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大宇造船、国民企業化もだめだ

[論説]大宇造船売却、公共部門民営化の信号

ホン・ソンマン(論説委員)/ 2008年05月01日21時50分

造船産業は国家基幹産業だ。大宇造船の出発も造船重工業に始まる。以後大韓 造船公社(韓進重工業)として民営化され、1994年に大宇重工業に合併された。 それが1999年の大宇グループの粉飾会計事件で大宇グループ全体がウォークア ウト状態に突入した後、大宇造船に分離、政府の公的資金が投入されて回復す る。当時、労働者の賃金凍結と福祉縮小、人員削減などの高強度構造調整が実 施された。大宇造船は2001年にウォークアウトを卒業した後、着実な成長を繰 り返し、世界3位の堅実な造船業体として再生した。このように大宇造船は国民 の税金と労働者の犠牲で企業が正常化しただけでなく、現在も産業銀行が 31.26%、資産管理公社が19.11%の株式を保有し、政府が50%以上の株式を持つ 国家所有企業だ。

こうした大宇造船を政府が売却するという。主債権銀行の産業銀行は、4月21日 売却幹事としてゴールドマンサックスを選んだ。8月中に優先交渉対象者を選ぶ 計画だという。ところが、売却の理由が不明だ。投与された公的資金を回収す るとことが名分だというが、あえて好調な国有企業の売却を急ぐ理由にならな い。それでもIMF外国為替危機の時のように、ドルを稼がなければならない時で もない。市中に金が残っているのに売却する理由はない。民間企業だった大宇 造船のウォークアウトが終わったので、主人を探してやらなければならないと いう主張もある。しかし大宇造船は本来国家所有だった。民間企業か国家所有 かという政策的な判断だけで、国家所有が問題だという状況ではない。結局、 大宇造船売却は大宇造船の大株主である産業銀行の民営化のために、産業銀行 の保有企業株式を売却するだけだ。大宇造船だけでなく大宇エレクトロニクス、 トンミョンモトゥモルなど産業銀行保有企業株式の売却が急いで語られる理由だ。

ここで産業銀行民営化がなぜ問題なのかは問われない。ただ、大宇造船が国有 企業として残ることが悪いという理由がないという点だけ確認しよう。ところ が労働組合とさらに一部の進歩団体も売却は不可避な過程と認識されている。

労働組合の要求は大きく3つだ。一括売却と海外売却反対、自社株20%配分だ。 一括売却に反対する理由は、経営権を含む一括売却が行われると売却後労働者 の負担がさらに大きくなるという点で、海外売却の場合、防衛産業関連企業の 大宇造船が海外資本に売却されると、軍事機密と船舶建造技術の流出などが憂 慮されるためだ。自社株配分の要求は一種の経営参加の意志と見られる。

だが、こうした労働組合の要求を逆に調べれば、一括売却と海外売却ではない、 分散型売却と国内売却なら受け入れるということだ。だから要求事項が売却反 対ではなく一括売却反対だ。労組と同じ話を民主労働党もする。民主労働党代 表団は4月28日、巨済で大宇造船の国民企業化を主張した。国民企業化は簡単に 言えば、浦項製鉄とKT売却と同じように、特定の人や特定の企業に株式を売却 せず、公募株、国民株の形で分散売却をしようということだ。どうせ売却され るのだから分散売却のほうが国民経済水準でも該当労働者たちにとってもより いいのではないかという主張と見られる。しかし国民企業化は大宇造船の未来 になれず、労働者のための売却でもない。

浦項製鉄とKTは、どちらも国民株方式で政府株式が売却された。当時浦項製鉄 と韓電の株式を買うために多くの国民が参加した。しかしその結果はどうだっ たのか? いくらもたたずに、国民が保有株式を多少高い価格で売却し始め、一 般上場企業と同じように株式が独占された。その上、現在浦項製鉄の外国人持 分は80%に迫る。KTも事情は似ている。では労働者は? ご存知の通り、KTの労組 弾圧は悪名が高く、浦項製鉄も核心正規職の労働権は保障されても関連業者、 特にプラントや建設関連労働者たちはそれこそ殺人的な水準の弾圧を受けなけ ればならなかった。2006年ハ・ジュングン烈士の死がこれを雄弁に語っている。

問題は売却方式ではない。売却そのものが問題だ。経営権を含む一括売却でも 国民株方式の分散売却でも、買収価格がいくらでも、どうせ売却のすべての負 担は労働者に跳ね返る。資産価値が5兆ウォンにのぼる韓国重工業が2001年の金 大中政府の公企業民営化政策で、斗山グループに3057億ウォンで安売された。 ただ同様の特典売却だった。それでも斗山は一方的な脅迫と威嚇で1124人の労 働者を強制的に名誉退職させた。続いて労働組合への苛酷な弾圧と損害賠償、 仮差押さえで、残った労働者の首を締めてきた。そして2003年ペ・ダロ烈士は 遺書一枚を残して恨みの多い命を終えなければならなかった。これが売却企業 の現実だ。国民株方式であれ、一括売却であれ、労働者には同じだ。その上、 斗山のように特典売却されても労働者の現実は変わらない。

それだけでなく労働組合の主張は現実に符合しないのもある。たとえば、上京 闘争の主な要求が海外売却反対だ。だが大宇造船が海外売却される可能性は高 くはない。売却主幹事にゴールドマンサックスに選ばれたが、一般的に売却主 幹事は売却交渉に直接参加しない。その上、李明博政権の最近の動向は金大中 政府と違って海外売却より国内売却を好む。現在、浦項製鉄、斗山、GS、韓貨 などの国内大資本が売却交渉に参加すると発表されていて、実際に外国企業や 投機資本が売却交渉に参加する余地は多くない。したがって特別に海外売却が 問題になる状況ではない。言い換えるが重要なことは『海外』か『国内』かで はなく、売却が問題なのだ。

一方、大宇造船の場合、一括売却反対とともに自社株20%配分を闘争要求として 掲げた。一種の代案として、従業員持ち株会社や自社株持分で理事選任権を要 求する。代案として自社株による従業員持ち株会社の要求は大宇造船がウォー クアウトを卒業するとすぐ労働組合の重要な要求として登場した。正確に言え ば、労組はこれだけを労働組合の代案としてきた。だが自社株の配分に対する 要求は現実性がない。政府が素直に資産管理公社の持ち株20%を自社株にする理 由もなく、労働者の闘争でこれを可能にできるなら、すでに売却を防ぐ水準に なるからだ。だが現在の大宇造船の状況では、自社株制度による経営参加方針 は実現の可能性の問題ではない。自社株組合に事実上参加することが難しい労 働者、代表的には非正規職労働者との利害を分割するだけでなく、売却の過程 で労働者の統制力を強化するより、株式市場と株主の要求と一致させる要因と して作動する可能性があるためだ。

大宇造船の売却の有無が特に重要な理由はこれが公共部門民営化と直結するた めだ。前に話したとおり、大宇造船の売却は産業銀行の民営化のために株式を 処分しようとしているのだ。大宇造船の売却は産業銀行民営化に直結し、産業 銀行の民営化を筆頭として大多数の公企業の民営化が続々と続いているためだ。 もし大宇造船が国民企業化という名で国民株売却が行われても、これとは無関 係に産業銀行の民営化は行われるだろう。したがって大宇造船の売却は、公共 部門民営化の信号弾であり、大宇造船が崩れれば民営化反対戦線が崩れるのだ。 大宇造船がいかなる形でも売却されるべきでない理由がここにある。それでも 大宇造船労働組合は、最近、売却の方針が発表されると労働組合で全面ストラ イキを宣言し、ソウル上京闘争まで進めているが、公共性を中心にした接近は 全く形成されていない。もし水私有化のために水資源公社を国民株方式で売却 する国民企業化するすれば、これを受け入れるだろうか? これは明白な民営化 であり、水の公共性を威嚇するのように、大宇造船の国民企業化は同じ危険を 持っている。

大宇造船労働者の売却反対闘争はさらに援護されなければならない。公共部門 の労働者までも自身の理解が直接関わる問題として大宇造船の売却を考えなけ ればならない。公共部門、国家部門の民営化と、それによる公共サービスの後 退がすぐ大宇造船の売却から始まる。だから売却企業、公共部門、民主労総だ けでなく、全体国民が連帯して、大宇造船の売却を防がなければならない。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2008-05-05 19:25:18 / Last modified on 2008-05-05 19:25:20 Copyright: Default

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