ない日には早期退勤をさせるなどの不安定な雇用形態を見せている」と明らかにした。 名節のように仕事が多い時は延長手当てもなく延長勤務をさせ、 ひどい場合は出勤して連続30時間以上働くこともある。

2007年から2012年までの営業利益が73.8%、 売り上げが54.5%成長する間、非正規職女性労働者の時給は18.1%上がっただけで、 物価上昇率対応実質賃金引上げ率は凍結に近いか、削減される時もあった。 ホームプラス役員4人の年俸は100億だ。

顧客は王で、われわれは奴隷なのか

賃金だけの問題ではない。 スーパー従事者の劣悪な勤務条件と感情労働問題は、 すでに社会的問題に浮上している。

イ・ウンジョン事務長は 「われわれは顧客に頬を打たれ、ひざまずいて祈りながら働いても、 会社は私たちを保護してくれない」とし 「われわれは保護を受けたいし、働いただけの代価を受けたいだけ」と強調した。 スーパー職員の処遇改善は簡単には変わらない。 顧客がサービス職従事者に対する認識が低く、 企業は顧客の顔色を伺うが職員のことは顧みない。

処遇改善の難航で「立って働く労働者に椅子を支給しよう」というキャンペーンの失敗を思い出す。 産業安全保健基準に関する規則第9章80条によれば 「事業主は立って働きつづける勤労者が作業中に時々座れる機会があれば、 該当勤労者が利用できるように椅子を備えておかなければならない」と規定している。 政府も2008年から着実にキャンペーンを行い、 大型スーパーのレジに椅子が置かれようになったが 「キャッシャーが生意気に座って顧客に応対する」という顧客の不満が高まり、 こっそりと椅子を片づけたり、椅子をおいたまま立って働いている。 レジの職員は労働界と政府部署の努力にもかかわらず、 「椅子キャンペーン」が失敗した理由は企業の消極的な態度のためだと評価する。

ホームプラス非正規職のパク・ナギョン氏(28、2年目)は 「会社は顧客のコンプレイン(不平)を無条件に受け入れ、 職員には無条件の親切だけを要求する。 一度は品物の計算をしなかった顧客に『計算してください』といったところ、 顧客が『計算しようとしたのにうっかりしたのに、そんなに大きく話せば私が泥棒のように見られる』と怒り、 副店長と共に謝罪をしなければならなかった」。 パク氏はレジで一番年齢が若い。 パク氏が若いのでぞんざいな言葉を使う客も多い。 「私は職場で働いており、外に出れば私も成人で社会人だ。 人格的に侮辱をあたえる言葉遣いはしないでほしい」と伝えた。

われわれはスーパー職員です。違いますか?

ホームプラス職員は自分がスーパー職員なのかどうか、わからなくなることが多い。 特に正規職と非正規職は、他の会社ほどの違いがある。 匿名の非組合員L氏は 「スーパーの職員なら、それだけの待遇をして、 スーパーの職員でないのなら今のようにこき使わないでほしい」と不平を打ち明けた。 入社して5年のL氏はホームプラスに入社し、社内恋愛をしている。 「結婚を迷っている。(未来の)新郎は正規職になるため休みの日も出てきて働き、 代理がするべきことも引き受けている。 新郎が正規職になっても二人の月給では家も買えない。 近い将来離職するか、スーパーをやめてカフェやファミリーレストランで働かなければならないかもしれない。」

釜山で働くホームプラス正規職のキム・スギョン(52、入社4年目、労組未加入)氏は 「午前の時間に家事ができ、スーパーで勤務してもますます休む日が多くなり、 勤務時間が短くなって、生活費の助けにならない。 交通費と食費まで考えれば、いっそ家で休んだほうがましだ」と話した。 キム氏は二か月前、一般レジからセルフレジに移動した。 機械をうまく扱えず、1か月教育を受け続けて、休みの日も出て行って練習をした。 キム氏は「年齢がいってから新しいことを学ぶのも大変だったし、 セルフレジ利用顧客の目標値を決められ、ストレスが激しくて脱毛もできた」と語った。 上司は休みの日も返却して練習するキム氏に悪態も浴びせた。 セルフレジは少量購買客の便宜のために作られたが、会社では忙しい時にレジ職員を増やす代わりにセルフレジの利用を増やすつもりだ。 高速道路でプリペイドカードの利用を推奨するように、長期的にセルフレジを増やして職員数を減らす計画だ。 スーパーはキム氏に一日に必ず顧客1000人以上がセルフレジを利用するように命じた。

ホームプラス、韓国社会の一こま

ホームプラス労組の発足がきっかけになって、流通業界に小さくても変化が起きることを望む。 ホームプラスだけが悪い奴で、他のスーパーは法をきちんと守り、職員の待遇がいいかといえばそうではない。 どこかのスーパーでは、正職員には食券を出し、非正規職は弁当を買って食べる。 そして仕事はさらに多くさせる。 消費者もスーパー職員への認識を変えるべきだ。 大型スーパー1店舗で働く職員が500人程度なら、そのうち正規職は100人ほどだ。 200人はスーパー非正規職、200人は協力業者雇用非正規職だ。 スーパーはサービス教育時間に強要する。 「皆さん個人がスーパーの顔であり、社長です」。 そしてスーパーのイメージのためにサービスを強要する。無償で。

あなたはスーパーで探している品物がない時に、誰に聞きますか? 恐らく、はしごに上がって、品物を並べている男性アルバイトか、 ギョーザを作っている販促職員、菓子を陳列しているおばさん職員だろう。 このうち誰がスーパーの職員なのだろうか? 誰でもない。 自分の仕事も多く、ご飯も食べられない職員が不親切だったと不平を言うのではなく、 このスーパーはなぜ正職員をたくさん置いていないのかと建議しなければならない。

スーパーは不法な雇用形態で多くの職員を率いているように見える倉庫でしかない。 スーパーの割引イベント、クーポン、謝恩品は、 製品を納品する業者が出すのであって、この価格はそのまま消費者に添加される。 その上、レジで計算を間違えると商品券を渡すシステムも、 スーパーではなくキャッシャーが商品券を買って渡さなければならない。 十ウォン玉一枚つ使わず他人の職員を働かせ、 自分の職員には400ウォンを払うことを惜しむ大型スーパーが、どれほど成長するのか見守りたい。

付記
この記事は蔚山ジャーナルにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接書いた文に限り同時掲載を許容します。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-09-07 17:32:09 / Last modified on 2014-09-23 22:46:37 Copyright: Default

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