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サムスン、「社会貢献」で「悪魔の顔」を隠せるか

「経営原則」を宣言して「社会貢献」に飛び込んだが...労働搾取、労災、児童労働など

ユン・ジヨン記者 2014.01.10 18:48

無労組経営と労組弾圧、労働災害などでいつも問題になるサムスンが、数千億台の社会貢献活動で違法性を隠そうとしているという批判が広がっている。

対外的には「謙虚な金持ち企業」のイメージを刻むが、韓国と低開発国家では 労働搾取と労働弾圧、白血病などの労働災害、その上児童労働などの非倫理的 な動きを続けていると指摘される。

サムスン、「社会貢献」で「悪魔の顔」を隠せるか

1月10日午後2時、国会議員会館第2セミナー室では、サムスン労働人権守備隊が 主管する「サムスンの社会的責任」討論会が開かれた。漢陽大学校経済学部の キム・ジョンジュ講師はこの席で「サムスンの態度はサムスン自らが標榜する 人権、労働、環境、反腐敗の価値を尊重する経営原則が、いかに形式的で 偽善的かを示す」と批判した。

現在、韓国の253の企業、機関、市民団体などは、企業の社会的責任についての 自発的な国際協約である国連グローバル・コンパクトに参加している。だが約 60のサムスングループ系列会社中、国連グローバル・コンパクトに参加している 企業は一つもない。その代わりにサムスンは自分自身の「経営原則」を打ち出し、 企業の社会的責任を強調している。

サムスンが打ち出す「経営原則」は、△法と倫理の遵守、△清潔な組織文化、 △顧客-株主-従業員の尊重、△環境-安全-健康の重視、△グローバル企業市民 としての責任などの部門に分れる。細かくは「強制労働、賃金搾取および児童 労働などはいかなる場合にも認めない」と明らかにしている。環境労働に関連 する国際基準や関係法令を遵守し、地域住民の生活の質の向上に寄与するという 宣言もある。

だが「経営原則」という言葉が面目を失うほど、現在サムスンは人権、労働、 環境、反腐敗など、全ての分野で問題の存在になっている。キム・ジョンジュ 講師は「憲法が保障する労働基本権を全面的に否定するサムスンの前近代的な 『無労組経営』は、21世紀に入ってもずっと続いている」とし「また、2007年 以後、サムスン半導体で働いた数十人の労働者が、作業場での発ガン物質への 露出により発病したと推定される白血病と脳腫瘍などで死亡したが、サムスン はこれに対する責任や労災認定を拒否してきた」と指摘した。

2007年12月に忠清南道泰安郡の近海で発生した泰安油流出事件も、サムスンの 非倫理的な態度の一面を見せた。キム・ジョンジュ講師は「事故の主体である サムスンは、すぐに泰安郡一帯の漁民に対する補償をせず、これによる経済的 困難によって自殺する住民が出た」とし「事故の直後にサムスンは自発的寄付 を出すといったが、約束は履行されていない」と強調した。その上、事故を起 こしたサムスン重工業の謝罪もなく、事故発生から6年経った昨年11月に地域の 発展金の名目で3600億ウォンを支払うことに合意した。

海外工場での労働搾取と児童労働などの問題も絶えない。大邱大のイ・スンヒョ プ教授と、共にする市民行動のシン・テジュン活動家は「ブラジルの労働者は サムスン電子工場で毎日15時間の長時間勤労、月27日の勤務を強要されて、15 時間の労働日には10時間を組み立てラインで立って働き、包装職はテレビ1台の 包装に必要な基準時間を4.8秒に設定し、毎日6800回の反復作業をさせるなどの 劣悪な勤務環境を提供したと批判されている」とし「これにより約8200万ユーロの 損害賠償が請求されている」と説明した。

ドイツの「金融および倫理研究所」はブラジルの労働搾取事件と共に、2012年 サムスン電子の中国携帯電話工場での児童労働や長時間勤労の問題にも言及し、 サムスン電子に対する否定的な倫理経営評価を発表した。

社会貢献活動に年間4千億をかけ、李健煕の「私財出資」8千億ウォンは知らんふり

サムスンは「経営原則」とともに数千億ウォンを「社会的貢献活動」に注ぎ込 み、イメージ革新を試みている。現在、サムスンは4か所の福祉公益財団を設立 し、グループ内部にサムスン社会貢献委員会を作り、社会貢献活動をしている。 社会貢献活動のためにグループ次元で投資する金は年間4000億ウォンにのぼる。

[出処:パノルリム]

こうしたサムスンの動きに対して漢陽大のキム・ジョンジュ講師は「最近になっ て慈善や寄付活動に投資の概念が結びつき、社会的貢献活動を社会的投資として 認識しようとする傾向が強まっている」と分析した。続いて「企業としての サムスンは、遵法経営を宣言して倫理経営を実践するかもしれないが、 権力としてのサムスンは大衆にあらゆる違法と不法を行っても、決して何の責任も 負わず、どんな処罰も受けない韓国社会での絶対的な絶対権力として記憶されている」 と付け加えた。

実際に2005年からサムスンは、Xファイル事件とサムスン裏金事件、李在鎔(イ・ ジェヨン)経営権不法継承のためのサムソンエバーランド転換社債安値発行疑惑、 サムスンSDS新株引受権付き社債低価格発行事件など、1年単位で大型の背任、 横領などの不法事件が暴露されてきた。

だが法的に起訴されたこれらの事件に関して処罰されたり責任を取った人は ひとりもいない。李健煕(イ・ゴニ)会長の場合も背任容疑で有罪を宣告されたが、 李明博政権下で特別赦免され、罰せられなかった。

何よりもサムスンは、こうした不法背任、横領の法的処罰を避けるために 「李健煕会長の私財出資」といった金銭的な賠償を掲げた。李健煕会長が今までに 約束した「私財出資」は合計8000億ウォンだが、これも守られていない。

キム・ジョンジュ講師は「2005年にわかった大統領選挙での不法な資金提供と サムスンXファイル事件について道義的責任を取り、私財8千億ウォンを社会に 還元することにしたが、実際の私財出資はほとんどなされなかった。2008年にも 裏金造成と不法経営継承で裁判を受ける過程で、李会長は借名で管理した2兆 ウォン台の株式を実名に転換して社会に還元することにしたが、相変らず約束は 守られていない」と指摘した。

続いて「企業の社会貢献と寄付活動は、むしろ企業の違法性と非倫理性を隠す 欺瞞的な手段でしかない」と強調した。

サムスン電子とサムスンSDIなどのサムソン系列社が発行する「持続可能報告書」 も、単なる企業広報の手段として悪用されているという指摘も提起された。

イ・スンヒョプ教授とシン・テジュン活動家は「サムスンSDIの持続可能報告書 の社会成果指標は主に製品責任と社会貢献中心に叙述されており、労働と人権 についての内容はほとんど扱われなかった」とし「特にサムスンSDIの持続可能 報告書には、半導体工場の白血病勤労者に関する言及は1行もない。社会的懸案 と争点に浮上した懸案にも、徹底して否定する態度を見せている」と声を高めた。

サムスン電子が発行した持続可能報告書の社会成果指標も、社会貢献を除けば 労働問題や労使関係に関する言及はない。イ・スンヒョプ教授は「無労組主義 と労働者監視など、すでに知らされた懸案について最低の立場表明もない」とし 「サムスン経済研究所が最近、社会貢献を強調する研究報告書を相次いで発行 するのは、反社会的活動の体系的な隠蔽の試みと見なければならない」と強調した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2014-01-11 08:23:27 / Last modified on 2014-01-11 08:23:28 Copyright: Default

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