現代車蔚山工場は不法派遣判決でそわそわ

［金属労働者=蔚山現代車現場(1)］班長職まで組合加入問い合わせ

「もうすぐ不法派遣最高裁判決関連報告大会が開かれます。非正規職の仲間た ちは躊躇うこと無くここに集まって下さい」

8月12日午後12時の昼休みに合わせ、騒々しい機械音が止まり蔚山現代車乗用1 工場の『OKサイド』で誰かがマイクをつかんで訴えた。

普段なら昼食に食堂へと向かう時間。だがこの日、非正規職労働者約250人は空 腹に耐えて報告大会の場所に集まった。1工場昼間組の非正規職全体の80％程度 が集まったわけだ。彼らの半分以上は『まだ』組合員ではなかったが、誰かに 連れてこられたり、管理者の顔色を見てためらうような雰囲気ではなかった。

「今まで皆さんは下請け業者の社長を使用主と考えてきたでしょう。でも今回 の最高裁判決の意味は、皆さんが請負ではなく不法派遣だということで、これ によって皆さんの使用主は鄭夢九だという意味です」

報告大会に参加した民主労総蔚山本部法律事務所セイル所属のチャン・ソクテ 弁護士が判決の意味を説明した。金属労組のパク・ユギ委員長も、参加者に 組合への加入を訴えて、法律的な支援など金属労組が全力をつくして共にする という約束も付け加えた。

報告大会の開始前に現代車蔚山非正規職支会(支会長イ・サンス)の幹部たちは、 参加者に組合加入申込書を配った。一部の参加者は報告大会が始まる前なのに、 すでに内容をすべて知っているかのように組合加入申込書を作り始めた。報告 大会が終わった後、非正規職支会の幹部の手には数十枚の加入申込書が集まった。

この日の午後9時には、1工場夜間組非正規職を対象に、翌日は2工場の非正規職 を対象に報告大会や懇談会が開かれた。集まるたびに非正規職労働者の参加率、 労組加入率とも、支会幹部の予想を越えていた。

「さっき管理者たちが邪魔をしたのでXX工場に入れなかったが、ちょっと後に 退勤した後、夕方に工場外の某所に集まって集団で組合加入をするという連絡 がきたので、夕方にはちょっと時間を出しましょう」
「支会長さん、会社 にこびていた人が班長職を止めて組合に加入するという連絡がきたのですが、 どうすればいいでしょう？」

支会の点検会議では、以前は想像が難しかった話らが行き来する。600人程度だっ た支会の組合員数は、集団加入運動1週間で1200人に倍増した。支会は8月末ま で、まず組織拡大事業を行った後、9月からは規模にふさわしい組織力を備える 教育事業とともに本格的な実践に突入する計画だ。

もちろん、まだ5800人の蔚山工場内下請けの全職員数に較べれば半数にも満た ない水準だ。会社に押されるかと思って組合加入を躊躇する非正規職労働者も まだいる。この戦いに臨む工場別、部署別の温度差も克服すべき点だ。こうし た問題は全て正規職組合員の支持と協力なしでは解決は容易ではない。

これについてイ・サンス現代車蔚山非正規職支会長は「非正規職労働者が自信 をつけている」とし「非正規職支会がしっかりした組織力を備え、現代車の正 規職労働者の積極的な連帯があれば、残る難関も大きな困難なく克服できるだ ろう」と話す。実際に蔚山1工場と2工場では非正規職労働者を対象に行われた 報告大会と懇談会が成功したのは、正規職代議員の支援があったからだ。

2005年に激しく燃え上がったが、大きな成果をあげられずに消えていった不法 派遣正規職化闘争。だがこの闘争は結局、今回の最高裁の判決につながり、現 在、現代車の非正規職労働者たちはこれを契機としてこれまでの敗北意識を払 拭し、また不法派遣撤廃を実現する大きな闘いを準備している。社内下請非正 規職が蔓延する韓国社会の製造業の現実で、この戦いの勝敗の影響力は莫大だ。 現代車正規職だけでなく、労組全体がこの闘争に関心と力量を集めなければな らない時だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
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