韓国:サムスンLCD工場労働者に初の労災認定 | |||||||
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サムスンLCD工場労働者に初の労災認定…「希望を放さない」「サムスン電子、労働者を病気にして死なせた責任を認めて謝罪しろ」
パク・タソル記者 2017.02.10 20:14
17年間、多発性硬化症で闘病中のサムスン電子LCD工場労働者の疾病が業務上の災害だという裁判所の判断が出された。 サムスン電子LCD工場の労働者が労災を認められたのは今回が初めてだ。 サムスン電子労働者の希少疾患(多発性硬化症)が労災と認められたのも初めての事例として記録される。 ソウル行政法院(第1単独、判事イ・キュフン)は2月10日午後、 サムスン電子LCD工場の労働者であったキム・ミソン氏が2013年5月20日に提起した 「療養不承認処分取り消し」訴訟で、原告勝訴の判決を下した。 4年近くかかった今回の判決は、 裁判所が二回も終結と再開を繰り返す程ゆっくりと進められた。 共にキム氏の訴訟をしたパノルリムは、今回の判決の直後に 「勤労福祉公団は今回の判決を謙虚に受け入れ、 不当な控訴で被害者の苦痛を延長するな」と明らかにした。 また「作業場の安全保健管理を怠り、労働者を病気にして死なせた責任を認め、謝罪すること」 を要求して協議するよう要求した。 キム・ミソン氏は1997年6月、満17歳でサムスン電子の器興工場に入社した。 キム氏はLCDモジュール内のOLB工程とTAB Solder工程のオペレーターとして3年間働いた。 そして2000年3月に多発性硬化症が発病し、その年の6月に退社した。 多発性硬化症は中枢神経系疾患で、人口10万人当り3.5人が発病する希少疾患だ。 保健福祉部傘下の希少疾患センターが希少難治性疾患として登録して管理している。 多発性硬化症は視力の低下、身体のマヒ、痛みなどを伴う。 希少疾患なのでそれだけでは労災を認めるのが難しい部分があった。 裁判所、LCDモジュール内の工程と多発性硬化症の間の関連性を認定だが裁判所は多発性硬化症がキム氏の業務と関係があると判断した。 裁判所は原告側が提出したさまざまな疫学研究により、 有機溶剤露出、20歳以前の交代勤務、紫外線露出不足などが多発性硬化症の発病および悪化原因として認められるという前提をたてた。 キム氏は常時有機溶剤に露出する仕事をしていた。 キム氏は毎日200-300枚のパネルの異物を除去する仕事をしていたが、 この過程で有機溶剤IPAとアセトンを使っていた。 これらの化学物質は、中枢神経系に損傷を起こす物質として知られている。 キム氏がやっていた別の業務のハンダ付けも、鉛、フラックスなどの有害物質を使っていた。 裁判所は「アセトンなどの有機溶剤に露出」、 「20歳以前に夜間勤務を含む交代勤務遂行」、 「密閉された空間(クリーンルーム)での夜間勤務」、 「紫外線への露出の不足」、 「過労とストレスに苦しんだ点」など、 キム氏の労働環境が多発性硬化症の業務関連性を裏付けるとした。 また多発性硬化症の平均的な発病時期(38.3歳)よりキム氏は早い年齢(満20歳)で発病した点、 今までサムスン電子労働者の間で多発性硬化症が発病したことが確認されたのは合計4人だが、 これは多発性硬化症の一般的な有病率と比較すると非常に高かった点、 原告にこの事件の業務環境の他に、他の発病原因は確認されない点なども考慮したと明らかにした。 一方、訴訟中に関連資料の提出に不誠実に臨んだ事業主に対する苦言も続いた。 裁判所は原告の業務環境の立証が難しかった理由は、 きちんと関連の調査をしなかったり、関連資料を提出しない事業主の責任が大きいと指摘した。 サムスンディスプレーと化学製品を供給するメーカーは、 裁判所の度重なる要請にもかかわらず、 キム氏が扱っていた化学製品の成分を明らかにしなかった。 合計13項目の資料の提出を要請したが、提出したのは一件、それも一部しか提供しなかった。 特にサムスンは、キム氏が扱ったワイヤーソルダー(鉛)について 「関連資料をすべて廃棄した」とし、何の資料も提出しなかった。 雇用労働部もサムスンLCDの生産工場についての安全保健診断報告書は 「事業場の営業秘密」という理由をあげて提出を拒否した。 キム・ミソン氏の代理人でパノルリム所属のイム・ジャウン弁護士は 「資料を出せなければ、早く話でもするべきなのに、 彼らが時間を引き伸ばしたため裁判がとても遅滞した」とした。 4年ぶりに笑えるようになったキム・ミソンとパノルリム今日の判決宣告を直接見ることはできなかったが、キム・ミソン氏も勝訴判決に喜んだ。 キム氏は現在多発性硬化症の悪化と後遺症で1級視覚障害をはじめ、股関節と膝軟骨にも激しい損傷を受けている。 キム氏は「20代の時に視力を失い、若い時期をむなしく送ったが、 今でも労災が認められたのは本当に幸運」とし 「勤労福祉公団の控訴が憂慮されるが、最後まで希望を離さない」と明らかにした。 イム・ジャウン弁護士は「訴訟の過程で会社が多くの資料を隠すという困難があったが、 キム氏の業務と病気の関係を立証する研究資料があったので役に立った」とし 「この事件で負けていれば、希少疾患の被害者は労災認定は難しいと思ってとても切迫していたが、 勝訴してうれしい」と明らかにした。 イム弁護士は「現在は高等法院と大法院の判決を待っている訴訟があるが、 裁判所が発病原因だと認定した有機溶剤露出、交代勤務といった有害要因は、 すべての被害者が共通に体験した」とし 「下級審なので上級審より影響力は小さいが、 (職業病認定判決に)肯定的な影響を与えるだろう」と展望した。 [出処:ホン・ジノン作家] 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2017-02-17 20:57:06 / Last modified on 2017-02-17 20:57:07 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |