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産業銀行の民営化を含む憂鬱な未来[連続寄稿-売られる公共部門](8)米住宅保証貸し出し機関の公的資金投入に何を学ぶのか?
イ・ヨンイル(事務金融連盟金融政策副局長)/ 2008年09月10日17時29分
後期-文を渡してすぐ産業銀行がリーマンの買収交渉中断を宣言した。産業銀行 は「現時点でリーマンブラザーズと取り引き条件で意見の差があり国内外の金 融市場状況を考慮して交渉を中断した」と明らかにした。本文の内容を調べれ ば、産業銀行の交渉中断宣言はむしろうれしい状況だ。しかし9月9日にミン・ ユソン産業銀行頭取が「世界化戦略により... 世界的な企業金融基盤の投資銀 行に成長する」と言った通り、これからリーマンブラザーズのような投資銀行 に対する買収合併の意志を隠さない。したがって本文で明らかにした憂鬱な未 来は続く展望だ。 リーマンを捉えろ 産業銀行が米国4位の投資銀行リーマンブラザーズの買収にのり出したが、状況 はそれほど簡単ではなさそうだ。当初50%を買い取り、経営権を確保しようとし たが、リーマンの不良規模についての見解の違いで交渉に失敗した後、今はコ ンソーシアムを構成して25%を直接買収、あとの25%は市場で買収することに方 針を変えたが、相変らず道は遠い。リーマンブラザーズはサブプライムローン 事態で流動性危機に陥り、40億ドルを追加で償却しなければならず、9月18日に 発表される3/4分期実績が史上最悪になる展望が支配的だからだ。あらわれた不 良だけで380億ドルで、500〜800億ドルに達するかもしれないという警告が流れ 出ている。 その上、9月8日には米金融当局が住宅保証貸し出し業者のファニーメイとフレ ディマックに2000億ドルという史上最大の公的資金を投入するという好材料に 力づけられ、ゴールドマンサックス、モーガン スタンリー、メリルリンチなど 主要金融株が大幅に上昇したが、リーマンブラザーズの株価だけは単独で13%下 落した。インターナショナルヘラルドトリビューンのコラムニスト、フィリップ・ ボーリングは「産業銀行のリーマン買収は愚かなこと」と憂慮している。英国 のHSBCと日本の三菱UFJも、リーマン買収に飛び込んだが潜在不良の規模が確 認できずに放棄したのに、なぜ唯一産業銀行だけがリーマン買収に首をつっこ むのか? 韓国投資公社1兆ウォン、国民年金は5兆ウォン飛ばして 産業銀行側は「リーマンの株価が暴落したので今が買収の好機」と主張する。 だが、グローバル信用梗塞に対する負担が加重している状況で、投資の好機を 云々することが適切かは疑問だ。8月13日、米国のブルームバーグ通信は全世界 100主要銀行がグローバル信用梗塞で受けた損失と資産償却の規模はすでに 5000億ドルを越えたと推定されると報道した。IMFは、総損失規模が8000億ドル に達すると展望し、ゴールドマンサックスは1億2千万ドルと推定している。ま た、シティーグループが1万3200人、ドイツのコメルトバンクが9千人を減員す るなど、サブプライムローン事態以後、数十万人の金融労働者が職場を失った り席から追い出される運命に置かれている。米国5位の投資銀行のベアスターン ズは破産の危機に瀕し、JPモルガンに安値で買われた。 一方、今年のはじめメリルリンチに20億ドルを投資した韓国投資公社(KIC)は、 すでに10億ドルの損害をこうむっていて、ユ・ジェジュン議員によれば国民年 金は今年の上半期だけで株式投資で5兆ウォンを失ったという。グローバル金融 危機がいつまで続くか、不良規模がどれだけ広がるか、誰もその終わりを断定 できない五里霧中の状況で、投資の好機と主張するのは無謀ではないか。 産業銀行民営化とグローバルプレーヤー 産業銀行が数か月間リーマンの買収に固執するのはミン・ユソン産業銀行頭取 が2005年から今年の初めまでリーマンブラザーズのソウル支店代表だったとい う事実と無関係だろうか? 危機に瀕したリーマンが『韓国経済展望報告書』で 「外国為替保有額が減少して短期外債が増加したことは事実だが、その内容を 詳しく見ると外国為替危機が再現する可能性は低い」とし、引続き韓国市場に ラブコールを送ることはそれほど変だと思われない。ミン・ユソン銀行頭取は 産業銀行民営化と金融産業のグローバルプレーヤーを育成するために交替投入 された旗じるしなので、彼が「5年以内にアジアの先導投資銀行に跳躍する」、 「今から行長より月給が高い行員が出てくる」とあおりたてても、目をむいて 見守る必要はない。シティ銀行、モーガンスタンリー、ソロモンズ・ミスバ ニー、リーマンブラザーズなどでM&A専門家に成長してきた彼が、産業銀行で何 をするのかは火を見るより明らかではないだろうか? むしろ彼を産業銀行頭取 の席に座らせた李明博政権の不明瞭な態度がさらに滑稽なだけだ。 チョン・グァンウ金融委員長は、産業銀行のリーマン買収交渉について「公的 機関が過度な負担を抱く主体になるのは適切でない」と制約を加えた。産業銀 行の主な取引企業が流動性危機に陥りかねず、海外M&Aに実弾を使えば困難な状 況に陥るかもしれないということだ。グローバル信用危機以上に深刻で、政府 の『金融化プロジェクト』も修正が不可避だということを反証するような項目 だ。これを見守る市場主義者が一言加勢する。「海外の投資家に恥ずかしい。 それなら今後、『グローバルプレーヤー』などを云々せずに産業銀行頭取の席 にはよく言うことを聞く官僚でも座らせなさい」と。金融産業を新しい成長動 力に育成することにして、産業銀行の政策金融の役割だろうがラッパ手だろう が、民営化して世界的な投資銀行にしようと言いながら、私たちも国内外金融 市場で熱くプレイしようといいながら、今になってなぜ言葉を変えるのかと。 金融産業は『先進化』に乗って 参与政府の『東北アジア金融ハブ』が李明博政権になって『金融産業先進化』 として再誕生した。経済政策、特に金融政策で前-現政府の違いは多くない。笑 い話で、盧武鉉政権が「左側ウィンカーを出して右折」して国民をあきれさせ たとすれば、李明博政権は「右側ウィンカーを出して『強富者』だけを乗せて 暴走」し、国民を疎外している点が差と言えば、差だろうか? 金融委員会が語る金融先進化は「金融産業が単に他の産業への支援産業に終わ るのではなく、新成長動力として韓国の経済を先進化させる核心的な役割を遂 行しなければならない」と要約される。そのために非金融主力者である銀行の 持株所有規制を緩和して(銀産分離緩和)その上、年金基金と私募ファンドの銀 行持株所有を推進する。非銀行持ち株会社に対する規制も緩和する。これに対 して経済改革連帯は、「財閥に良い金融環境」と評している。大企業の金融市 場占有率は2005年3月の総資産基準で生命保険75.2%、損害保険47.6%、証券 35.7%、クレジットカード63.9%にのぼり、三星グループの場合総資産217兆ウォ ンのうち金融界列資産が133兆ウォンで58.6%にのぼる。国内金融機関の総資産 対応自己資本割合は10%に過ぎない。金融先進化により、集中的に恩恵を受ける のは誰か? 政府の悩みは『グローバルプレーヤー』に長く立ち止まっている。米国の3大投 資銀行、ゴールドマンサックス、メリルリンチ、モーガンスタンリー3社の平均 資産は7620億ドルにのぼるが、韓国の3大証券会社のサムスン、大宇、ウリ証券 3社の平均資産は87億ドルで、1.15%に過ぎないためだ。来年2月の資本市場統合 法施行を前にした状況で、政府が望むように間接金融市場で直接金融市場で重 心を移動させるには、もっと多くの売り物が必要で、資本はもっと集中しなけ ればならず、資本回転速度も速めなければならない。こうした理由で(金融)公 企業は民営化されざるをえず、京釜運河土木工事が必要で、年金基金が株式市 場に動員されるべきで、大企業の金融産業進入と事業拡張が容易にならなけれ ばならないのだ。そして産業銀行は『グローバルプレーヤー育成』の歴史的な 使命を与えられて、民営化後に投資銀行に変貌するシナリオが提出されるのだ。 金融公企業民営化で二極化解消? 金融委員会は、産業銀行民営化の根拠として「政策金融と商業金融が混在し、 市場摩擦が拡大して民間金融の発展も制約するという問題を根源的に解消しな ければならないため」と主張する。産業銀行は1954年に設立された国策銀行で、 50年代に電力、石炭などの基盤産業に対する財政資金供給を始め、60〜70年代 の開発金融、80年代の長期設備金融、90年代の企業金融など、時代別に異なる 役割を遂行してきた。2006年12月を基準に104兆の総資産を保有する産業銀行は、 2007年に27兆ウォンの産業資金を供給し、中小企業には7兆3千億ウォンの資本 を支援した。 グローバル金融時代を迎えるために政策金融を最小化し、国策金融機関を民営 化するなどはとんでもない説だ。中小企業景気がなかなか改善の兆しが見られ ず、大企業への経済力集中はまた深刻になっている。経済改革連帯の発表によ れば、200大企業のうち30大グループ系列会社の資産比重は何と70%に迫る。一 部の中小企業は通貨オプション取引者KIKOの契約に縛られ、危機に置かれてい る。産業間の不均衡が深刻化し、中小企業と大企業間の二極化が加速している 状況を、産業銀行民営化、企業銀行民営化でどう解決するのか政府金融当局者 は答てほしい。 英ノーザンロック銀行再国有化... 米ファニーメイ、フレディマック公的管理 サブプライムローンの不良事態による信用梗塞の影響で、昨年9月英国の第5位 ローン銀行のノーザンロック(Northern Rock)銀行では1866年以後初めて預金取 り付け騒ぎが発生し、結局今年2月に英国政府は国有化を決めた。 米国では昨年から今年7月までに資産規模320億ドルのローン貸し出し業者、イ ンディマックをはじめ、8つの金融機関が不渡りを出した。今年3月にはローン 貸し出し業者のベアスターンズがJPモルガンに安値で売却された。ある国内経 済日刊紙は場外派生商品市場でベアスターンズが絡んだスワップ取り引きが何 と10兆ドルにのぼると報道した。米国の経済規模が14兆ドルであることを考慮 すると、71%の水準でメリルリンチ、ゴールドマンサックス、リーマンブラザー ズなどの他の投資銀行が作った取り引きを含めると米国経済規模の何倍にもな るという。続いて9月7日には住宅保証貸し出し業者ファニーメイとフレディマッ クに米金融当局が2000億ドル規模の公的管理体制に突入した。38年に設立され たファニーメイは68年の民営化後、ちょうど30年でまた国家管理モードに転換 したのだ。1980年代の急速な金融化を牽引してきた英国と米国が、20〜30年で グローバル金融危機の決定的端緒を提供したのは皮肉でもあり、他の見方をす れば必然的でもある。 ロンドン、ニューヨーク、香港、シンガポール、チュリヒ、フランクフルト、ジュネーブ、シカゴ、シドニー、東京 今回の金融危機で、市場参加者と政府官僚は何を見て、何を学んだのか? チョ ン・グァンウ金融委員長は今年5月の講演会で「市場参加者の自律が行き過ぎる と、サブプライム危機のような市場不安を招くが、これは未知の領域を切り開 く過程で甘受すべき危険と理解する必要がある」と話した。市場の自律が行き 過ぎれば、危機と不安を招くという認識は幸いだが、これもまた甘受して突破 しろと結論するのは残念だ。ドイツはリヒテンシュタイン公国など租税避難所 への脱税調査に着手し、オーストラリアは国富ファンド規制のために6つの審査 原則を発表した。米国と英国は不良金融機関再国有化を進めており、原油市場 の投機勢力を探し出して不安定な派生商品を規制しようとしているのに「グロー バル」「市場自律」だけを叫んでいていいのだろうか? ロンドン、ニューヨーク、香港、シンガポール、チュリヒ、フランクフルト、
ジュネーブ、シカゴ、シドニー、東京。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2008-09-12 08:52:19 / Last modified on 2008-09-12 08:52:19 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |