KTX乗務員、雨の中を大統領府までデモ行進

「今は 盧武鉉大統領の出番」

チェイニ記者 flyhigh＠jinbo.net

ソウル駅に集まったKTX乗務員がデモ行進の前に集会を開いた。黙念中のKTX乗務員/イジョンウォン記者

4か月ぶりに制服を着た乗務員/イジョンウォン記者

傘を掲げてKTXの影像をふところに抱いた。/イジョンウォン記者

列を作ってデモ行進するKTX乗務員/イジョンウォン記者

動画:KTX乗務員、大統領府これから!

終日雨が降った21日、ストライキ113日目をむかえるKTX乗務員がソウル駅から 大統領府までデモ行進をした。

午後1時にソウル駅広場に集まった200人あまりのKTX乗務員は、乗務員の制服 を着飾って束ねた髪と黒い靴をそろえて履くなど、4か月前に列車に乗った姿 のままで出た。違っていた点は「KTX乗務員大量整理解雇、直接雇用保証しろ」 という文が書かれたたすきをかけていたこと。

釜山KTX乗務支部のチョンヘイン支部長はデモ行進に先立ち「4か月ぶりに制服 を着た同志のみなさんは、とてもきれいで堂々として見えて誇らしい」とし、 「今からすべての問題を解決できる盧武鉉大統領のところに行く」と宣言した。

KTX列車の霊前写真をふところに抱いて傘をさした姿でソウル駅を出発したKTX 乗務員たちは、西大門にある警察庁前とハンミョンスク国務総理室がある光化 門政府総合庁舎前では叫び声をあげ、シュプレヒコールをあげた。制服姿で列 を作り、多くの市民が行進する彼女たちの姿を見て関心を示した。

何度も公権力を投じて、KTX乗務員たちを連行した警察、その警察庁前に立った。/イジョンウォン記者

一方の手には傘、一方の手ではシュプレヒコールをあげる。/イジョンウォン記者

イジョンウォン記者

この靴を履いてKTX列車の中を一日にも何度も往復したが、雨にぬれて、大統領府に行く道の足は痛い。/イジョンウォン記者

ハンミョンスク国務総理がいる政府中央庁舎。乗務員をむかえるのは総理ではなく警察/イジョンウォン記者

二時間ほどで大統領府に近い清雲洞事務所の前に到着した乗務員たちは「盧武 鉉大統領に差し上げる要請文」を朗読してチョンヘイン釜山支部長、ハンヒョ ミ・ソウル支部長、パクマリ状況室次長などの代表団を通じ、大統領府に要請 文を送った。

KTX乗務員たちは23日にも午後2時に鐘閣で「500人同調ハンストおよび1500人宣 言参加者合同集会」を開き、大統領府までデモ行進をする予定だ。

ポリスラインに従い世宗路をデモ行進する乗務員/イジョンウォン記者

「KTX乗務員大量整理解雇、鉄道公社直接雇用保証しろ」/イジョンウォン記者

大統領府に要請文を渡しに行った代表団を待つ乗務員/イジョンウォン記者

盧武鉉大統領に差し上げる要請文

私たちはKTX乗務員です。5月15日、鉄道公社と鉄道流通から整理解雇されましたが、 これに屈せず110日以上ストライキ闘争をしているKTX乗務員です。 これまで私たちは、鉄道公社と政府に整理解雇撤回と直接雇用を要求して誠実な 対話を要求してきました。しかし鉄道公社はKTX乗務員に対する委託の方針は絶対に 変更できず、問題を解決する権限もないという言葉を繰り返すだけでした。 初の女性総理として、社会的弱者に格別な関心と愛情をお持ちの方だったハン ミョンスク総理にも、KTX乗務員の切迫した事情を訴えましたが、労使問題に 政府が介入するのは難しいという答弁を聞いただけです。そのためわれわれは、 国政の最高責任者であり、尖鋭な社会葛藤を調停して解決する責任と義務を 持つと信じる大統領に、私たちの問題解決のために積極的に立ち上がって下さるよう 訴えたいと思います。

高速鉄道乗務員としての2年の歳月、夢と希望が挫折と絶望に変わってしまい ました。2004年4月1日、高速鉄道が開通しました。今やっと大学を卒業した社 会の新人だった私たちは、夢と希望に満ちた浮き立った気持ちでKTX乗務員と して採用されました。鉄道公社はKTX乗務員を「高速鉄道の花」と呼び、先頭 にたててKTXを広報しました。私たちは北朝鮮を経て、シベリアを通り、ヨー ロッパにまで伸びるKTXで働くという自負心で、期待を持って仕事を始めまし た。しかし時間が経つと、航空会社の乗務員に準じる待遇をするというあらゆ る甘い約束は、劣悪な労働条件と非人格的な待遇によって偽りであることがわ かりました。勤めるほどにむしろ月給が減り、保健休暇さえ籤に当選しなけれ ば使えず、法で保障された休日に勤務を強要されました。管理者の不当な要求 に少しでも問題を提起すれば、来年の再契約から脱落させるという脅迫に苦し められなければなりませんでした。

乗務員になって1年が過ぎた2005年、会社のおかげでわれわれは労働組合に加 入することになりました。労働組合が何で、どのように活動するのかも知りま せんでしたが、絶えず続く使用側の不法で非常識な措置に対抗し、われわれは 自然に労組によって対応していきました。しかし鉄道流通は鉄道公社に、鉄道 公社は鉄道流通にと、互いに責任を転嫁してとぼけ続けました。鉄道公社は下 請けに出した子会社にすべての法的責任を転嫁する代価として、能力もなく、 事業性も不透明な不良子会社のしりぬぐいをしています。なぜKTX乗務員が鉄 道公社と下請け業者の子会社の間であちこち押し付けられ、人権と労働権、勤 労基準法さえ保証されないまま消耗品に転落しなければならないのですか! このような不当な現実では、KTX列車の安全とサービスを担当する本来の役割 に忠実でいることさえできません。

KTX乗務員の直接雇用の要求に対しては、すでに社会的共感が形成されていま す。
私たちの労組活動と闘争で、鉄道公社がKTX女性乗務員を委託非正規職として 雇用しているという事実と、これにより発生する問題点が世の中に知らされま した。チョンユンチョル監査院長は、KTX女性乗務員を鉄道公社が直接雇用す ることが正しいといいました。国会のさまざまな政党の女性議員たちも、鉄道 公社が乗務員を直接雇用しろと要求しました。労働界だけでなく市民団体、女 性団体、宗教団体、民弁、参与連帯なども、KTX女性乗務員の主張が正しく、 政府と鉄道公社がこの問題を責任を持って解決しろという声明を出し、記者会 見もしました。ストライキ闘争100日になった6月8日には社会500人同調ハンス トと1500人宣言運動で、KTX乗務員の正当な要求を大統領が解決せよと主張し ました。

私たちはKTX乗務員の要求が正当で当然の権利だという信念があります。
鉄道公社は(株)韓国鉄道流通から回収した乗務事業権と販売事業権を(株)KTX 観光レジャーに譲りました。そして乗務員の直接雇用要求を徹底的に無視し、 問題解決のためのいかなる対話や努力もせずにKTX乗務員に(株)KTX観光レジャー への移籍を強要するだけでした。鉄道公社は監査院から不良会社と判定された 子会社への移籍を強要しつつ、説明と同意を求める努力もせずに移籍を拒否す れば整理解雇だと脅迫するだけでした。鉄道公社の脅迫が恐ろしくて整理解雇 され、KTXを離れのは苦しいことでしたが、KTX乗務員として本来の業務を遂行 しながら、KTXとともに成長して発展する夢と希望、そして諦めてはいけない という信念による要求ですから、決してストライキを放棄できませんでした。

いくら重労働でつらくても、KTX乗務員は屈しないでしょう。
長期スト ライキの疲労によるだるさが私どもを疲れさせています。整理解雇で苦しくなっ た生計問題が同僚を離れさせています。闘争が続いているのに、復帰者運営と 新規人材採用で乗務事業を押し切っている鉄道公社の無責任で暴力的な処置が 私たちを怒らせます。政府と鉄道公社により、生まれて初め公権力に連行され、 留置場に連れて行かれました。警察署で、検察で、重罪人扱いをされ、手首に 手錠までかけられた時のことを思うと、頑張って生きてきた善良な国民として 怒りが込み上げます。聞いたこともなかったあらゆる法的措置で恐れと恐怖を 与える合法的な暴力は、私たちを崖っぷちに押いやっています。しかし、なお さら私たちは諦めることはできません。どんな犠牲を払っても、私たちが正し いのだから、そして私たちの闘争は、韓国で差別されるすべての非正規職労働 者と下請け労働者の奪われた希望と権利の闘いですから、絶対に放棄しません。 挫折できません。

今、盧武鉉大統領が立ち上がって下さい。
盧武鉉大統領は、非正規職労 働者の痛みを理解されると言いました。盧武鉉大統領が第1の政策課題とおっ しゃった社会の二極化解消は、韓国850万非正規職労働者と下請け労働者たち が味わっている骨身にしみる差別をなくしてこそ可能だということをご存知で しょう。長い間、社会的弱者のために努力してきた大統領が、KTX乗務員の要 求を無視しないと思います。絶望と苦痛を強要する社会に挫折せず、夢と希望 に進もうとする私たちKTX乗務員の期待と希望を破らず、耳を傾けて下さるこ とと信じます。

2006年6月21日

ソウル、釜山KTX乗務員一同拝

2006年06月22日15時56分

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
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