韓国:双龍車破産論の真実 | |||||||
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双龍車破産議論の真実[寄稿]整理解雇無力化が優先する理由
ハン・ジウォン(労働者運動研究所(準))/
2009年07月30日14時07分
ストライキ70日で、双龍車労働組合と法定管理が交渉を再開した。だが今まで 見てきたように、使用者側は整理解雇受け入れという労働組合の白旗を望んで おり、交渉の妥結は容易ではないものと見られる。 このような中で双龍車約600の納品業者で構成された双竜自動車協力会債権団 (以下協力会)は、7月末までに労使の合意ができなければ法院に破産申請をする とし、労働組合を圧迫している。協力会の主張は、破産により不良資産を切り 捨て、優良資産だけを残してニュー双龍車を作ろうということだが、協力会は ニュー双龍車ができれば自分たちの債権2600億ウォンも出資転換(債権を株式に 転換する出資)すると明らかにした。米国政府が今年初めから推進したGMの構造 調整戦略を模倣したのだ。 協力会の主張のように、破産以後、ニュー双龍車を作ることが可能なら、資本 としては構造調整に大きく弾みがつけられる。何より破産と同時にすべての雇 用契約が解約されるので雇用調整が容易になる。上海自動車をはじめとする既 存の株主の株式償却も、特別な措置なく実現し、不良資産だけを分離できるこ とも便利だ。すなわち構造調整の制約条件のかなりの数が消える。 ではなぜ今まで構造調整の側面でこれほど便利な破産手続きが行われなかった のか。協力会の主張のように、ニュー双竜が可能なら、なぜ政府の意志を代弁 する法定管理人は労組ストライキ開始から現在まで破産を全く考慮していない と話しているのだろうか。 その理由は、破産が経済的妥当性から出た提案ではなく、労働組合を脅迫する 目的で急造されたからだ。また、政府が政治的に破産よりも、少しでも企業を 維持することを望んでいるためだ。この理由についてもう少し詳しく見よう。 破産後のニュー双竜建設の非現実性 法定管理中、債権団はいつでも法院に破産を申請できる。法院は申請人の理由 を調べ、法定管理を続けるかどうかを決める。債権団が破産を申請するのは非 常にめずらしいが、製造業企業では破産時に残る資産が工場の敷地と機械設備 だけだからだ。もちろん、企業がつぶれればその価値は高いはずがない。した がって破産時に債権団はほとんどの債権を回収できないのが一般的だ。 ところが、場合によっては米国のGMのように、戦略的手段として破産を選ぶこ ともできる。企業を生かすことはできても、不良部分があまりに大きく、会社 全体が生きるのが負担になった時に使用する方法だ。当時、GMは20吸う年間で 買収合併した自動車会社を含み12を越えるブランドを保有していたが、3つから 5つのブランドを除けば何年間も赤字を逃れられられなかった。GMが持つ半分以 上の事業部門を整理する計画の一つとして破産を選択し、破産企業(オールド GM)がニューGMに優良資産だけを売却し、オールドGMは残る不良事業を売却清算 する役割を果たすのだ。 ところが双龍車の場合は、GMのように分離して切り捨てる不良事業はあまりな い。ブランドもひとつで、生産モデルも多くない。工場がいくつもあるわけで もない。言い換えれば、GMのように切り捨てる不良部分はあまりないというこ とだ。GMとは全く違う形態の単一生産企業である双竜自動車は、上海自動車の 投資放置により企業全体が不健全化したため、破産による利益もあまり存在し ない。 またGMは、政府の確固たる再生の意志により20兆ウォン以上の公的資金が破産 前に投入され、その後も20兆以上の政府支援が約束されている状況だったが、 韓国政府は双竜自動車が法定管理に入って2か月たっても具体的な支援の約束は 何もなく、ただ公権力投入の時期だけを見ている。双龍車の場合、破産後の過 程を統制して市場に企業回復の信頼を与えられるようなリーダーシップも存在 しないということだ。 そして現在の双龍車の債務状況もまた、協力会の主張の現実性を落とす。協力 会は、双龍車に約2670億の債権を持っている。これは、産業銀行の双龍車への 貸し出し金2380億よりも大きい額だ。金額だけを見れば協力会が最大の債権者 だ。だが、協力会が所有する債権は、破産の過程で何の影響力もない債権だ。 まず、双龍車の最大の資産である平沢工場は、産業銀行の貸し出しの担保になっ ている。破産時には担保が先に返済され、その後、各種の賃金債権をはじめと する公益債権が返済されるので、無担保債権として次の順位で返済される協力 会の債権は、事実上紙切れに過ぎない。むしろ5百億ウォン台(5月末)にのぼる 労働者の賃金債権よりも悪い債権だ。 要するに、協力会は双龍車に対して破産しろとか、するなという境遇でもなく、 実際双龍車が破産手続きに入れば、双龍車は新しい双龍車として出直すのでは なく、清算される可能性がさらに高まる。彼らの意図はニュー双竜戦略ではな く労働組合のストライキを終息させる脅迫だ。労働組合の解雇撤回要求を無力 化し、いわゆる生きている者と呼ばれる非解雇労働者をさらにストライキ破壊 現場に追いやるためのずる賢い術策である。 買収対象者なしでは破産させられない 一方、政府の関心は双龍車の破産かどうかではない。今でも法定管理人を通し て直間接的に双龍車を統制しており、もし破産しても産業銀行が平沢工場を所 有することになるので、双龍車介入では大差がない。 当初から双龍車を現在のような形態で回復させることより、分離売却に関心が あった政府なので、破産するかどうかは経済的に大きな問題ではない。双龍車 の非解雇労働者と協力企業は、双龍車が以前の形態に戻ることを希望するだろ うが、李明博政権の意図は、初めから早期売却であり、買収者をはやく見つけ るために双龍車をスリムにすることだった。労働組合の占拠ストライキへの対 応でも、法定管理人と政府の意図は明確にあらわれた。法定管理人が占拠スト ライキにより生産に支障が出ても、教条的なほどに『解雇』に執着した理由は、 政府に重要なことは生産ではなく売却のための構造調整だったからだ。 だが問題は、世界的な経済危機の中で、政府の思い通りに買収対象者を探すこ とは容易でないということだ。その上、購買力がある中国の自動車会社はすで にGMのハマーを買収したことに続き、GMヨーロッパのオペル、フォードのボル ボを見て、ヨーロッパおよび米国市場進出に総力を尽している。そして、すで に双龍車渡り鳥議論に包まれ、また双龍車を買収するのも政治的に容易ではない。 したがって売却に関心がある政府が、こうした状況で双龍車を破産させるのは 双龍車の清算と同じだ。破産はただ売却あるいは分離売却の時に買収者が存在 する時のみ有効だからだ。全般的な産業関連効果、約20万にのぼる直間接的雇 用人口を考えると、双龍車を清算するのは政府には経済的にも政治的にも非常 に危険なことだ。 結局、核心的争点は双龍車破産ではなく労働権保護 以上で見たように、政府は双龍車を破産させることもできず、それでも回復さ せる意志もない。政府の意図は買収対象者を探し、組織縮小を続けて売却しや すい形に双龍車を構造調整することだ。一時、英国自動車の象徴だったロー バー・グループがまさにこのような経路を踏んだ。70年代中後半の経済危機で 国営化されたローバー・グループは、その後の構造調整と分離売却によりドイ ツのBMWに、米国のフォードに、インドのタタ・グループに、最後には中国の上 海自動車に売却された。70年代に12万いた労働者は、最後は2万人も残っていな かった。親企業、市場万能主義を信念とする李明博政権が、双龍車をどう処理 するかはあまりにも明らかだ。 したがって今、整理解雇を認めるかどうかは、双龍車労働者にとってとても重 要な事項だ。単に現在、解雇された労働者だけでなく、解雇されない4千の労働 者にも同じように重要な事項だ。現在しばらく『生きている者』でいられても、 結局は『死んだ者』になるのは明らかだからだ。また解雇後の優先採用、協力 業者での雇用転換など、解雇による副作用を減らす措置は、事実上全く効果が ないが、現政権の基調のもとでは双龍車の未来に人員が拡大すること、生産が 拡大することはないはずだからだ。 そして双龍車における解雇問題は、双龍車労働者だけの問題ではないという点 も忘れてはならない。現在の解雇事態はまさにGM大宇から現代起亜に至るまで、 長期間の生産削減が不可避な事業場での解雇問題とも密接に関連する。政府の 政治的な意志が含まれた双龍車ストライキの鎮圧は、他の自動車事業場の労働 者に送る一種の警告であり、逆に資本には解雇への自信を与える応援だ。 政府は現在、双龍車をこのままでは破産させられない。債権を持つ双龍車納品 企業のさしでがましい破産の要求は、労働組合への脅迫以上でも以下でもない。 売却・再売却の未来しかない双龍車で、今、労働組合と双龍車労働者に必要な のは整理解雇を実質的に無力化することしかない。全国的に襲い掛かる労働柔 軟化への戦いを準備しなければならない金属労組を始めとする韓国労働者運動 は、双龍車占拠ストライキを守らなければならない。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2009-08-01 09:22:49 / Last modified on 2009-08-01 09:22:50 Copyright: Default 世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ |