韓国:もうひとつの積弊、サムスンの言論支配 | |||||||
Menu
おしらせ
・レイバーフェスタ2024(12/25) ・レイバーネットTV(11/13) ・あるくラジオ(10/10) ・川柳班(11/22) ・ブッククラブ(10/12) ・シネクラブ(9/1) ・ねりまの会(10/12) ・フィールドワーク(足尾報告) ・三多摩レイバー映画祭 ・夏期合宿(8/24) ・レイバーネット動画 ●「太田昌国のコラム」第96回(2024/11/15) ●〔週刊 本の発見〕第368回(2024/11/21) ●「根津公子の都教委傍聴記」(2024/11/14) ●川柳「笑い茸」NO.157(2024/9/26) ●フランス発・グローバルニュース第14回(2024/10/20) ●「飛幡祐規 パリの窓から」第95回(2024/9/10) ●「美術館めぐり」第5回(2024/11/25) ★カンパのお願い ■メディア系サイト 原子力資料情報室・たんぽぽ舎・岩上チャンネル(IWJ)・福島事故緊急会議・OurPlanet-TV・経産省前テントひろば・フクロウFoEチャンネル・田中龍作ジャーナル・UPLAN動画・NO HATE TV・なにぬねノンちゃんねる・市民メディア放送局・ニュース打破配信プロジェクト・デモクラシータイムス・The Interschool Journal・湯本雅典HP・アリの一言・デモリサTV・ボトムアップCH・共同テーブル・反貧困ネットワーク・JAL青空チャンネル・川島進ch・独立言論フォーラム・ポリタスTV・choose life project・一月万冊・ArcTimes・ちきゅう座・総がかり行動・市民連合・NPA-TV・こばと通信
|
もうひとつの積弊、サムスンの言論支配[連続寄稿]サムスンが変わらなければ犯罪は繰り返される(3)
パン・ヒギョン(西江大言論文化研究所専任研究員) 2017.08.03 11:25
[筆者注]サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長の弁論終結が8月7日に予定されている。 弁論が終結すれば8月末頃に1審の宣告が出るものと展望される。 李在鎔副会長の裁判は歴代のサムスン総帥のうち唯一拘束された状態で受ける裁判で、 これまでサムスンが行った犯罪を審判する象徴的な裁判でもある。 だが、裁判の中で李在鎔無罪論や、処罰否定論がまた首をもたげている。 そのため「サムスン労働人権守備隊」と「半導体労働者の健康と権利を守る会」は、 李在鎔をきちんと処罰することがなぜ必要なのかを 「李在鎔をきちんと処罰しなければサムスンは変わらない」という連続寄稿で読者に知らせようと思う。 連載は3回にかけて進められる予定で、プレシアン、チャムセサン、メディアオヌル、OhmyNewsに共同で掲載される予定だ。 [連載順序] [出処:チャムセサン資料写真] 言論は確実に李在鎔(イ・ジェヨン)を庇護して親サムスン的な報道記事をばらまいている。 朴槿恵(パク・クネ)・崔順実(チェ・スンシル)の国政壟断事態によってサムスンの賄賂供与容疑が大きな胴体だったことがわかり、 サムスン電子副会長の李在鎔に対する特検の拘束捜査と裁判が始まった。 該当事件の宣告が近付くほど、保守言論と経済紙は李在鎔の裁判と特検の公訴事実に対する否定的な記事をばらまき、 裁判所と特検の揺さぶりを加速している。 保守言論と経済紙は法理を歪めて特検を引き降ろす報道をはばからない。 特検がサムスングループの未来戦略室幹部の各種携帯メッセージの内訳、 公正取引委員会・金融委員会・国民年金管理公団・保健福祉部の押収捜索文書、 「大統領言葉資料」や安鍾範(アン・ジョンボム)前政策調整首席の業務手帳など、 2万ページを越える記録を提出したが、 朝鮮日報をはじめとする保守言論と経済紙はこれらの記録は「情況証拠にすぎない」というだけで、 わずか』するだけ李在鎔の経営権継承の請託を立証する明示的・具体的証拠にはならないと報道した。 東亜日報は安鍾範の手帳が 「予告篇でしかないのに大騒ぎ[したが]『味のない汁』」だったという題名の記事を載せて特検を露骨に蔑視し、 中央日報と韓国経済、毎日経済をはじめとする経済紙は 「安鍾範手帳の直接証拠採択が不発になった」、 「李在鎔副会長側に有利だ」、 「ますます特検が守勢に追い込まれている」、 「裁判は確証なく無意味な攻防を続けている」といった記事を連日吐き出した。 だが李在鎔の賄賂供与事件は刑事裁判であり、 直接的な証拠よりも「犯罪を推測判断させる状況証拠を」考慮するのが一般的だ (民主社会のための弁護士の会キム・ナムグン弁護士、メディアオヌル2017.7.25)。 つまり、裁判所の安鍾範手帳の情況証拠採択の決定は、 これを証拠として「採択」したことに意味があるのにマスコミはこれを脱落し、歪めている。 朝鮮日報をはじめとする保守言論と経済紙はまた李在鎔の徹夜調査を問題にして焦点を曇らせ、 鄭ユラが李在鎔の裁判に出席して証言したことについても自発的な出席だったのかについてのみ、大衆の関心を引こうとした。 鄭ユラの証言が李在鎔の賄賂事件でどんな意味を持つのかを報道するよりも、 鄭氏の弁護士が出した「まむし」という発言が適切だったのかに焦点を合わせた。 一市民として証言をした公正取引委員長のキム・サンジョに対しては、 彼の李在鎔法廷の出席が不適切な行為だったと非難し、 彼の証言が推測性の発言であり証拠価値はないと蔑視した。 しかし、シンガポール国立大学経済学科教授のシン・ジャンソプを「経済専門家」と言い、 彼の口を借りてサムスン物産の合併に対する国民年金公団の賛成をめぐり 「エリオットに対抗して国益を守った」という立場を強調した。 該当事案を問題にすること自体が「常識を逸脱した反企業情緒の結果」だという彼の評価も付け加えた。 青瓦台で二回にわたり、ばく大な量の文書が発見され、該当文書は前政府が李在鎔の経営権継承に介入した情況証拠を提供しているのに、 青瓦台が李在鎔裁判を「世論戦」に推し進めていると言い募った。 「オーナー不在」による「サムスン危機論」と「国家信任度低下論」、 そして「サムスン=国家一等企業論」、「サムスン国家経営論」、「サムスン危機=国家経済危機論」など、 サムスンの味方をするために作られた言論の公式も間違いなく続いた。 朝鮮日報、中央日報、東亜日報、韓国経済、毎日経済、亜洲経済、ヘラルド経済、マネートゥデイ、デジタルタイムズなど、 数え切れないほど多くの新聞がサムスンに免罪符を与えるように世論を造成することに熱を上げている。 これらの保守言論や経済紙のこうした行為は異例ではない。 新聞が世論を糊塗して、私たちすべてをサムスンの不法行為に無感覚にさせたのは一日や二日で形成されたものではない。 2005年に「サムスンXファイル」事件が起きた時にも、新聞はその報道を遅らせ、脱落させたし、 批判の水位を調節する様相を見せた。 2007年にサムスン裏金事件が表れた時は、キム・ヨンチョル弁護士の内部告発の内容を握りつぶしたり、 彼の暴露が社会の混乱を引き起こしているとむしろ彼を攻撃する態度を取った。 2007年、当時李健煕(イ・ゴニ)会長が単に懲役3年・執行猶予5年、罰金1100億の判決を受け、 サムスン特検は大きな成果をあげられずに事件が終わることになったのは、 マスコミの弊害と無関係ではない。 マスコミは2007年に発生した「サムスン半導体白血病事件」に対しても、 被害を受けた労働者たちの声を7年間、無視し、握りつぶして、 2014年になってサムスンが出した偽善的な謝罪と補償内容をふくらませて報道した。 マスコミの積極的な支持により、サムスンは白血病の被害者に対して「サムスン式」の解決方案を貫徹させることができた。 こうしたマスコミによるサムスン偏向的な報道の背後は何だろうか? サムスンが広告を通じてマスコミを統制しているというのは周知の事実だ。 サムスンは年間数千億ウォンの広告費を支出してマスコミへの統制力を発揮し、 それを通じて企業イメージを維持してきた。 特に1997-8年のIMF経済危機を契機として経済的な状況が急激に苦しくなった経済紙やインターネット言論は、 最大の広告主としてのサムスンに従属した記事を量産することにより、 ジャーナリズムの価値を既存していることも何回も指摘された。 もちろん、サムスンが最大の広告主としてマスコミに君臨していたせいもあるが、 韓国社会では「サムスンが国家経営を主導する」という「サムスン・イデオロギー」が作動している点も無視できない。 圧縮成長期から韓国経済を食わせて生かすという評価を受けたサムスンは、 1990年代中盤、韓国の代表財閥企業に浮上した。 1997-8年のIMF外国為替危機にもサムスンは韓国経済を支える「すごい能力」を持っていると評価された。 2000年代を通してサムスンは名実共に第1位の企業の地位を固め、これで「サムスンがすれば何か違う」という認識が広がった。 特に外国でサムスンを見て人々はサムスンを「国家的自負心」に連結させた。 サムスンの人気は日々高まり、若者たちも一番働きたい企業にサムスンを選ぶ。 「サムスン・ギャラクシーノート7」の爆発ゲートが問題になったが、 サムスンはこれを「ちょっとしたミス」と言い、多くの人々がこれを事実だと信じた。 換言すれば、この20年間でサムスンは「神話」になった。 神話の特徴は、疑問を拒否することだが、サムスンが適切な方法と手続きにより成長したのか、 実質的にどの程度国家経済に寄与しているのか、 国家共同体的な価値の実現にどの程度の責任を負っているのかなどの問題はきちんと提起も、また議論もされなかった。 結局神話が維持されている間、サムスンは総帥体制、タコ足経営を維持することができた。 また、常に手抜き施工、下請搾取などの経済活動を行い、不当取り引き、不法相続、労組弾圧、政経癒着などの不法行為を行った。 報道機関と政府、検察はサムスンを庇護し、サムスンが持つ陰を体系的に隠してやった。 結局、経済力を基盤として超法規的な権力機関に成長したサムスンは、国家の運営自体にも強大な影響力を発揮し始める。 税金制度、労働政策、電気料金、公正取り引きなど、国家の主要政策に影響力を発揮して、 それらの政策に基づいて数十兆もの利益を上げ、 中産層と庶民、中小企業、そして非正規職にそっくりその負担を押し付けているのだ。 朴槿恵・崔順実の国政壟断事態でも、 サムスンは賄賂を供与して国家機関国民年金を動かし、国民全体の犠牲で私的な利益をあげた。 経済権力を通じて政治権力を利用し、これでさらに経済権力を拡大したのだ。 このようにサムスンが絶対的な権力を発揮して私益を享受できたのは、 最近放送された人気ドラマのあるセリフに含まれている-- 「できるから」、「できるからできたのだ」、「皆沈黙するから」、「誰も大声を出したり問題にしないから」。 マスコミはサムスンの不法行為があらわれるたびに沈黙を守り、またサムスンが必要とする時は嘘でサムスンの罪を覆ってやった。 サムスンのマスコミ支配、あるいはサムスンに対するマスコミの従属は、 明らかに韓国社会が清算すべき積弊だ。 国家経済も重要だが、私たちには現在、正義を打ち立てることのほうが重要だ。 権力と財閥の癒着は市場経済秩序を揺さぶり、国家機構を病気にかからせる。 だからサムスンの賄賂供与事件の真相は、明確に暴かなければならない。 そのためには、もうひとつの積弊、サムスンのマスコミ支配が清算されなければならない。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2017-08-07 05:25:19 / Last modified on 2017-08-17 18:38:58 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |