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記者の言葉の重さは違う

[メディアタック]言論への懲罰的損害賠償制度導入について

クォン・スンテク(言論改革市民連帯) 2021.01.07 08:09

「自分が間違えていることを無視して騒ぐ人が記者になれば、どれほど危険か、 自分の言葉の重さを知らずに適当なことを話す人がどれほど恐ろしいのか知っています。」

「記者も知らなければいけません。 自分の言葉が他人の言葉よりも恐ろしいことを....」

2014年11月、SBSで放映されたドラマ「ピノキオ」の キ・ハミョン(イ・ジョンソク)のセリフだ。 ドラマは間違った報道で破綻した家庭で生き残った子供がマスコミに持つ敵がい心をそのまま見せる。 そんなハミョンがよりによって記者になる。 それと共に、ドラマはマスコミの役割、 そして専門職で記者という職業について深く考えさせる。 このドラマはセウォル号惨事による「マスゴミ」議論が起きた後に放映され、 意味を加えた。 われわれは記憶する。 当時、多くのジャーナリストが遺体安置所に行って頭を下げた。 時間は流れた。 誰かが「マスコミは良くなったのか」と聞けば、 すぐに「そうだ」と答えるのは難しそうだ。 俳優パン・ミンジョン氏が報道機関から受けた多くの2次加害を見よ。

パン・ミンジョンのマスコミの報道に対する損害賠償訴訟

パン・ミンジョン氏は2015年4月、映画の撮影中に合意のない身体接触で 相手俳優だったチョ・ドクジェと法定戦を繰り広げて勝訴した。 問題はその過程でマスコミが加害の当事者になった点だ。 報道機関がパン・ミンジョン氏を困らせる方法は多様だった。 Aグループのメディアは彼を「被害者」と命名したが、 パン・ミンジョン氏の被害を刺激的に伝えた。 Bグループのメディアは性暴力加害者だったチョ・ドクジェが YouTubeでしている2次加害発言を熱心に引用した。 Cグループのメディアは「チョ・ドクジェは無罪」というフレームで報道したり、 パン・ミンジョン氏を悪意的に「美人局」に追い込んだ。 AグループとB・Cグループは程度の差があるだけで、 マスコミによる2次加害だという点では変わらない。 パン・ミンジョン氏はこれに耐えられず、 いくつかの、その中でも悪意のメディアを相手に訴訟を進めた理由だ。

パン・ミンジョン氏は今回も(一部)勝訴した。 それによってヘラルド経済は「俳優チョ・ドクジェの無罪主張が共感できる三つ理由」 という題名の記事をはじめ、90余件の記事を削除した。 SBSプラスは4件の記事のうち1件の削除と慰謝料300万ウォンを支払えという判決を受けた。 毎日新聞と嶺南日報に対しては強制調整命令が出され、 パンドラTVは1千万ウォンの損害賠償金を支払って謝罪した。 性暴力加害者のチョ・ドクジェの指図を受けて「恐喝O」という荷札を付けて虚偽報道をしたコリアデイリーは廃刊の手続きに入った。 そして編集局長だったイ・ジェポ氏は実刑を宣告された。

どうだろうか。正義は勝利したと考えてもいいのか。 パン・ミンジョン氏が受けた苦痛を天秤にかければどうか。 パン・ミンジョン氏が虚偽報道によって被害を受け始めたのは2016年7月からだ。 そして裁判所でマスコミの被害に対する損害賠償判決が出た時は2020年11月だ。 4年を越える時間が流れた。 裁判所の判決にもかかわらず、パン・ミンジョン氏に対する冷たい視線は依然として残っている。 削除もされないマスコミの報道と共にだ。

メディア界の熱いイシュー、「懲罰的損害賠償制度」

現在、メディア関連で最も熱いイシューは「言論に対する懲罰的損害賠償制導入」だ。 開かれた民主党が「誤報防止」のための総選挙公約に提示した。 共に民主党の鄭清来(チョン・チョンネ)議員は国会開院直後、 懲罰的損害賠償導入を骨子とする 「言論仲裁および被害救済などに関する法律一部改正法律案」を発議した。 そして法務部が報道機関を含む企業などの営利活動の過程で、 故意・重過失による被害誘発行為を止める「懲罰的損害賠償制度」を導入する 商法改正案を用意すると議論が拡散する。 韓国記者協会、韓国新聞協会、韓国新聞放送編集人協会の言論3団体は、 法案の廃棄と原点からの再検討を要求した。 マスコミの表現の自由という特殊性を考慮しない立法だという話だ。

パン・ミンジョン氏の法律代理を引き受けた言論人権センターは、 懲罰的損害賠償制度の導入に賛成する立場だ。 そして最近、民主社会のための弁護士の会と人権運動トハギは 「2020人権報告書」を発行して懲罰的損害賠償に賛成したと知らされる。 報告書には「商法により、すべての営利行為に懲罰的損害賠償対象を拡大しようという政府側の提案から、 マスコミだけを抜こうというような態度は、 他の産業群に対する礼儀ではない」と指摘された。 これは言論人権センターよりさらに一歩踏み込んだ主張だ。 言論人権センターは「マスコミの報道は商行為ではない」とし、 商法ではなく言論関係法による導入を要求しているためだ。 「表現の自由」の拡大を中心として活動してきた人権運動団体が 性急な結論を出したのではないかという惜しみが残る部分だ。

マスコミに対する懲罰的損害賠償制議論は、 現政権のいわゆる「フェイク・ニュースひっ捕まえる」と別に考えることはできない。 その始まりは曺国(チョ・グク)前長官の子供の特典疑惑報道、 そして孫恵園(ソン・ヘウォン)前議員の不動産投機疑惑報道が問題だったという認識に基づいていたりもする。 それだけではない。 21代国会で発議された「マスコミ」関連法案は衝撃的なものが多い。 李明博政権の経済政策を批判する文をインターネットに載せる 電気通信基本法の「インターネットに虚偽事実を流布した容疑」で拘束起訴された パク・テソン氏事件(ミネルバ)を覚えていると思う。 2010年12月、憲法裁判所は 「虚偽事実の表現が社会倫理などに反するとしても、 憲法が規定する言論・出版の自由の保護領域に該当する」とし、違憲決定を下した。 だが現在、国会には該当判決の趣旨を損なう法案が多数提出されている。 政府・与党主導で進められる懲罰的損害賠償は、 当初パン・ミンジョン氏をはじめとする一般市民の被害救済を重視したからではないということだ。

「言論の自由」という重さ、2021年には良くなるだろうか

「それで君は懲罰的損害賠償に賛成か、反対か?」という質問を受けるようになる。 個人的には、現在の懲罰的損害賠償制度議論には反対だ。 言論の監視機能と表現の自由が萎縮しかねない。 これに加えて韓国社会で貴重な声をあげてきた小規模メディアが消える憂慮もある。 小さなメディアは虚偽報道をしてもいいということではない。 誰かに「懲罰的損害賠償」が少数メディアを困らせる手段として活用されるという点でそうだ。 重要なことは、懲罰的損害賠償制度を導入するかどうかではなく、 市民の言論被害の予防と救済だという点を忘れてはいけない。

言論現業人の態度も不便なのは同じだ。 懲罰的損害賠償に対する言論現業人の態度には問題がある。 彼らの口からまず出てくるべきだった言葉は、 「反対」ではなく言論被害者に対する謝罪と自省でなければならなかった。 言論被害が発生するシステムを点検して積極的に被害救済に動く責任は彼らにある。 言論の自由は彼らに与えられた責務を果たした時にだけ有効だ。 「言論・記者が持つ言葉の重さ」とはそんなものだ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2021-01-12 06:58:54 / Last modified on 2021-01-12 06:58:59 Copyright: Default

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