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雇用許可制3年、「祝うには、やり過ぎ」

『事業場移動の自由制限』などの毒素条項をなくせ

ビョン・ジョンピル記者 bipana@jinbo.net / 2007年08月17日14時35分

今日は雇用許可制施行3周年。しかし雇用許可制の定着に成功しているという 政府の立場と違い、現場ではこの雇用許可制の毒素条項への批判の声が高い。

政府、「雇用許可制は成果ある」

政府による現在の雇用許可制施行状況を見ると、「07年5月末現在、外国人雇 用許可制で就職した勤労者は16万2193人で、人材送出対象国家も制度施行当時 の6か国から15か国に拡大」し、「送出不正外国人労働者の人権侵害などの問 題が指摘された産業研修生制度が廃止され、外国労働者導入が雇用許可制で一 元化」されたとし、雇用許可制が安定して定着しつつあることを示唆した。

李相洙(イ・サンス)労働部長官は、雇用許可制の施行が『我が国の外国人人材 政策の画期的な転換点』になったと評価した。『企業による外国労働者活用を 合法化する一方、移住労働者の権益伸長、人材導入過程の公共性、透明性強化』 などがその成果の指標だと説明する。ただし『外国労働者導入手続きの簡素化 と不法滞留者削減、送出不正根絶』等は改善が必要な部分だと指摘した。

雇用許可制施行3年を控えて開かれた国際会議に韓国側代表として参加したユ・ キルサン韓国科学技術大学教授は、「06年12月現在、不法滞留者18万6千人の うち、雇用許可制による不法就業者は1.9%(3515人)に過ぎない」と語り、雇用 許可制が成功的に進行していると評価した。

移住労働者人権連帯、「産業研修生制度との比較は無意味」

しかし現場の声は全く違う。移住労働者人権連帯のチェ・ヒョンモ代表はこう した政府の評価に対して辛らつに反論した。

移住労働者人権連帯でも、毎年移住労働者への実態調査をしてきた。今年は調 査をしなかったが、その理由はあまり良くなった部分が見えなかったためだと 説明した。つまり、「変化がないからやめようというのではなく、政府に問題 提起をした」。

チェ・ヒョンモ代表は、移住労働者人権連帯が行ったアンケート調査の結果と 政府の統計は大きく違ってはいないが、その解釈には著しい違いが生じている という点を指摘した。「良くなった、うまくいっているというが、その比較の 基準をどこに置くのかの問題」ということだ。

「政府は、現在の状況を産業研修制度と比較して良くなった、良くなったといっ ている。だが、産業研修制との比較が問題だ。産業研修制は、制度の意味より も、人権侵害的で労働搾取の典型であるため、国家の政策で議論の対象にする こと自体が恥ずかしい」とし、政府が産業研修制と比べて良くなったというこ とが決して成果になりえないと強調した。

では今回の雇用許可制3年評価の基準はどこに置くべきか?

チェ・ヒョンモ代表は、雇用許可制の盲点である移住労働者の労働権と人権問 題に集中するよう主張している。雇用許可制で制限される『事業場移動の自由 制限』で発生する人権侵害が深刻で、労働権への主張がしにくい構造だという 点について、政府は集中的に評価すべきだということだ。

▲チャムセサン資料写真

▲チャムセサン資料写真

チェ・ヒョンモ代表は、昨年末韓国を訪問した国連人権理事会所属移住民特別 報告官の報告書を引用し「産業研修制と雇用許可制はどちらも移住労働者の地 位を全的に雇い主の立場に連結させるもので、移住労働者の法的地位がぜい弱 になる欠点」を持っていると主張した。国連の報告書は、外交的な表現でに遠 回しに表現されているという点を考慮すれば、雇用許可制を見る国際社会の視 点も非常に批判的だということが分かる。

雇用許可制は不法を量産しなかった?

チェ・ヒョンモ代表は、雇用許可制の下での不法就業者は1.9%にすぎないとい う政府の主張にも反論した。

政府は雇用許可制の下では不法就業者発生が顕著に低く、残りは産業研修生、 合法化措置者、短期就職目的で入国後に出国しない人という点を上げて、雇用 許可制が成功的に定着していると主張している。

移住労働者人権連帯が2年間、独自に調査した結果、約70%の移住労働者が 事業場の移動を望んでいるという結果が出てきた。そして回答者の約80%が 勤労条件と低賃金をその理由に挙げた。

では、なぜ事業場を移動しないのかという質問に、回答者の半分が事業主の非 協力をあげ、事業場移動の制限が事実上、移住労働者の労働権と人権を奪う 大きな壁だという点が確認された。

「差別と蔑視は耐えられないが、本人の意志で事業場を移動する要件はない。 暴力など、理由が明らかな理由を除き、事業場を移動できないためだ。その他 の場合、事業場を移動するという言葉を言った瞬間、自分の権利を侵害するぜ い弱な欠点になってしまう」とチェ・ヒョンモ代表は雇用許可制の盲点を批判した。

移住労組のイ・ジョンウォン教育宣伝部長も、「雇用許可制定着という名分で 摘発を強化し、離脱者が少なくなって、だから雇用許可制が成功的に施行され ているという。だが、制度が良いから離脱しないのではない」と政府の評価に 反論した。

「職場がつらくても、気に入らなくても、不法になるので飛び出せない条件」 なので、やむをえず移住労働者たちは「我慢している」というほうがむしろ 正確な評価だと説明した。強力な摘発追放政策が雇用許可制への移住労働者の 不満を押さえ込む機制として作用しているという主張だ。

イ・ジョンウォン部長は「摘発を中断すれば、雇用許可制が良い制度なのか、 悪い制度なのかがわかるだろう」とし、「もし今摘発が中断されれば産業研修 生の時のように、みんな事業場から逃げ出すだろう」と主張した。雇用許可制 が移住労働者の労働権と人権伸張のために作られたと政府では主張しているが、 「絵に描いた餅」に過ぎないということだ。

チェ・ヒョンモ移住人権連帯代表は、これまでの相談と実態調査を見れば、雇 用許可制の管理に政府が直接関与するという点で、産業研修制より透明性が高 まった点はあると説明した。しかし「その進展を祝うには、雇用許可制が持つ 欠陥はあまりにも大きい」とし、決して成功的だと評価することはできないと 強調した。ぜひとも雇用許可制から毒素条項を廃止すべきだと主張した。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2007-08-19 03:27:43 / Last modified on 2007-08-19 03:27:44 Copyright: Default

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