死亡不平等最悪の慶尚南道、晋州医療院まで閉鎖されれば…

「道民の大部分、地方医療院利用の機会を遮断」

2月26日に突然、晋州医療院の廃業決定を発表した慶尚南道が、今度は医師に解約を通知した。慶尚南道は3月21日、晋州医療院長職務代行の名義で公衆保健医を除く11人の医師に4月21日付で解約を通知した。

慶尚南道が廃業を強行し、政界と労組、市民社会との対立も高まっている。 保健医療労組は声明で「今は医師を追い出しても晋州医療院を強制廃業に 追い込むという洪準杓(ホン・ジュンピョ)慶南道知事の反医療的、反倫理的 な態度を強く糾弾する」と反発した。

晋州医療院廃業が強行され、道民の憂慮も高まっている。公共医療サービスの 脆弱地域であるだけに、晋州医療院の廃業が公共医療破壊の流れにつながると いう不安感のためだ。

慶尚南道、地域別死亡不平等が最高
「道民大多数の地方医療院利用の機会を遮断」

慶尚南道は最近5年間で、全国最高の死亡率を記録している。慶尚南道内地域別 死亡不平等も全国で最高だ。

国立中央医療院のムン・ジョンジュ公共医療チーム長は3月22日、国会で開かれた 『晋州医療院廃業! 公共医療破壊の信号弾か?』の討論会で「慶尚南道は所得 などの他の指標は相当な水準だが、死亡率で表現される健康水準が唯一悪い」 と説明した。

市郡の中で一番死亡費が高い陜川、山清、宜寧、昌寧郡はすべて慶尚南道西北 側に隣接している。ムン・ジョンジュ チーム長は「これは、道内地域不平等の 断面を示すもので、都市の中にも随所に脆弱地域がある」と明らかにした。

それなのに慶尚南道の人口当たりの地方医療院数は全国平均にも至らず、京畿 地域とならび全国最低だ。実際に、特別市と広域市を除く全国9道には30の地方 医療院があり、人口百万人当たり平均1.19か所で、病床数は2.65床と集計され ている。しかし、慶尚南道の地方医療院は人口百万人当たり0.64か所、病床数 は1.6床に過ぎない。

ムン チーム長は「また慶尚南道の面積はソウルの17倍と広いが、道立総合病院 はやっと2箇所」とし「ソウル市の人口は千万人で、慶尚南道の3倍だが、発達 した大衆交通網のおかげで医療機関へのアクセスがいいことを考えると、慶尚 南道では道民の大多数が地方医療院を利用する機会がほとんど遮断された状態 にある」と説明した。

社会的脆弱階層の安全網だった晋州医療院
年3万の医療給与患者、どこに行くのか

保健福祉部の依頼を受け、国立中央医療院公共医療分析チームが分析した結果 によれば、2006〜2007年の地方医療院の入院患者1人当りの1日平均診療費は、 民間病院より平均4万5649ウォン安かった。また地方医療院は民間病院より入院 診療費は71%、外来診療費は74%低く、社会的脆弱階層の医療安全網の役割を果 たしている。

特に晋州医療院は、一般の民間病院より毎年約30億ウォン低い診療費を維持し、 低所得層の地域住民に安価な医療サービスを提供してきた。これにより、晋州 医療院は毎年、延べ20万人の患者を診療し、延べ3万人の医療給付患者の診療を 担当してきた。

慶南道民も晋州医療院の廃業を憂慮している。社会動向研究所が3月9日、慶南 道民約千人を対象に世論調査を実施した結果、「慶尚南道が地域住民の必要性 を無視して誤った決定をした」という意見が65.4%を占めた。「地方医療院の運営 では、公共医療サービスがより重要だ」という意見は86.4%に達した。

現在、慶尚南道は晋州医療業廃業の根拠として、300億ウォンに近い負債と毎年 40〜60億ウォンの赤字をあげている。だが全国34の地方医療院の中で医療収支 が黒字の所は、1か所しかない。慶尚大学校医学専門大学院のチョン・ベックン 教授は「全ての地方医療院の中で負債がない病院はない」とし「晋州医療院の 負債は300床以上の総合病院級の地方医療院の平均とほぼ同等の水準」と説明した。

また「赤字と負債を根拠に地方医療院を閉院した例や、広域地方自治体の債務 解決の一環として地方医療院を閉院した例は今までにない」と強調した。

保健医療労組のイ・ジュホ戦略企画団長は「晋州医療院廃業は、診断も処方も 誤っている」とし「晋州医療院経営正常化のための慶尚南道の確固たる意志と 支援、有能な院長の選任などの措置をすれば、経営の正常化は十分に可能だ」 と述べた。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
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