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「多文化という言葉がなくなれば」[移住労働者の声を聞け](5)韓国政府・韓国社会変わらなければ暮せない
移住労働者運動後援会
migrants@jinbo.net / 2009年01月12日14時47分
移住民流入による不可避な韓国の変化 117万の移住民、72万の移住労働者が住む韓国は、国連が定めた多民族国家だ。 わずか10-20年前まで『多文化談論』は単一民族国家という強力な『虚構的共同 体』に割り込む余地はなく、私たちとは遠い外国の話だった。だが今、結婚移 住女性の家族を訪問するテレビ番組や、道でよく出会う移住民を通して、われ われは移住民と日常を分けあっていることを簡単に確認できる。また来年796億 ウォンの予算が投入される多文化社会統合プログラムと、大統領の口に上がっ た『移住労働者の労働組合』は、政府次元でも移住の問題が拒否できない流れ で、主要な問題として位置を占めていることを確認できる。 数百億を注ぎ込み、政府が進めている多文化プログラムによる移住民の統合と 各種の言論が見せる移住民への温情主義的な態度は、韓国社会の態度に多くの 変化があったことを示す。だが4回の連続寄稿でわかるように、韓国政府、韓国 社会の変化は劣悪な移住民の暮し改善する過程ではなく、新自由主義世界化が 産んだ弊害を埋め合わせる方向で彼らの人生を再構成する過程だったと言える。 今、この20数年間に形成された移住民への韓国政府、韓国社会の認識を調べ、 誰も排除されたり差別されない共存の社会のために何が必要なのか、移住労働者 の声に耳を傾けて聞く時だ。 移住労働者が入り込むにはあまりにも狭苦しい韓国社会 最初の寄稿文「移住労働者として暮すのはとても荷が重い」で確認できるよう に、移住労働者の人生は経済的にも社会文化的にも、これ以上退く所がない。 移住労組、移住共同行動、外労協が共同で発表した「2008雇用許可制実態報告」 によれば、一日平均11時間の労働をして受ける賃金は残業、特別勤務をすべて 合わせもせいぜい109万ウォンに過ぎない。それだけでなく移住労働者たちは宿 泊費控除、手当て不払い、常習的賃金不払い、ウォンレート下落、物価上昇な どで深刻な生活苦にある。泣きっ面にハチで、韓国を強打している世界経済の 危機は、移住労働者の雇用そのものを威嚇している状況だ(最低限の生活費と本 国の家族に送る金を除けば残る金はなく、韓国を離れることもできないとある 移住労働者は言う)。 こうした最悪の状況で、政府が強力に進めている野蛮な摘発追放が移住労働者 の人権を深刻に侵害していることは、言うまでもなく広く知られている(二回目 の寄稿「移住労働者と韓国を病気にかからせる野蛮な強制摘発」参考)。さらに 大きな問題は、移住労働者を人種差別的に『犯罪集団』や『雇用略奪集団』と 罵倒する傾向が社会的に広がっている事実だ。李明博政権が発表した「非専門 外国労働者政策改善法案」がその代表的な事例だ。政府は未登録移住労働者の 犯罪問題を強力な摘発の根拠として提示したが、実際の犯罪率は韓国人の1/4程 度で、政府の主張には根拠がないことを示す。 さらに憂慮されるのは、各種ポータルサイトのカフェを中心に組織されている 反外国人団体だ。彼らはごく少数の凶悪犯罪を浮上させ、社会不安と経済危機 による大衆の怨恨を移住労働者に否定的に収斂させようとしている。また移住 労働者集会の査察、マスコミの報道用の反移住労働者集会開催、未登録移住労 働者申告など、出入国管理所の『情報部員』役をして、反人権的摘発追放強化 と退行的な民族主義を助長している。 『韓国』式のお母さんでなければ差別される移住女性 政府により追放の対象と烙印を押された未登録移住労働者とは対照的に、結婚 移住女性は社会統合のための多文化教育などの友好的な観点で政府の支援を受 けているかのように見えることもある。だが私たちが四回目の寄稿「結婚移住 女性の生と労働」で見たように、結婚移住女性の状況はたいへんだ。政府と言 論を通じて流行のように広まった『多文化談論』の実体は、結婚移住女性にお 母さん/嫁/夫人というアイデンティティ、つまり新自由主義が解体した家族の 空白を埋め合わせる役割をきれいに包むことでしかなかった。政府が施行する 多文化教育は、キムチ漬け、手工芸などの『韓国文化』を維持/補完することに 焦点が合わされ、『他の文化』への配慮や理解はみつからない。 結婚移住女性の社会保障制度も『韓国国籍の子女の有無』を恩恵条件にするな ど、多文化と似た政策的な文脈上にある。52.9%(2005)の結婚移住女性は、最低 生計費にも達しない窮乏した家計のために移住労働者として韓国社会で暮して いるが、作業場での国籍と性別の二重の差別も、韓国社会で結婚移住女性とし て暮すことがいかに難しいかを実感させる。 移住民への李明博政権の果てしない攻撃 今まで見てきたように、韓国における移住民は、人間としての当然の権利を持 つ主体というよりは、政府と資本の政策と利害関係によって排除されたり抱き 込まれる客体として認識されてきた。移住民への法/制度を大幅に改悪している 李明博政権の政策はこのような傾向をさらに深めている。 「不法滞留者がのさばってはいけない」という業務引継ぎ委員会の時の李明博 大統領の発言は「非専門外国労働者政策改善法案」で『350人規模の合同摘発班』 として具体化され、磨石のウサギ狩式の大規模な反人権的合同摘発で実行され ている。出入国管理法と雇用許可制の改悪も、韓国での移住民の暮らしを縛っ ている。 政府が移住労働者の権利を完全に保障すると自慢した雇用許可制は、三回目の 寄稿文「雇用許可制と違わない」を見ればわかるように、奴隷許可制と呼ぶべ きだ。さらには契約期間を1年単位から3年単位に延ばし(たとえば、悪徳事業主 に会った時に我慢する期間が1年から3年に延びる)、期間延長の権限が相変らず 雇い主に帰属し、移住労働者の従属をさらに強化する法改正を予定している。 出入国管理法改悪案は『入管公務員の名義で緊急保護書を発給』する規定が追 加され、これまで不法に行われていた『令状ない緊急保護』に免罪符を与える。 また、不要な生体情報収集、恣意的判断による強制退去などの毒素条項を大挙 含んでいる。このような事例が総合され、李明博大統領が大統領選挙の公約と して提示した『外国人労働者保護および多文化家庭支援』は強力な摘発追放と 恩着せ的な対策として批判されている実情だ。 危機を越えて連帯へ! 共存の社会のために変化が必要だ 統計資料によれば、2020年には外国人の割合は5%、国際結婚移民者の子女が子 供全体の20%を占めるという分析がある。想像が難しいが、たった十数年後の韓 国社会の姿だ。さらに多くの移住民と共存するには現在の韓国政府の管理、統 制、同化中心の移住民政策と韓国社会に残る人種差別的なイデオロギーが変わ らなければならない。警察のイスラム青年差別で2005年フランスで起きたデモ や白濠主義者(有色人種の移民に反対する白人たち) の中東嫌悪が引き起こした オーストラリアの暴力事態は、もはや対岸の火事ではない。 12月18日は国連が決めた世界移住民の日だ。12月14日、民主労総ソウル本部で は、『2008世界移住民の日を迎えての連帯の広場』が開かれた。この日移住民 は韓国で移住民として暮すことが自分にとってどんな意味があるのかを話し、 互いに出身国の歌と踊りを誇り、彼らの文化を他の国家の友と共有する本当の 『多文化』を見せた。連帯の広場で会った未登録移住労働者J氏の言葉は、移住 労働者の現状と今後の韓国政府、韓国社会が進む道を知らせる。 「私は1995年に家族の生計のために金を稼ぐために韓国に来ました。韓国の人 がいやがるところで一日に14-15時間働いても1か月の給料は120-130万ウォンに しかならず、作業場で韓国の人々からの差別は激しいが、故郷の家族に金を送 らなければならず、不法でも働くしかありません。苦しくて結婚もできなかっ たが、青春を送った韓国が好きで、よく助けてくれ韓国の人々が好きです。そ れで長く暮してきました。韓国の社長たちは働いて怪我をしても補償せず、闘 争をさせますが、移住労働者を必要としています。ところが政府はなぜ移住労 働者を摘発して保護所に閉じこめ、非人間的にするのかわかりません。政府は 韓国の未登録の仲間たちを合法化しなければなりません。そして『多文化』と よく言いますが、それは外国人が韓国での生活が苦しくて出てくる言葉のよう です。『多文化』という言葉がなくなるといいですね。」 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2009-01-15 04:33:55 / Last modified on 2009-01-15 04:33:55 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |