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水は民営化しないといったのに、中では他のこと[連続寄稿-売られる公共部門](5)「フナ」水準の記憶力、李明博政権
カン・ウンジュ(進歩新党政策研究委員)/
2008年09月05日15時26分
『ユリンタウン』というミュージカルがある。訳せば『おしっこの村』ぐらい になる。独占的に水を供給する企業家『ユリンクッカンパニー』から有料で給 水を受けなければならない深刻な水不足の都市が作品の背景だ。貧しい庶民は 『用便費』を払えず、こっそり林の中などで用を足すが、摘発されると二度と 戻れない『ユリンタウン』に送られる。この作品は原作者グレッグ・コティス (Greg Kotis)がヨーロッパ諸国を旅行して感じた体験に基づいて作られ、2001 年にニューヨークで初演された。『排せつ』の自由を抑圧され、独占企業が横 暴を働かせる過程で、貧しい庶民がこれに対抗する過程を愉快に皮肉った作品 で、各種のミュージカル関連の受賞経歴も華麗だ。だがもはやミュージカルの 中だけの話ではないかもしれない。 表と裏が違う『嘘』政府 およそ二か月前、李明博大統領自らがはっきりと『水・電気・ガス・医療保険』 の四大分野の民営化はないと言った。彼が『記憶喪失』でなければ、数か月前 に自分の『嘘』を認めるようになった経緯は何か。当時大統領の発言は『世論 鎮火用』という心証をぬぐえない。今、政府の一連の流れを見ればそうした疑 いはさらに深まる。 4月25日、行政安全部では『地方公企業改善命令』を出した。9つの公企業中、 3か所が上水道公企業で、浦項、慶州、統営の上水道事業所がその対象だ。この 『改善命令』には、1年以内に上水道専門機関への民間委託を実施し、浦項、慶 州などの近隣地域の広域化を考慮することを要求している。この『改善命令』 は、地方公企業法第75条により、経営改善命令は特別な理由がない限り遅滞な く履行しなければならず、以後人事上の不利益、財政支援不利益などが従う。 文字通り『命令』だ。 そのため浦項市上水道事業所は、この改善命令によって6月2日に経営改善命令 による細部履行計画を作成することになる。その内容も、『命令』による浦項 と慶州、霊泉、霊徳、蔚珍をまとめて慶北-浦項圏を広域化した後、1年以内に 専門機関に民間委託することを骨子としている。整理すれば、4月から6月まで、 行政安全部を中心に『広域化民間委託』を着実に(!)履行していたということだ。 そして環境部は8月27日の討論会で「水道事業構造改編推進方案」により、現在 の164の水道事業所を26の中圏域に広域化する計画と、水道事業の専門化により 委託と11類型の民間資本の出資まで考慮する方案を出した。 明らかに大統領はしないといった。8月24日の党政協議で、水産業を民営化する というとまたすぐ翌日、ハンナラ党はしないと宣言した。そのため、水民営化 反対の世論も静まった。いったいどのリズムで踊らなければならないのかわか らないが、現在浦項-慶北圏を中心に行われている一連の流れを見ると、明らか に誰かが『嘘』をついているのは明らかだ。これまでキャンドルに押され、や りたいことができなかった政府の苦悩が感じられる。 政府が語る『効率化』は企業の利益保証だけ 民間委託は民営化か? 政府は言う。『所有権』を渡すのではなく『運営権』だ けを譲渡するので『民営化』ではなく、さまざまな副作用は『杞憂』あるいは 『怪談』に過ぎない、と。だが実状はそうではない。民営化された都市の水道 料金は、そうではない地域と比べて30%高くなったフランスも、『運営権』だけ を渡す形だった。水道産業が破綻した代表的な事例のアルゼンチン(ブエノスア イレス)も、運営だけを譲り渡した。いったい何が『民営化』と違い、大丈夫だ というのか。 海外の事例に言及すると、政府はこう言う。韓国の経済の現実とは合わない南 米の後進国の例でしかなく、成功した先進国の事例も多いと。環境部の資料に よれば、ボリビアやアルゼンチン、フィリピンの場合、失敗の原因は『外国為 替危機』、『貧困層拡大』、『腐敗権力スキャンダル』のためだという。いっ たい、ここに羅列されていることの中で、韓国と掛け離れた単語は何か。9月危 機説や第2のIMFのような話が飛び交い、底を知らない株価の暴落、そして高為 替レート危機などの経済の現実と、次第に深刻になる二極化、各種自治体長の 腐敗不正スキャンダル...(ソウル市わいろ授受市会議員は相変らず健在だ)。こ れらが単に『後進国南米』だけの話だろうか? 人を非難する前に、自己反省す るのは現代人の必須の教養徳目だ。 では政府が好きな『先進国』と言われる国を見よう。米国では漏水率低下のた めに水圧を低めたため、消防署員が火災を鎮圧できないというひどいことも起 きた。英国は、民営化4年間で50%以上水の料金が上がった。5年間で断水家庭が 3倍に増加した。一時は450%まで水道料金が上がったことがある。水企業は 1989年から1997年の間に水道の漏水から廃水不法放流に至るまで、さまざまな 疑惑で128回も起訴された。もちろんそれにもかかわらず、経営陣の月給は50% から200%も引上げられ、90年から97年までに10の水会社の利益は147%増加した。 外国を見るまでもない。政府は韓国の水道事業があまりに非効率なので、これ を効率化するには『専門企業』に任せるべきだという。さて韓国で、各家庭に 水道を送る『専門』性を持つ集団とはどこだろうか? ソウルだけでも100年間、 ソウルの上水道を担当してきたソウル市上水道事業本部と各地方自治体上水道 事業所だ。ダム商売を中心として生産と卸売だけを担当してきた水資源公社も あまり『専門』性はない(初めて水資源公社により民間委託を実施した論山は 2004年からだ)。では民間企業は? 韓国で上水道サービスをした経験があるか? では『専門性』を持つ地方自治体水道事業本部が水道事業をするのが正しい。 企業が運営すれば『効率的』ではないかと反問されるかもしれない。その通り。 企業は効率的だ。ただし、その効率は可能な『低い生産原価』で『最大の利益 を創出』する効率だ。企業は利益がない所には投資しない。そんな企業が50%を 下回る農漁村水道普及率を高めるために設備投資をし、雇用を保障し、安全な 水を作るために最善を尽くすと思えるだろうか? いくら『ビジネスフレンド リー』でも、あまり『フレンドリー』すぎる考えではないのか? では企業間の競争で値段は下げ、サービスの質を高めるという計画は? 地域独 占的な構造の上水道事業での競争は、『入札競争』でしかない。ただし私たち の町内に水道会社10社、管網10社、水道の蛇口10社。このシステムが可能なら、 政府が言う『競争』は十分に可能だ。水もアイスクリームのように、選んで食 べる面白さをプレゼントできるならばである。本来『網産業』の特性はそうだ。 多額の初期投資費用がかかり、重複施設が不可で必須公共財の性格を持ち、地 域的に独占的な形態だから今まで道路、電気などは公共が管理してきたのだ。 『フナ』水準の記憶力、李明博政権 明らかに、水道事業は調整が必要だ。低い邑・面・洞単位の水道普及率、水質 への信頼、設備投資など、するべきことは山積している。ところが、その答は 民間企業が『運営』する形の『私有化』では決してない。運営権であれ持分で あれ、民間が介入した瞬間、『利益』の道具になり、まともな『公共サービス』 を提供するという原則が揺らぐ。『公共性』が最優先の評価指標であるべき 『必須公共財』に対しては、公共が所有し、運営し、絶えずきちんとしたサー ビスを提供する努力と投資が並行しなければならない。今の方式は『正解』で はない。それも表と裏が違う、言葉と行動が一致しない政府の方式は、『詐欺』 に近い。 すでに動いている大企業は、政府が『民営化はない』という言葉のむなしさを 証明している。一時、イ・サンドク議員が理事だったコオロングループは、次 世代の成長産業として上水道事業を選定した。下流の終末処理会社で、環境管 理公団の子会社である環境施設管理公団を07年初めに買収し、大々的に設備施 設を構築した。世界的な水企業のベオリアと共に作ったサムスンエンジニアリ ングも、本格的に事業に飛び込む計画だ。やはり『ビジネスフレンドリー』な 政府の動きにも最もす早く対応するのは『企業』だ。 一進一退する政府の話、そして全く違う行動は、国民を疲れさせるだけだ。大 運河もやらないと言って、『条件があえば』再推進するという国土海洋部長官 の発言は、いったいこの政権は『フナ』水準の記憶力しか持たないのではない かと疑わしくなる。そうでなければ、これは明確に『詐欺』だ。 お願いだから正直になることを薦める。しなくてはならない、空気と違わない 『水』を商売根性で判断するな。李明博大統領は浄水器の水でシャワーを浴び るのかもしれないが、大韓民国の絶対多数はそうではない。われわれは『安全 な水を安定して、十分に、誰もが供給』されたい。少なくともそれが私たちが 政府に望む『効率』だ。 翻訳/文責:安田(ゆ)
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