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KTの大規模な構造調整は、冷酷なサムスン経営の始まりだ

[寄稿]「KTは死の企業」という汚名が再演されるか恐ろしい

チェ・グァンイル(希望連帯労組KTis支部 元事務局長) 2014.04.29 17:18

KT職員8350人が辞職した。 全体の25.6%が名誉退職を申請したのだ。 申請者の平均年齢は51歳、40代は31%にもなるので、働き盛りの歳で職場を辞めたわけだ。 今回の大規模構造調整の進行はとても暴力的だったと連日マスコミに上がった。 名誉退職とは言うが、整理解雇そのものだった。 黄昌圭(ファン・チャンギュ)会長は各種の横領、背任行為で会社を壊した前任の李錫采(イ・ソクチェ)会長の責任を問わず、不良を招いた李錫采(イ・ソクチェ)氏の核心追従勢力を追い出さず、これを踏み台にして政界と友好的な関係を維持しつつ押し付け人事とサムスン出身の要人を迎え入れ、組織を掌握して「経営刷新と一等企業を作ろう」という名で、サムスンの無労組経営をよどみなく演出している。 徹底的な成果主義体制で運営される企業文化に馴染んだ彼が、サムスン式の構造調整で職員を投げ出しているのだ。

今回の構造調整で毎年約7000億ウォンの人件費が節減される。 早期に成果をあげる避けられない手順だった。 KTの適正職員数を8000人以下と診断し、常時的な構造調整を断行して、今後は賃金削減、免職と退職などの整理解雇手段を活用するものと予想される。 こうした問題が発生するのを放置したのは、恥ずかしくも労働者の権益を代弁すべき第1労組の執行部だった。 いわゆる御用労組チョン・ユンモ執行部だ。 資本主義社会において、労働者が正当な権益を保証させる制度的装置が労働組合だ。 こうした団体が組合員の生存権を剥奪するにあたり、組合員の事前の同意を得ず、この不当性を訴える労働者を使用者と談合して会社の経営に不満を扇動したという理由で懲戒委に回付した。 KT労組の上級団体である韓国労総は、KT労組に補完措置を指示すべきで、これを履行しなければ論評でも出すべきだったが傍観した。 さらに二大労総の一つの民主労総がこうした御用労組の背信行為について論評をしなかったことも非常に遺憾だ。 二大労総は善意の競争を通じ、労働者の権益増進に努めなければならない。 それが労働組合本来の責任と義務だ。

KTは過去御用労組が出来てから、悲劇が始まった。 労働人権が軽視される大韓民国の現実で、御用労組が出来たために使用者側は絶対的な権力を自由にふるった。 KT労働人権センターによれば、2006年から2013年11月までに確認されただけで合計245人のKT労働者が死んだ。 前・現職職員、本社と系列会社の職員を含む集計の結果だ。 脳出血、心臓まひなどの突然死が70人、白血病を含む各種のガンによる死亡が102人、突然死と過労死だけでなく、自殺も18人だ。 多くの労働者が生計の圧迫、ストレスと鬱病に苦しんで自ら命を絶ち、過度な労働強度に苦しんで過労死、突然死で命を失った。 これは不道徳な企業と、これを保護する反労働・親企業国家権力による社会的殺人だ。 だからKTには「死の企業」という汚名がつけられ、大韓民国で一番労働者を困らせる企業になった。 双竜車と韓進重工の犠牲者とは次元が違う。 この二つの企業は経営上の危機により整理解雇が避けられずに発生した事故だった反面、KTはまともな会社なのに、労働者たちを困らせ犠牲にしたのは、非道徳的であり、違法だ。 KTは電話交換業務を担当していた女性労働者に電信柱に登らせるなど、あくどい「退出プログラム」で労働者を困らせ、結局解雇したが、彼女は長い苦痛を我慢して耐え抜いて、ついに裁判所の不当解雇の判決を受けた。 以前、電話交換員だったか技術者だった人々は、再教育をさせずに営業社員に転換し、実績を強要した。 飽和状態に達した通信市場で営業実績を上げるためには、やむを得ず自分の金を一気に注ぎこむ人も多かった。 国内のどの企業にもない悪名高いCP(C-Player)を作り、誤った経営に直言したり退職強要に対抗する職員を追い出すために、これをくるくる回して困らせ、これにより精神科の治療を受ける人もいた。

こうしたKTの反人権的労務管理に対し、何度も国政監査と多くの記者会見があったが、何も是正されなかった。 2011年11月7日の国会環境労働委国政監査で、洪永杓(ホン・ヨンピョ)民主党議員が「KTが過度な人員プログラムで人員を退出させ、自殺者が増えているなどの深刻な問題が発生している。特別監査の計画はあるか」と当時イ・チェピル雇用労働部長官に質問すると、 彼は「9月末にKTに関して勤労監督の要請が入ってきて、昨日から実施している」、 「すべての系列会社について聖域なく捜査して、調査の結果により厳重に処罰する」と答えた。 しかし結果は雇用労働部よりも企業寄りの検察が無嫌疑・不起訴処分をした。 そして2013年10月14日の国会環境労働委国政監査でセヌリ党の李宗勲(イ・ジョンフン)議員は、KTが甘言利説で子会社Ktisに転出させた労働者を整理解雇するために勤労契約を一方的に破棄し、KTとKtisが談合して20〜30代のコールセンター相談業務を強制的に50代中・後半の労働者にやらせ、賃金の半分以上を削減してコールセンターの該当勤労者に681ページの「生産性向上」と「業務要求」に関する警告状を出す苛虐的な人事管理に対し、房河男(パン・ハナム)雇用労働部長官に是正と対策を講じるよう質問すると、房長官は措置すると答えたが、やはり是正や対策は履行されなかった。 そして新政治連合の乙支路委員会がこの事件を解決するためにKTと交渉しているが、昨年9月から8か月経った今も、KTは信義誠実の原則に立脚して甲乙問題を円満に解決するという合意書に同意して、KTの旧態依然とした不誠実な姿勢のために現在まで、何も実績はない。 このように、政界は問題提起はしても成果のない龍頭蛇尾で終わる形なので、KTは堂々と法に反して、居直りの人権弾圧をしているのだ。

雇用労働部と言論、法曹界も労働者の権益保護に消極的・受動的で、企業側寄りだ。 雇用労働部は営利追求に血眼の企業が御用労組を形式的に作り、労働者が不利益を受けることに異議を提起してもかまわないという調子だ。 サムスンの無労組経営も企業甘やかしが続くので可能になる。 マスコミの報道態度もそうだ。 メジャー級の報道機関のほとんどが、労働人権に対する報道は消極的、事後的であり、概してインターネット報道機関がなんとか代弁している実情だ。 検察は労務法人創造コンサルティングと該当事業場の間でやりとりされた数十億ウォンの金融取り引き情報記録を確保したが、事業主の不当労働行為に不起訴処分をするほど、さらに企業側寄りだ。 社会的弱者がくやしさを訴えることができる最後の砦が裁判所だが、これさえ労働者の味方ではない。 職場で2年以上働けば正規職の身分が保障されるのに、該当勤労者を追い出すために賃金を半分以上削減し、強制的に到底認められないことをやらせたKTの違法行為に対して1審裁判所は被告の主張を認めた。 そしてKtisは、地方と中央労働委員会の不当解雇判定に従わず、巨額の履行強制金を払い、また行政訴訟で敗訴したのに該当労働者を復職させずにいる。

世界経済フォーラム(WEF)の2013年度の発表を見れば、国家競争力順位は25位で前年度(19位)より6階段低下した。 労働市場の効率性(78位)、制度的な要因(74位)等が主な弱点要因だと指摘された。 制度的要因は、政府規制の負担、政府支出の効率性、法体系の効率性、政策決定の透明性などが評価されるが、2012年の62位から2013年には74位と12段階も低下したのだ。 評価項目のうち、政策決定の透明性(137位)、労使協力(132位)、理事会の有効性(130位)、少数株主保護(124位)、解雇費用(120位)、独占寡占程度(118位)等は最下位圏だった。 「中産層70%達成」という政府の政策目標と違って、国の借金と家計負債がそれぞれ1千兆ウォンを越え、国民の家計財政が大きく脅かされているとし、低所得層ほど負債が大きい深刻な状況に追い出されていると診断した。 そして人生に対する価値尺度を現わす自殺率を見れば、残念ながらわが国はOECD 33か国のうち、自殺率が最も高い水準だ。 昨年のOECD国家の自殺率(OECD標準人口10万人当たり)平均が12.5人だったのに比べ、韓国は29.1人で最も高かった。 新政治連合の安哲秀(アン・チョルス)代表は、一つの国の状況を最もよく示す指標として自殺率と出産率をあげ、 「自殺率は現在の私たちの状況に対して、出産率は私たちの未来をどれほど希望的に見ているのかを示す指標」といい、 「政治がすべきことは、今現在苦しんでいる多くの人々を幸せにして、私たちの未来に希望を持たせること」と強調した。

各種の統計資料や安哲秀代表の言葉を見れば、韓国社会は社会の二極化が非常に激しいということが分かる。 歴代政権は庶民経済優先、社会二極化解消、社会的弱者の権益増進を声を限りに叫んだが、実践はわずかだった。 今の大韓民国は、セウォル号惨事で国民すべてが悲しみに沈んでおり、生活に懐疑を感じている。 金銭万能主義と道徳不感症に陥り、多くの善良な社会的弱者が犠牲になったのだ。 こうした事故は過去にも数えきれない程多かった。 西海フェリー号沈没、聖水大橋崩壊、大邱地下鉄都市ガス爆発、三豊デパート崩壊、シーランド火災、大邱地下鉄放火、マウナリゾート崩壊事故など、多くの大惨事を体験し、ほとんどが人災だったことが明らかになった。 永い歳月が流れても、韓国社会は道徳不感症に染まり、社会的責任を疎かにしている。 今回のセウォル号惨事は、政界と公職者からセウォル号非正規職船員に至るまで、不法、不正にかかわり、結局は世の中を知らない多くの若い学生たちが犠牲になった。 マスコミに掲載された記事の題目を見ると、みじめになる。

今回のセウォル号惨事を通じ、韓国社会を明るく健康な社会にすることが、惨事で犠牲になった英霊に報いることだ。 社会的強者は拝金主義から抜け出して、これ以上社会的弱者を困らせる悪行を行ってはいけない。 常識と原則に立脚し、本当の民生経済のために法と制度を守ってほしい。 そんなに難しいことではない。 民生経済の第一歩は、非正規職を量産する企業の非倫理的な態度を政府が統制して、人間らしい生活ができるように、雇用労働部と検察をはじめとする関係機関が協調することだ。 これ以上、企業を甘やかしてはならない。 公職者がこれを根絶しなければ、社会の二極化解消は不可能だ。 上の水がきれいでなければ、下の水は澄まないという道理と同じだ。

今回のKT構造調整に対するアンケート調査では、90%以上の労働者が間違いだと答えた。 だから労働者たちはこれからファン会長とチョン・ユンモ委員長を信じてはいけない。 第1労組は労働者を裏切った。もはや利用されてはいけない。 今回の名誉退職者が日常生活をしながら、これ以上悲しい便りを伝えてこないことを切実に祈る。 残された労働者たちは、第1労組から果敢に脱退し、第2労組の新労組に加入して、第1労組にすることが本人だけでなく家族の生存権を守るところだ。 労働者にとって、職場はまさに生存権だ。 憲法が保障する一種の抵抗権とも同じだ。 与えられた環境で労働者ができる最善の方法だ。 今回の事態さえやり過ごせば良いという安易な考えでは、またやられるだろう。 権益とは、本人がこれを守るために努力しなければ奪われる。 「正義とは強者の利益」というソフィストの話がある。 誰かが守ってくれるだろうと顔色を伺っていてはならない。 果敢な思考の転換と、備えがあれば憂いなしの姿勢で、毅然として生存権を守るように努めることが、まさに自分と家族、そして同僚を生かし、健康なKTを作ることだ。 「KTは死の企業」という汚名が復活しないように、皆が一致協力し、常識が通じ、人間味あふれる企業を作ることが生活の支えになるだろう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-04-30 06:03:15 / Last modified on 2014-04-30 06:03:16 Copyright: Default

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