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セウォル号惨事456日、見えない被害者たちの記録

未収拾犠牲者および移住民犠牲者家族、トラック運転手、民間潜水士らの隠された苦痛

ユン・ジヨン記者 2015.07.15 14:35

「国民として、子供のお父さんとして、全てを失いました。 もうどうして生きていけばいいのか… セウォル号の引き揚げがなければ、韓国社会にはどんな人権も存在できません」。 456日間、セウォル号の中に閉じ込められているホ・ダユンさんのお父さん、ホ・フンファン氏は、 韓国社会に「人権」が本当に存在するのかと繰り返し問いかけた。 ホ氏だけではない。 犠牲者の遺族とまだ行方がわからない犠牲者の家族、 生存者、構造者など、セウォル号惨事で苦痛に苦しむ被害者たちは、 大韓民国に「人権」というものが存在するのかと尋ねる。

セウォル号惨事456日、見えない被害者らの記録

「416人権実態調査団」は7月15日午前11時、征東のフランシスコ会館で 「セウォル号惨事4.16人権実態調査報告書」を発表した。 報告書には、セウォル号惨事の後に放置されてきた表に出てこない被害者の記録が含まれていた。 何と7か月ほど珍島に留まって、家族の生死を確認した行方がわからない犠牲者の家族。 生きているという希望が「せめて一度顔を見たい」という期待に変わり、 今はそれさえもできなくなると「骨のかけらにでも触りたい」と言う。 彼らは捜索作業が長びくほど罪人にならなければならず、 すべての負担を抱え込まなければならなかった。

行方がわからない犠牲者の家族、クォン某氏は 「家族が捜索を終了させたくて終了したのではない」とし 「強制終了でも同じように捜索を終了するというが、 最後まで認めなければ死んだ人のために生きた人間が死んだという声を聞くかと思って、 そんな形で(捜索終了を)認めた」と吐露した。 政府は長期捜索の負担を行方がわからない犠牲者の家族に転嫁し、 セウォル号引き揚げの問題も「費用」の論理で接近して家族を圧迫した。 「税金泥棒」という言葉まであがり、家族を孤立に追い込んだ。

救助作業のために海に飛び込んだ民間潜水士も長い間、苦痛の中にいる。 捜索作業の責任者は海上警察だったが、政府はすべての危険な作業を民間潜水士に押し付けた。 安全装備も、医療支援もなかった。 民間の潜水士は精神的トラウマと肉体的な苦痛から抜け出せない。 その結果、セウォル号の救助に参加した25人の民間潜水士のうち7人が壊死などの病気で仕事を辞めた。 民間潜水士のキム某氏は「骨壊死は手術しかない。 100%の治療はできず、骨壊死の手術を受けると永久障害が残る」とし 「手術をしなければならないが、今国家は保留させている」と説明した。

骨壊死だけでなく、ディスク、皮膚病、潜水病、精神的トラウマなどの病気が重なっていった。 当初、政府は民間の潜水士に対して経済的損失と健康上の問題について支援すると約束していた。 だが約束は守られなかった。 法的根拠がないという理由だった。 民間潜水士のコン某氏は「知りながら入っても怖くなる。 遺体が損傷しないようにそんな人たちを分離して引き上げたが、そんな記憶が離れない」とし 「そんなことから来るトラウマがとても苦しい。 酒を飲んで解決するようなことでもない」と打ち明けた。 イ某氏は「またこんなことが起きてはいけないが、 またこんなことが起きても助けようとする人がいないのではないかと思うほど、とても失望した」と説明した。

移住民犠牲者の家族、生き残ったトラック運転手の隠れた苦痛

移住民の犠牲者の家族は一番孤立し、疎外された被害者だった。 一足遅く事故の情報に接した家族は、あらゆる情報から排除されたり疎外された。 政府は移住民の遺族が入国した最初の10日までは通訳を提供した。 移住民の遺族は言語の障壁により、不安に震えなければならなかった。 生計問題もどうすればいいのかわからない。 人権実態調査団は「ベトナム移住民の遺族の場合は、 政府から何の支援も受けられず、アルバイトをして生活費を稼がなければならなかった」とし 「肉体的や心理的な治療が必要な時も、自分で適当に解決しなければならなかった」と説明した。

補償金のために韓国に来たのではないかという視線もつらい。 移住民犠牲者の家族A氏は「韓国で一番悲しいのは、 他人が私たちの家庭は政府の支援でとても幸せに無事に過ごしていると考えること」とし 「実際には韓国政府からは何の関心も受けられない。 私たちはとても苦しい1年だった」と話した。

セウォル号から生還したトラックの運転手たちも「おとなの生存者」という罪悪感と精神的トラウマ、生計の問題などでまだ苦しんでいる。 報道機関と社会は子供たちをさしおいて生き残った「おとな」という罪悪感をかぶせた。 多ければ1か月300万ウォンほどを納入しなければならないトラックのローンはまだ何年も残っているが、 トラックはすでにセウォル号と一緒に海の中に沈んだ。 政府はトラックを購入する条件として追加融資を提供するという対策を出したが、 彼らはもうトラックのハンドルを握れなくなってしまった。

生存トラック運転手のB氏は 「生計のために10月にトラックの運転をしようとしたが、途中で諦めてまた安山のオンマウム・センターi行って治療を受けた」と説明した。 済州地域に住んでいるトラック運転手は京畿道安山に行ってトラウマ治療を受けなければならなかった。 済州市による交通費と宿泊費の支援はすでに切れてしまった。 B氏は「船が転覆する惨事の場面を思い出し、悪夢ばかり見て眠れず、 とても3日間ハンドルを握れなかった」とし 「トラックの運転は、もうできそうもない」と吐露した。

一方46人の人権活動家はこの5か月間で45人のセウォル号被害者と会い、インタビューをした。 彼らは報告書で「政府による差別的待遇と抑圧的状況は、 被害者が治癒され追慕と記憶の権利を持つ機会を剥奪した」とし 「1年を遥かに越えた今日、セウォル号惨事そのものが韓国社会の見えない人権侵害になってしまったのでないかと残念に思う」と明らかにした。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-07-18 01:27:55 / Last modified on 2015-07-18 01:27:56 Copyright: Default

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