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「保護所の外も監獄」

[インタビュー]アノアル移住労組前委員長

ビョン・ジョンピル記者 bipana@jinbo.net / 2007年02月14日15時27分

11日の麗水外国人「保護所」火災惨事で9人が死亡し、保護所内移住労働者の 人権に対する関心が高まりつつある。しかし移住労働者たちは保護所内の移住 労働者に対する人権問題を越えて、政府の移住労働者政策の根本的な変化がな ければ事態の根本的な解決はないと指摘している。ソウル京畿仁川移住労組の アノアル前委員長と会い、保護所内の実態と今回の惨事の根本原因について 聞いた。

アノアル前委員長は2005年5月、労組活動に積極的という理由で標的摘発され、 1年間清州外国人保護所で拘禁されていた。2006年4月26日、長期間の収監生活 による健康状態の悪化で一時保護解除された。

外から全て見えるトイレ、服を着てシャワー

初めて保護所に入るとまず監視カメラが目に映るという。「2種類の部屋があっ て、小さな部屋と大きな広間。大きな部屋には二つトイレがついている。人々 がトイレに入るとこの程度(手で胸の高さを示しながら)から上が見える」。ト イレに入っても外の人が気になって、まともにすることもできないのが保護所 だという。「部屋の中の人、外にいる人、中がすべて見えます。シャワー室も 一つしかなく、服を脱いでシャワーを浴びなければならないが、さまざまな宗 教の人がいてムスリムもいるので、服を脱がずにシャワーを浴びる人も少なく ありません」。人間として基本的な生活でも、配慮の見られない大変な生活が 目に見える。

言葉が通じないので脅迫

アノアル前委員長はさらに大きな問題として言語と意志疎通の問題を指摘する。 摘発されて保護所に入ってくる移住労働者たちの中には、一つや二つの問題と 理由がない人がどこにあるだろうか。「また一つは言語。言語が違うでしょう。 国ごとに。保護所の人はみんな問題がある人たちです。退職金やら未払い賃金 やら。そんな問題があっても、そこ入ってくる。言語が違い、詐欺にあっても 詳しく説明もできず、解決もできない」。移住労働者たちは問題があっても英 語、韓国語、中国語の三つのうち一つが話せなければ問題を説明することも、 解決することもできない。

「一日の日程が壁に貼られていて、いくつあるのですが、英語・中国語・韓国 語で書かれています。それも簡単に。退職金は受け取れる、相談できる、何が できる等等、いくつかの説明があっても、それは韓国、中国、英語の3つだけ。 ほかはありません。英語も知らず、韓国語も知らない人は多いです。ほとんど がそうです。職員も勝手に処理しろとやり過ごします。長い間待つのはつらく て、自分の国に帰る人も多いです。お金も受け取れずに」。

問題提起すれば独房の境遇

意志疎通ができず、保護所の担当者は適当に解決しようと、移住労働者たちが 問題を受け入れて出ていくよう強要するケースが多いという。「とてもストレ スがある。職員が話す時は圧力と癇癪で大声を出してののしる。相談室では、 100万ウォンを受けらなければならないのに、そこで50万ウォン受け取って行 け、それでは納得せず、全額受け取りたい。そんな時は殴ることもありました。 解決ができない時は、何か月か過ぎても自分の問題が解決できない時、闘争し ます。ハンストとか。ハンスト闘争しかないでしょう。独房に入れられます、 すぐに。圧迫して独房にいれ、無条件にハンストをやめろ、でなければ独房に 入れ続けるしかない、こうして圧力をかける」。意志疎通ができず、まともな 説明は二の次で、叩いて脅すことと脅迫は茶飯事になるのだ。

火災惨事を質問、「保護所は安全問題は考えもしない」

麗水保護所火災惨事犠牲者/MTU

アノアル前委員長に今回の火災惨事について聞いた。彼の経験から、今回の事 件をどう考えているのかが気になった。アノアル前委員長は意外にも、今回の 惨事はいつ起きても不思議ではなかったと淡々と答えた。

「私が中にいた時、よく話しました。外でもよく知られています。労働者を考 えて、そこの人の安全を考えることは少しもありません。人が暮しています。 扉は二つです。鍵がかかっていて。廊下の両側に設置され、そこもかけられて います。ところが鍵は事務室にあります。何か問題が起きれば事務室から鍵を 持ってきて、三つをはずします。人を呼ぶのも容易ではありません。こういう 問題が起きたら、どうすればいいのかも知りません。考えもしません」。

法務部の職員は移住労働者を、よく言えばかわいそうな人、そうでなければ人 間以下として無視するのが普通だ。「今回、鍵を探すのに15分かかったのでは ないですか。ところで本当なら鍵がどこにあるか、神経を使わなければならな いのに、安全に神経を使わないからこういう問題が起きます。保護所、保護所 が保護しているんだ、これは本当に違います。監獄より深刻です。移住労働者 だから通訳もできず言語も違って人間と感じません。かわいそうな人、貧しい 人、こんな形でとてもばかにします」。

移住労働者は保護所の外でも監獄

しかしアノアル前委員長は、今回の惨事でまた一つ注目すべきことは保護所の 外でも監獄と変わらない生活をしている移住労働者の問題だと話した。「とて も不安です。外の人たちも監獄のように暮しているでしょう。ただ部屋にいる。 会社に行って、また部屋に帰って。外にも出ることができない状態です。社長 たちもたくさん仕事をさせます。少ししか月給を払わず、たくさん働かせ、そ の金もまともに受け取れません。何か言えば圧迫だ、申告する。こうした形で もっとたくさん弾圧されます」。2004年の雇用許可制施行以後、制度を定着さ せる事業の一環として進められた大々的かつ強力な摘発追放で毎日毎日を生き ることも苦しい移住労働者たちの痛みが伝えられる。2004年に始まった摘発追 放以後、摘発追放の恐れの中で自ら命を絶ったり、摘発からあわてて逃げて墜 落死した移住労働者、そして出入国事務所から飛び降りて死亡した移住労働者 たち。そして今回の火災事件の犠牲者たち、彼らはすべて基本的な人権も忘却 したまま雇用許可制定着だけに汲々とする政府の移住労働者政策の犠牲者だ。

労働許可制から、移住労働者政策の全面的修正が必要

アノアル前委員長は今回の事態を契機として全面的な移住労働者政策の修正が 必要だという提起した。「雇用許可制で、事業場移動の自由も禁止され、滞留 期間1年、1年、1年になっているでしょう。すべての許可が事業主にある」。 現在の雇用許可制の下で、雇用契約の更新に対する全権が社長に与えられてお り、事業主の契約解除がすなわち未登録を意味する雇用許可制の下では移住労 働者は事業主の気持に逆らわないことが韓国で暮す最初の条件になってしまっ たという。そのため移住労働者たちはこっそりと逃げたり低賃金の劣悪な労働 条件に耐えて暮していくか、2つの選択しかない。結局ほとんどは未登録移住 労働者として隠れて生きることを選ぶという。「労働者だと考えて制度や政策 を作れば、労働者に(労働)許可が与えられなければなりません。滞留期間をこ のように1年ではなく5年にして、あとでまた5年延長して。事業場移動の自由、 労働三権、そういったことが保障されてこそ、この問題が解決できると思いま す。このまま雇用許可制で行けばこの問題はもっと大きな問題になるでしょう」。

アノアル前委員長は今回を契機に「未登録移住労働者を合法化し、事業場移動 の自由、労働滞留期間5年の原則を含む」労働許可制を施行する条件が用意さ れたら良いという期待を示した。

「はやく移住労働者のための制度ができるといいですね。そうすればこうした 問題が解決すると思います」。この期待は単にアノアル前委員長の期待だけで はないだろう。この土地で死ぬことなく、労働をしながら、まともに暮したい という移住労働者皆の期待ではないのか。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2007-03-11 21:55:16 / Last modified on 2007-03-11 21:55:17 Copyright: Default

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