移住労組、「放火事件と言って目をそらせる法務部」

麗水出入国管理事務所の火災で9人が死亡

ビョン・ジョンピル記者 bipana＠jinbo.net / 2007年02月12日12時05分

2月11日未明の4時頃、麗水出入国管理事務所で火災が発生、9人が死亡、18人 が重傷を負うという惨事が発生した。死亡者は麗水地域の4つの病院に遺体が 安置されており、重傷者は麗水と光州地域病院集中治療室に送られた。

麗水保護所は不法滞留者として取り締まられた移住労働者が、追放まで臨時に 保護される場所だが、収監された移住労働者は事実上、この中で鉄格子と開閉 装置により、保護ではなく監禁、収容状態だった。火災当日、正職員は1人し か勤務しておらず、あとの2人は外注職で、鍵は火災が起きた3階から離れた 1階に保管されていた。

火災が発生した304号では4人が死亡、305号では1人が死亡したが、火災地域で はない306号でも4人が死亡したことについて、対策委側は防災装置がなかった ことで死亡者が増えたものと判断している。火災に備えたスプリンクラーと 換気口などの安全装置はないという。

順天支庁長、「スプリンクラーの設置義務はない」

遺族たちは保護所内にスプリンクラーがない点を指摘した。しかし順天支庁長 は記者会見で、この建物は消防法上、一般の事務室として登録されているので 「スプリンクラーの設置義務はない」と問題を認めずにいる。遺族たちは逃走 を恐れて保護施設に収容されていた移住労働者を迅速に待避させなかったこと がこの事件の直接の原因だと主張している。故イ・テボク氏の遺族は「保護所 は不法滞留者が逃げるのではないかと思って脱出させなかったのではないのか。 職員が扉を開かずに出て行ったのは理解できない。人命がかかっているのに...」 となげいた。

事故から一日が過ぎても遺族に連絡もしなかったことが伝えられ、法務部当局 の移住労働者に対する認識、事態に対して真摯な態度を持っているのかにも問 題が提起されている。故キム・ソンナム氏の弟はTVニュースを見て駆け付けた とし「まだ当局は遺族に連絡していない。こんなことがあるのか」と憤激を爆 発させた。故キム・ソンナム氏は1020万ウォンの未払い賃金問題により保護所 に20日ほど滞在しており、労働庁に申告して300万ウォンを受け取った状態だっ た。あと720万ウォンを受け取るはずだったという。故キム・ソンナム氏の弟 は「私が罪人だ。私が金を稼いで行けと呼び寄せた。私が滞留資格を変更しろ と法務部に送った。ところがそこですぐ逮捕された。私が送らなかったら...」 と言葉を続けることができなかった。

「事態に対する政府の態度は相変らず真摯ではない」

法務部は捜査中という理由で事故現場の訪問、真相調査団の参加要求、生存者 へのインタビューなどをすべて拒否しているという。移住労組は「順天地検長 の記者ブリーフィングの時も、記者を除く対策委団体の参加は阻止された。事 件現場への焼香所設置の要求もくだらない理由で拒否している。政府はこの事 件の真相をきちんと明らかにして対処しようとする真摯な態度ではないという 点をまた確認した」とし、政府に対して悲劇的惨事の真相究明と責任者の処罰 を要求した。法務部は、保護所の業務妨害、捜査への支障を理由に保護所3階 に焼香所を設置することを拒否している。

放火問題で問題から目をそらそうとするのか
対策のない摘発追放に根本的な原因

移住労組は、法務部が移住労働者の放火事件に問題の焦点を合わせようとして いることに対して「今回の事件は、単に放火かどうかという問題ではなく、 補償だけに限られる問題でもない」と問題を提起した。「それ以前に、殴打や 反人権的な処遇に関する疑惑が提起されており、基本的な管理職員と保護施設 の誤りによって火災事件が大きくなったことの原因は無視し、すべての原因を 移住労働者による放火と決めつけようとする今の出入国管理局の態度は、 出入国の誤りを薄めようとする処置だ」と出入国管理所に今回の事態のすべて の責任があるという点を強調した。

移住労組は、放火の直接の証拠は発見されていないと指摘した。また、放火の 容疑者と指定されている人物は、1月16日にここの収容所の職員から床に横に されたまま殴打され、治療が必要なので支援してほしいと要請したが拒否され たという。しかし法務部はこの問題には一切言及していないと指摘している。

移住労組はこれと共に、再発防止、未登録移住労働者に対する摘発全面中断を 要求し、外国人収容所拘禁の不当性を知らせて外国人収容施設の改善を要求し、 闘争していく計画だ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
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