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「人権大学と言いながら」...聖公会大非正規職解約で物議

非正規職解消のために非正規職解雇?...契約職行政職員を事実上『解雇』

キム・ドヨン記者 2011.05.03 20:34

『人権と平和の大学』聖公会大も結局、資本の枠組みから抜け出せなかったの か。2月の非正規職解約問題で聖公会大が疲弊している。学校は非正規職闘争の 現場に変わり、多くの学生が聖公会大の進歩性に問題を提起した。

春の気配がはっきり感じられた5月3日午後、聖公会大ピッツバーグ・ホール前 のケヤキの下に30余人の学生が集まった。風に舞う花びらのまん中である学生 がフルートを吹いている。その姿はまちがいなく春の日のキャンパスの姿だ。 だが、時々見えるプラカードの文句は普通ではない。この日の文化祭で、詩を 朗読した学部生のキム・ミン学生(デジタルコンテンツ学科、11学番)は、アン・ ドヒョンの詩『君に尋ねる』の「煉炭をみだりにけるな、君は誰かに一度でも 熱い人だったか」の部分を「契約職をみだりに切るな、君は誰かに一度でも雇 われた人だったか」と改作し、学生の大きな呼応を得た。

聖公会大、契約職行政職員7人を事実上『解雇』

この日、文化祭を開いた主体は『聖公会大契約職行政職員正規職化のための 非常対策委員会』(非常対策委)だ。

2月9日、聖公会大は契約満了3週間前に6人の契約職行政職員に契約満了を通知 した。契約期間が残っている4人にも再契約をしないと言い放った。結局学校は 学生からの問い合わせの応対、学科行政、授業と教授学習支援などの業務を担 当していた非正規職職員7人との再契約を解約した。

▲学校側が解約を通知し、行政職員に送った文書

解約当事者と学生は反発した。学校側から一方的に解雇を通知された職員は、 「学校側の契約満了通知と引受引継を要求する過程は、私たちに相当な侮蔑感 を与え、学校が私たちに持ち出してくる武器は『非正規職法案』だった」とし 「学士支援業務は常時的な業務なのに、2年ごとに置き換える(実際に二回置き 換えた)契約職で運営するというのは道理に合わない」と指摘した。

こうした契約職職員の問題提起にかなりの聖公会大学生が共感し、ついに総学 生会など学内単位29団体と12人の教・講師が参加(2011年5月3日現在)する非常 対策委が構成された。3月30日に公式に発足を知らせた彼らは、△一方的な解雇 事態への学校側の公式的な謝罪、△契約満了者を含む契約職行政職員全員の正 規職化、△職員・学生・教授などの学校構成員に対する民主的で体系的な意志 疎通体系の用意などを要求している。

非正規職を解消するために非正規職を解雇?

問題が大きくなり、学校側は3月17日に学校のホームページ公示掲示板で『行政 改編案について』という題名の公式な立場を発表した。学校の所長団は今回の 行政改編が、△サービスの強化、△非正規職解消、△学生福祉向上、△責任あ る資料管理のためのものと説明した。非正規職問題の解決と学事行政業務の質 的な向上のために学事行政を改編するということだ。それと共に学校側は、契 約職行政職員10人を契約満了にする代わり、正規職5人を配置(3人転換配置、2 人新規採用)し、業務の空白を解消するために『学生補助人材』を置くと付け加 えた。

だが非常対策委側はこうした学校の立場に対し「非正規職解消のために非正規 職を解雇する、非常に低調な問題意識」と即刻反論した。また「残りの業務の 空白を各種のインターン、国家勤労、学科長学生助手という低賃金パートタイ ムで間に合わせようとしている」と批判した。

▲3月30日「聖公会大契約職行政職員正規職化のための非常対策委員会」出帆式。この日の出帆式には総学生会など21の学内単位と学生250人が参加した。[出処:聖公会大契約職行政職員正規職化のための非常対策委員会]

カン・ウンスク一般大学院生(社会学科)はこうした決定が、これまで聖公会大 の内部闘争の歴史に回帰すると批判した。彼は「2005年にこの学校で助手を労 働者と認めろという闘争があり、その結果、かろうじて労働者性を認められる 契約職ができた」とし「だが今回の学事行政改編でまた『補助人材』という 『労働者でない労働者』が発生した。結局、2005年以前に回帰するもの」と評価した。

非常対策委側は「サービスを強化し、非正規職を解消し、学生福祉を向上させ、 責任ある資料管理をするには、現在の非正規職契約職員を正規職化すべきだ」 と主張した。

学生たち、「進歩的な聖公会大、だからさらに失望が大きい」

聖公会の大学生たちは、何よりもこれまで『平和と人権の大学』というスロー ガンで『進歩』の社会的役割と責任を自任し、またそうした信念で学生を教え てきた聖公会大がこうした事を起したことに失望感を隠せなかった。

総学生会は2月23日に初めてこの問題を学内で公論化するにあたり出した立場も 「人権と平和の大学である聖公会大学校で、すでに社会的に深刻な問題として 台頭しているいわゆる『非正規職問題』が同じ様相で発生し、処理されたこと は非常に遺憾だ」ということだった。

非常対策委に参加するある学生は「教授が外では700万非正規職がどうだこうだ と言い、学校の中では『この問題は非正規職問題ではない、学校財政はとても 難しい』と話すなど、あまり違わない」とし「その上、ある教授はあの行政職 員をみんな正規職に転換すると君たちの登録金は5%上げなければならないと言 う」と伝えた。

一例として、チャン・ギヨン総務処長は3月25日、学校のコミュニティ掲示板で 「期間制契約職職員の『期間満了』による退社と『解雇』は明確に違う。勤労 契約書に賃金と期間が明示された契約書を確認して署名した」とし「したがっ て、退社日時は別途に公示しなくても法的に問題はなく、道義上、あらかじめ 再契約の意思がないことを伝えただけで、これについて『一方的な解雇』事態 と規定するのは明確に事実関係を歪曲するもの」という立場を発表し、学生の 公憤を買った。

該当文には『むしろ聖公会大が非正規職法を活用して契約職を解雇している』 という内容の批判文が次々とつけられた。イム・ミンフィ氏は「私たちは学校 に法的な問題があるから訂正してほしいと言うのではない。学校で教えられた 理念と思想は、非人間的な法を越えると思うので、(悪)法ではなく学校の教育 理念のとおりに行動してほしいと要求している」とし「これが私が4年間学校で 学んだ教育理念の最後の扱いだ」と話した。

「冷たい法と経営論理ではなく暖かい人間の論理の適用を」

まだ幸いなことは、最近、学校と非常対策委の間で対話の通路が開かれたこと だ。5月2日、問題が発生してから3か月目に初めて非常対策委と学校所長団が会っ た。学校側は20日に非常対策委の面談要請に応じた。非常対策委によれば学校 側の所長団はこの日の面談で、解約過程で『人』を排除して非正規職の問題を 考慮できなかった部分は認めつつ、非常対策委側の謝罪要求には「今は議論の 段階ではない」と一蹴した。非常対策委側はひとまず対話が始まったこと自体 に意味を置いた。

8月に解約を控えている行政職員のキム・ミラ氏も「この学校で学んだことを通 じ、他人とは違う考えを持つようになって、いつも自負心があったが今回のこ とで学校への失望と背信が大きい」が、「まだ学校への一抹の信頼がある」と し、やっと開かれた対話通路に期待をみせた。

聖公会大が既存の大学と違う資産があるとすれば、こうした鋭敏な人権感受性 であり、今、学校に鋭く問題提起しているこの学生たちだろう。現在、彼らを 支配する『聖公会大も違わない』という絶望を破り、今こそ学校が『違い』を 見せられるのか、彼らの問題提起に目をとじず、総学生会が主張するように 「契約職職員に対し冷たい法と経営の論理だけでない、暖かい人間の論理を 適用」するのかに注目される。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2011-05-05 00:01:36 / Last modified on 2011-05-05 00:01:37 Copyright: Default

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