韓国:製造業に向かうトロイの木馬、社内下請法案 | |||||||
Menu
おしらせ
・レイバーフェスタ2024(12/25) ・レイバーネットTV(12/11) ・あるくラジオ(10/10) ・川柳班(フェスタ投句募集中) ・ブッククラブ(2025/1/11) ・シネクラブ(9/1) ・ねりまの会(10/12) ・フィールドワーク(足尾報告) ・三多摩レイバー映画祭 ・夏期合宿(8/24) ・レイバーネット動画 ●「太田昌国のコラム」第97回(2024/12/10) ●〔週刊 本の発見〕第370回(2024/12/12) ●「根津公子の都教委傍聴記」(2024/12/19) ●川柳「笑い茸」NO.158(2024/10/26) ●フランス発・グローバルニュース第14回(2024/10/20) ●「飛幡祐規 パリの窓から」第96回(2024/12/5) ●「美術館めぐり」第5回(2024/11/25) ★カンパのお願い ■メディア系サイト 原子力資料情報室・たんぽぽ舎・岩上チャンネル(IWJ)・福島事故緊急会議・OurPlanet-TV・経産省前テントひろば・フクロウFoEチャンネル・田中龍作ジャーナル・UPLAN動画・NO HATE TV・なにぬねノンちゃんねる・市民メディア放送局・ニュース打破配信プロジェクト・デモクラシータイムス・The Interschool Journal・湯本雅典HP・アリの一言・デモリサTV・ボトムアップCH・共同テーブル・反貧困ネットワーク・JAL青空チャンネル・川島進ch・独立言論フォーラム・ポリタスTV・choose life project・一月万冊・ArcTimes・ちきゅう座・総がかり行動・市民連合・NPA-TV・こばと通信
|
製造業に向かうトロイの木馬、社内下請法案[寄稿]セヌリ党の社内下請け保護法案は製造業への派遣を許容
全国不安定労働撤廃連帯 2012.06.05 18:22
セヌリ党は5月29日、「差別ない世の中、透明な社会のための希望はしご12大 法案」を発表した。非正規労働者など難しい環境でも熱心に希望を持って暮らす 人々に希望をあたえる法案を作るということだ。その一つがイ・ハング議員が 代表発議した『社内下請け勤労者保護などに関する法律』だ。セヌリ党は この法案をはじめとする非正規職関連法の改正案を100日中に貫徹する立場だ。 社内下請け法案を要求し続けてきた企業この法律は、2011年5月末労働市場先進化委員会で『公益委員案』という名で 発表した『社内下請けガイドライン』に基づく。このガイドラインは「社内下請 関係が共生と協力の関係に発展させるために、発注元事業主と需給事業主間での 公正な取り引き秩序を確立」を目的とするとし、社内下請けがすでに自然な請負 関係だと主張した。2010年7月、大法院が現代自動車不法派遣に判決を出し、 流れ生産につながる自動車工場のような製造業では事実上、合法的請負は難しいと 指摘したが、このガイドラインはその事実を歪め、製造業への不法派遣を事実上 合法化するものだった。 このガイドラインが発表されると、資本家集団とハンナラ党は〈産業競争力と 社内下請け活用討論会〉を開き、このガイドラインに対する彼らの立場を発表 かにした。この日の討論会で経済人総連のイ・ドンウン専務は、「現代の生産 工程は多様化し、社内下請けは決して悪いこととは言えず、今後も減ることは ない」と主張した。これに対して釜山大のクォン・ヒョク教授は「今、韓国型 社内下請けを語ろう」とし「すでにある社内下請け問題を、遡及して不法化す るのではなく、通路を開いて自主的に合理的な韓国型社内下請けの姿を形成し よう」と主張した。 しかし結局、彼らが言う事は一つだ。企業は労働者を社内下請けの形態で使用 し続ける、だからこれらをすべて合法化しろということだ。その上、これらを ガイドラインにすると、あるいは発注元が社内下請労働者にあれこれの措置を 取ることが不法派遣の証拠になりかねないので、ガイドラインではない実効性 のある方案を出せと注文する。事実上、法で認めることを要求したのだ。 社内下請の名で製造業派遣を合法化する法案セヌリ党は、こうした経済界の要求を積極的に受け入れて、結局、社内下請け 勤労者の保護などに関する法律を出した。この法は『社内下請』の名で製造業 への派遣を許容するものだ。この法案を見ると、発注元の会社は社内下請業者 と契約する時、社内下請労働者が働く業務と場所、代金内訳、労働時間と休日、 安全と保健に対するすべての内容を含んで契約をするようになっている。企業 が言うとおり、社内下請が正常な請負なら、その請負業者で働く労働者の労働 条件を発注元が詳細に規定する何の理由もない。そんな規定は発注元が労働者 の業務を規定したり管理監督する時に必要なものだ。結局、名前は社内下請 だが、事実上は派遣であることを認めることだ。 またこの法案は、「業務の連続性がある場合は、特別な理由がない限り、既存 の需給事業主が雇用した勤労者の雇用および勤労条件を維持しなければならな い」とする。結局、この法案が言う社内下請は、会社が変わるだけで労働者は そのまま働く形態という意味だが、これが『派遣』でなければ何だろうか? そ れで、これまで不法派遣の兆候と見なされた内容、たとえば発注元の使用主が 業務を指示したり人事労務管理に関与してきたことを今回の社内下請法は可能 にしたのだ。たとえば19条は「発注元事業主は需給事業主の人事労務管理権限 と責任を尊重し、これに干渉してはならない。ただし、作業の特性上、不可避 な場合には需給事業主の協力を要請できる」とし、事実上、発注元の作業指示 の権限も開いている。 派遣許容業種を増やそうとする試みが労働者の反発と闘争で挫折し続け、製造 業への社内下請形態が不法派遣という判決が出たので、今は『社内下請保護』 という名分で製造業への派遣を認める別の法案を作り出したのだ。2005年現代 自動車などの自動車工場で不法派遣闘争が始まってから、企業はそれを避ける ために製造業派遣を認めろと主張していたことを法の名前を変えただけで施行 しようとするのだ。 本当の社長は相変らず責任を負わない本当の社長である発注元事業主は、社内下請で合法的地位を認められ、自由に 作業の指示をしても、事実上使用主としての責任はない。この法で、『発注元 事業主の遵守事項』があるが、ほとんどは適切な請負代金の保障や苦情処理に ついてのもので、使用主としての責任は全く問わずにいる。「発注元事業主は 事業場内のすべての社内下請勤労者が投票に選出した代表を労使協議会に参加 させなければならない」というが、これは使用者としての責任を認める条項で はなく、適正な社内下請の施行措置として社内下請に関する苦情処理の事案だ。 この法案で、社内下請労働者の保護だと主張する差別是正制度はすでに現行法 で社内下請労働者にも適用されている。しかしこうした差別是正が容易ではな い理由は、差別是正を申請した瞬間、発注元から業者契約が解約され、労働者 が解雇されるためだ。もちろん第5条では「発注元事業主は社内下請け勤労者の 性別・宗教・社会的身分や労働組合の活動などを理由で社内下請契約を解約し てはならない」とし、まるで労働者の労働権を保障するかのようだ。ところが この法は労働組合活動を理由にした社内下請解約を不当労働行為とは認めない。 罰則条項には含まれていないのだ。 これまで、労働者たちは発注元の使用者責任を認めろと要求してきた。労働者 たちの労働条件に影響を与え、実質的な管理監督もして、解約の権限も一方的 に持つ発注元が使用者責任を持たない以上、発注元の不当労働行為から自由な はずもなく、労働者の権利を得ることができないためだ。しかしこの法案は、 労働者が発注元を相手に闘争し、交渉する権利を認めない。結局、社内下請 労働者の労働権は保障されないのだ。 われわれは『保護』を望まない、『権利』を得ようとするセヌリ党は『社内下請労働者の保護』を、社内下請はやむを得ないので差別を 是正して、雇用ぐらいは安定させようということだ。これに加えて経済人総連 は、大法院判決により社内下請を正規職化すれば、正規職になれない労働者の 労働条件はさらに悪くなり、企業が新規採用をせず、失業問題が深刻化すると 主張する。一種の脅迫だ。鄭夢九が稼いだ天文学的な株式配当金は社内下請労 働者から搾取したものであり、正規職労働者の殺人的な長時間労働は新規採用 をせず、労働者をこき使った結果だった。それに触れず労働者の心配をするふ りをするのは欺瞞だ。 社内下請労働者は、企業とセヌリ党に「私たちを保護してくれ」と言うのでは ない。彼らはそう言う代わりに「私たちの権利は私たちが勝ち取る」と話し、 闘争してきた。不法派遣をせずに雇用を原状回復しろと要求した。不法派遣を 正当化する派遣法をなくせと要求した。そしてそうして不法行為で搾取した金 を、その不法な合法化ロビー資金に注ぎ込む人々を罰するよう要求した。社内 下請労働者は企業とセヌリ党より青年失業者を心配した。雇用創出のために、 非正規職を増やそうという主張の虚構性を批判して、労働時間短縮と雇用拡充 のために闘争した。2・3次下請を心配するふりをする企業とセヌリ党に「すべ ての社内下請を正規職化しろ」と要求して闘争した。だから現代自動車の社内 下請労働者は『すべての社内下請の正規職化』を要求し、25日間占拠ストライキ をしたのは、苦しいものだったが真に大切な闘争だった。 派遣法の問題を知らせて闘争してきた放送局非正規職労働者、発注元の使用者 責任をきちんと問うために拘束手配に耐えて闘争した建設労働者、不法派遣に 対し、すべての社内下請を正規職化しろと闘争してきた社内下請労働者、民間 委託に対抗し、今は直接雇用に戻ろうと主張する公共部門労働者を思い出そう。 その闘争の結果、今、派遣法はなくすべきで、元請に使用者責任を問うべきだ というのが社会的な流れになった。ところがセヌリ党と企業はこうした時代的 な流れを元に戻すため、全力をふりしぼっている。社内下請労働者は、誰かに 保護される存在ではなく、闘争で正当な権利を取り戻すということを今こそ 見せなければならない。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2012-06-06 11:09:20 / Last modified on 2012-06-06 11:09:25 Copyright: Default このフォルダのファイル一覧 | 上の階層へ |