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麗水火災の被害者たち、「人間らしく生きたいだけ」

移住民女性相談所アン・ヒョンスク所長、就職可能なH2ビザへの転換を強調

移住労働者放送局 www.migrantsinkorea.net / 2009年02月06日14時49分

「人間らしく生きたい!」 2007年2月11日に発生した全南道の麗水出入国管理事務所火災惨事負傷者たち の叫びだ。

現在国内には麗水火災惨事の時に負傷者に分類された17人の被害者のうち15人 が治療のために再入国して生活している。これは法務部との了解覚書によるも ので、彼らはすべて『外傷後ストレス障害』(PTSD)という事故後遺症に苦しん でいる。

外傷後ストレス障害は、戦争、事故、自然災害、顧問など、生命を威嚇される 深刻な状況に直面した後に現れる精神的後遺症だ。個人差により事件発生直後 または数日から数年後に現れる疾患だ。

主に患者たちは極度の不安感と警戒心、不眠症、憂鬱症などの症状を示し、事 件当時に体験した恐怖感が記憶、夢、幻覚などで蘇る。つまり正常な社会生活 に困難を伴うものと言える。

現在、11人の麗水火災惨事負傷者を支援する移住民女性相談所のアン・ヒョン スク所長は、「負傷者が味わっている外傷後ストレス障害は、前のように回復 できない一生の障害で、持続的な心理治療が必要な疾患だ」とし「彼らのほと んどは薬がなければ眠れないほど深刻な苦痛にさらされている」と話した。

その上、彼らは火災当時の有毒ガスで呼吸器疾患と長期的な薬の服用による胃 腸障害などの合併症も重なり、健康が良くなるどころかむしろ悪化していると 付け加えた。

しかし麗水火災惨事の負傷者とその家族をさらに絶望で追いやっているのは、 外傷後ストレス障害ではなく法務部、出入国管理事務所など、政府関係当局の 彼らに対する政策のためだ。

法務部、治療を受けて飢え死にしても無関係

負傷者たちはG1ビザを発行され、国内で生活している。G1ビザは治療など『人 道的』な理由が発生し、3か月以上の滞留が不可避な場合に発給される。つまり、 治療目的のためのもので、彼らは原則として国内では就職ができない。

法務部が彼らの治療費を支援しているが、それまでだ。法務部が発給したG1ビ ザという鎖のために、人間の最も基本的な生計手段である衣食住さえ保証され ていないのが現実だ。

資本主義社会で労働者が就職せず食べて生きていけるところはない。しかも、 最近のように景気が悪い時期には、就業者の生活状態も苦しいと各種報道機関 がわめいている。

それでも彼らの唯一の生存手段といえる国内就職の道をふさいだ法務部のG1ビ ザ発給は、常識的に理解できない部分だ。G1ビザは韓国が誇る整形手術などの 医療観光商品を売るため、海外患者の誘致にふさわしいと言っても過言でない。

アン・ヒョンスク所長は「麗水火災惨事の負傷者に必要なのは、G1ビザでなく 就職できるH2の発給だ」とし「法務部が彼らの国内滞在費などを支援できない のなら、治療を受ける間、自分で稼いで少なくとも暮らせる道を開かなければ ならない」と強調した。

きちんと食べることができず、日がたつにつれてやせていく負傷者A氏の状況を 話す時、アン所長はこれ以上言葉をつなぐことができなかった。

雇い主、G1ビザを悪用して労働搾取

それでも負傷者たちは手をこまねいていられない。彼らは食べるために仕事を 探し、天安、木浦などの地に散った。移住民女性相談所との連絡はあるが、旅 館の部屋、移住労働者シェルター、野宿などを転々として、職場でギリギリの 生計を立てている。

彼らに発行されたG1ビザは、雇用でも苦痛を加重させる。なぜならG1ビザとい う理由で賃金がH2ビザ就業者の半分程度しか受け取れないためだ。1週間に10〜 15万ウォン程度。雇い主は、彼らがG1ビザの事実を知るとさらに大変だ。

アン所長によれば雇い主たちは、就職できないG1ビザを悪用して賃金を踏み倒 すのが常で、彼らへの姿勢も非人間的に急変してしまう。また職場の同僚からは 『何か変な人』というつらい視線に耐えなければならない。

こうした状況で外傷後ストレス障害を持つ負傷者の疾患が良くなることは期待 するのも難しい。

負傷者たちは空腹、周辺の冷たい視線だけでなく、暮しているとしばしば発生 する疾病や事故も体で克服しなければならない。麗水火災の時の有毒ガスによ る呼吸器疾患や長期的な薬の服用による胃腸障害など、一般人より疾病にかか る可能性が高いということは簡単に推測することができる。

G1ビザは一般の医療点数が適用されるので、医療保険が適用される一般人より 病院の治療費が高くならざるをえない。彼らの所得を考えると、相対的負担感 はさらに大きい。

地域医療保険への加入は考えることもできない。外国人の医療保険料は所得と 無関係に最低5〜6万ウォン程だ。結局いくら苦しくても我慢しなければならず、 事故で骨が折れても我慢しなければならない。

「もういいかげんに韓国から出ていけ(?)」

こんな状況でも、麗水火災惨事の負傷者たちは、それでも法務部が支給する後 遺症治療を受けるために出入国管理事務所でG1ビザを延長しなければならない。 これもまた容易ではない。

彼らへの出入国管理事務所職員の露骨な無視と疑い、理解し難いビザ延長期間 などに黙黙と勝ち抜かなければならないためだ。

最初は負傷者が病院治療を受けていることを証明する医師の診断書だけでもG1 ビザの延長ができたという。しかし最近は出入国管理事務所が医務記録のコ ピー、身元保証書等も要求し、ビザを延長するための準備書類がますます増え ているとアン所長は説明する。

またアン所長は「病院治療日と入管訪問日が同じだったりすると、ビザを延長 する目的で、病気でもないのに病院診療を受けるのではないかと疑う入管職員 により、負傷者たちは人間的な侮蔑感も感じている」と残念がった。

まるで彼らがいわゆる仮病で不当にビザを延長しているように。これは外傷後 ストレス障害に苦しむ彼らに、また別の心の傷になっている。

一般的に病院の治療行為や薬の処方は健康審査評価研究院のコンピュータ・ネッ トワークの協力を受ければ事実関係を確認する事ができ、負傷者の治療を担当 する江南誠心病院に確認してもわかる。

このようにして延長したビザの期間も2か月。最近、負傷者のB氏は50日以下の ビザ延長を受けた。これもまた初めは6か月延長できたのに、3か月、2か月と、 ますます減り、ついに50日にも満たないビザになった。

これは結局『韓国から出ていけ』という無言の圧力のようだと関連民間団体関 係者は考えている。

アン・ヒョンスク所長は「今、政府関係当局への望みは、麗水火災惨事負傷者 が少なくとも人間らしく生きられるように、基本的な生活を保障して、彼らの 疾患を治療することだけ」と明らかにした。

そのためアン所長は負傷者のG1ビザをH2ビザに変えることを粘り強く要請し、 法務部がH2ビザ発給の検討の意向を示した。しかし今まで何の答もない。

今、法務部が了解覚書で麗水火災惨事負傷者の治療のために最大3年まで認めた 滞留期間が次第に近付いている。この期間が過ぎると彼らは外傷後ストレス障 害という一生の障害を抱いて韓国から追い出されるように出国するかもしれな い。2年前の強制出国のように。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2009-02-07 21:55:03 / Last modified on 2009-02-07 21:55:04 Copyright: Default

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