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「韓進重工業、父を殺し、息子も整理解雇」

[インタビュー]労働者は整理解雇を、資本家は富と権力を相続する

パク・ウォンジョン記者 2011.08.05 10:23

名誉退職すれば契約職として雇用を保障する

キム・ジュイク、クァク・ジェギュ二人の労働者を死に追いやった韓進重工業 の構造調整の真っ最中だった2003年、会社の名誉退職の圧力に苦しむ49歳の 労働者、キム・チュンボン氏がいた。26才で入社し、二人の子供を育てながら 23年の歳月を韓進重工業で働いてきた彼は、もう出勤するなという会社の強要を 受け入れなかった。

そんな彼に対し、会社管理者は名誉退職しても嘱託契約職で働けるようにして やると提案した。そして工場が稼動する限り、定年までキム氏の雇用を保障す るとも言った。

葛藤したキム氏は、不安だったが結局会社の話を信じてしまった。

「2002年と2003年、二回苦しんで、名誉退職勧告を受け入れた。その当時管理 部長キムOO、労務次長イOOの二人が私に何度も勧告した... 私は、この現場で 作業中に足に怪我をして10か月、病院生活をした。その後、労働部から9級の 労災等級を受けた。会社の労務チームが私にこんな提案があった。労災補償より 名誉退職をして、少し金額は低いが、馬山工場を運営するまで嘱託勤務をすると いい、私に薦めた。私もずいぶん考えた末に嘱託勤務をすることにして名誉退職 した」。(故キム・チュンボン氏の遺書より)

信じるべきでなかった

嘱託契約満了日に行われた葬式

キム氏があれほど固く信じていた会社の約束は守られなかった。1年経った 2004年、韓進重工業は彼がしていた仕事を外注化する計画を進め、後でこれを 知ったキム氏は、雇用し続けるという約束を守るよう要請したが、韓進重工業は 冷たく背を向けた。

「絶対に出られない。いっそここで死ぬと何度も話して... 要請もして、哀願 もしたが、すべて無駄だった」。

「24年間この会社のため、からだと青春を捧げたが、何の成果もなくこうして 追い出される。誰を恨みも嫌いもできないが、私をこうした人を本当に殺した い。金がなく無力な人はみんなこうしてもいいのか」。(故キム・チュンボン氏 の遺書より)

21日間、家にも帰れず工場で食べて眠り、座り込みをしたキム氏は、12月27日 の朝、塗装工場階段の欄干で首を吊ったまま発見された。そして、嘱託職契約 満了日の12月31日に行われた葬式を最後に、50才の命を終えた。

「こうでもしなければ会社はわからないのか... 今外では非正規職撤廃を叫ん でいる。ぜひそれが実現するよう、切に望む。そうすれば私のような人も人間 扱いされる... 韓進重工業でも非正規職が死んだことを知れば、現在働いている 非正規職には良い待遇をしてくれるだろう」。(故キム・チュンボン氏の遺書より)

▲キム・チュンボン氏は非正規職で雇用を保障すると言っていた会社を信じていたが、その約束は守られず結局自ら首を吊って死んだ。故キム・チュンボン氏と彼の遺書。[出処:民主労総]

『造船所で技術でも磨けば後で食えるようになる』

構造調整による名誉退職、非正規職として再入社、解約そして死につながる お父さんの運命が、今度はその息子のキム・ジフン氏(31歳)にまで手を伸ばした。

夜間高校に通っていたジフン氏は、お父さんのキム・チュンボン氏の勧誘で、 高校1年の時から造船所の下請業者に就職して働いてきた。お父さんのキム氏は 息子に、どうせ夜に学校を行くのだから昼には『造船所に通いながら、技術でも 磨けば後で食えるのではないか』という考えであった。

「お父さんは、初め韓進重工業馬山工場(前コリアタゴマ)で働いていたが、 一日14時間働いて土曜日曜もなく働いていたが、そうして手に握る月給では 四人家族の生活は難しかったようです。それで小さかった時、お母さんが 屋台をしていました」。

その時から韓進、大宇、サムスンなどの大グループ造船所の下請業者を転々と した息子ジフン氏は、お父さんの死で、2005年韓進重工業に正規職で入社した。

「お父さんが名誉退職をしたのも、その後に非正規職として働いてきたことも、 すべてお父さんが亡くなってから知りました。お父さんが家族に何も言わなかっ たので... そうして突然のことで、どう葬式をしたのかも記憶がありません」。

「お母さんは『お父さんを殺した会社になぜ君まで行くのか。別のところで働 けばいいのに、なぜ、わざわざ韓進重工業に入るのか』と激しく反対されまし たが、下請業者ばかりを転々とし続けた私には、どうしても安定した正規職が 良く思えたので入りました」。

相続される造船所労働者の生と整理解雇

「労働者をクビにできず、こんなに焦る会社」

お父さんに続いて造船所労働者として生きてきたジフン氏は25才だった時、お 父さんが通った韓進重工業に入社したが、6年後に彼に訪れたのは再び整理解雇 だった。結局二人の親子は造船所労働者の生と会社の整理解雇を相続したわけだ。

違う点があるとすれば、お父さんのキム氏は会社の構造調整で名誉退職をした 後、非正規職として暮らしたが、息子のジフン氏は会社の強要と圧迫にも希望 退職をせず、整理解雇撤回のたたかいをしていることだ。

「初めには腹立ちまぎれに辞めようかと思ったのですが... 85号クレーンに人 がいるのに、なぜ私たちが希望退職書がかけるでしょうか。そしてお父さんも 構造調整で亡くなり... お父さんも殺して私も整理解雇する韓進重工業がとて も気分が悪かったです」。

「チョ・ナモは経営者ではありません。経営をするのなら、工場で働くすべて の労働者も共に考えなければならないのに、ただ自分の利益しか考えません。 1回、2回でもなく、数年周期で労働者をクビにし続けることができず、こうし て焦る会社がいったいどこにあるのでしょう。いくら資本主義国でも、これは ひどいです。財閥国でもないのに... 会社が難しければ、役員も賃金カットし、 経営正常化をするべきでしょう。そうするべきなのに受注はせず、逆に配当金 祭りで役員の年俸を億単位で上げてやるなんて話になりますか? 受注できなかっ たというのなら、では労働者が飛び回って受注を取ってこいというのですか? チョ・ナモ会長の息子がすべきことをしないのに、労働者だけ死ねというのは 道理に合いません。それではまったく私たちの労働者に報告経営をしろという ことでしょう...」

『彼らには私たちが、どれほどこっけいで不思議だったでしょうか』

韓進グループの趙重勲前会長は、長男(チョ・ヤンホ)に大韓航空と韓進グループを、 次男(チョ・ナモ)に韓進重工業と建設部門を、三男(チョ・スホ)に海運業(韓進海運) を、末っ子(チョ・ガンホ)には金融業(メリッツ証券)全てを譲った。そして次男 のチョ・ナモ会長の息子(チョ・ウォングク、33歳)は現在韓進重工業常務である。

解雇はダメだと言って200日以上、85号クレーンにいるキム・ジンスク氏は 2003年のキム・ジュイク氏の死を追慕しながら話した。

「いい父を持ったチョ・ヤンホ、チョ・ナモ、チョ・スホ、チョ・ガンホは、 生まれた時から会長、副会長で、跡継ぎになる国... 生まれた時からその順序 はすべて決まっている... 彼らから見れば、1か月100万ウォンを稼ぐため、息 もつけず、いつ爆発するかわからないタンクの中で虫けらのように這いまわる 私たちが、どれほどこっけいだったでしょう? 純利益数百億、株式さえ持って いれば数十億が自然に配当金として転がり込んでくるのに、2年分の賃金7万5千 ウォンを上げてくれとクレーンにまで上がったあの男がどれほど不思議だった でしょうか?」

そればかりか、ジフン氏は会社は整理解雇労働者の家に「『もし仕事が多くな り、人が足りなくなって新入社員を選んでも、あなた方は絶対に選ばない。 整理解雇は絶対撤回しないから希望退職をしろ』という内容の通信文を送った」 と言う。

▲インタビューの間中、ジフン氏は淡々としていたがしきりにタバコを吸っていた。

そうして韓進重工業は構造調整で死んでいったお父さんの造船所労働者の生と 解雇を、彼の息子に相続させた。この嘘のような現実に、ジフン氏は何の思い もないと言う。「誰が認めてくれるわけでもない... 考えてみても気分が悪い だけだ」ということだ。

『話してどうなる』と言いたかったのだろうか。相変らず思い出すのもつらい 記憶で、今も現在進行形のその現実がつらいのかという質問に、影島造船所前 の小さな路地に座った彼は、つまった胸をなで下ろすようにぎこちない微笑で 頭を下げた。

構造調整で非正規職になったが、そうでもして雇用を守ろうと思ったお父さん と、小さい時からお父さんの言葉の通り技術を身につけて食べようとした息子、 この親子の意地悪な運命がこうして代を継いで繰り返されていた。(記事提携= メディア忠清)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-08-07 00:50:04 / Last modified on 2011-08-07 00:50:10 Copyright: Default

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