不法派遣に免罪符を与える雇用労働部...社内下請の優秀事例、本当?
現代重工業、GM大宇、大宇造船海洋などは非正規職弾圧事業場
ユン・ジヨン記者 2011.12.26 12:08
12月20日、雇用労働部の『社内下請け勤労条件改善サポーター』が発表した
『社内下請けガイドライン遵守優秀事例』は、事実上、不法派遣に免罪符を
与えるものだという批判が提起されている。
雇用労働部が優秀事例として選んだ起亜車、現代重工業、大宇造船海洋、ソウル
聖母病院、韓国GMは、労働界の内部で社内下請、非正規職労働基本権の『死角
地帯』と呼ばれる事業場とされているためだ。特に今回の社内下請けサポーター
のガイドライン遵守現況調査は、これまで大法院の不法派遣判決を歪曲しかねず
憂慮の声があがっている。
現代重工業、大宇造船海洋、GM大宇
『社内下請けガイドライン』優秀事業場?
8月19日に発足した『社内下請け勤労条件改善サポーター(委員長パク・ヨンボム
サポーター)』は、4か月間、自動車、造船、電子、サービスの4業種243社(元請
33社、下請210社)を対象としてガイドラインの遵守現況を調査した。
サポーターは調査結果を基礎に、12月20日、大宇造船海洋、LGディスプレー、
ソウル牙山病院、現代重工業、新世界デパート、ソウル聖母病院、ノキアTMC、
韓国GM、新世界デパートを社内下請けガイドライン遵守主要優秀事例に選んだ。
大宇造船海洋は、元請勤労者成果給の70%を社内下請け勤労者に支払っており、
LGディスプレーは元請の利益配分時に社内下請け勤労者にも一定の割合が配分
される制度があるという。ソウル牙山病院も経営の成果の一部を年末の特別
ボーナスという形で社内下請け勤労者と共有していることで『成果配分』優秀
事業場に選ばれた。
現代重工業は、元下請間の賃金格差を小さくするため2010年に社内下請勤労者
の賃金上昇率を元請より高く策定して、『勤労条件』優秀事業場に選ばれた。
新世界百貨店は、食堂、休憩室の他にも整った保育施設、フィットネス施設を
元下請が共同で利用でき、ソウル聖母病院は元下請勤労者に同じ医療費割引の
恩恵などがあるため『厚生福祉』優秀事例に選ばれた。
またノキアTMCは、2010年から2011年まで社内下請け勤労者866人を直接雇用し、
韓国GMも2003年から2011年まで1400人ほどの社内下請け勤労者を直接雇用した
とし、『雇用』部門で優秀事業場に選ばれた。
調査後、パク・ヨンボム委員長は「社内下請けの活用実態は業種別、企業別に
多様に現れており、今回の活動はガイドラインへの認識を拡散する契機になっ
た」とし「今後もモデルケースを積極的に発掘、伝播とガイドラインが産業の
現場に広がるように支援したい」と明らかにした。
「労働部、不法派遣と差別に免罪符を与えた」
だが労働界はサポーターの調査結果は、実際の事業場の実態からかけ離れてお
り、さらに不法派遣と差別に免罪符を与えるものだと批判している。労働部が
優秀事例に選んだ事業場は、社内下請、非正規職労働者が組織した労組を最も
厳しく弾圧をする事業場で、現在も雇用不安と差別、労働基本権剥奪に対する
闘争が行われている事業場だ。
そのため、全国非正規労組連帯会議(全非連)は12月25日、『社内下請けガイド
ライン遵守優秀事例の真実』を発表し、雇用労働部の主張に反論した。全非連
によれば、現代重工業の場合、社内下請の割合は正規職の108%にのぼる。特に
労働部の発表と違い、正規職は勤務日数の700%が支給される賞与金も非正規職
には支給されず、2011年賃金団体協議の結果は正規職と違い、社内下請労働者
に基本給引き上げは行われなかった。
大宇造船海洋も社内下請の割合は正規職の242%になるが、社内下請の通常賃金
は正規職と較べ約80万ウォンの賃金差別を受けていた。ソウル聖母病院の契約
職も、ほぼ2年以内の雇用で、間接雇用は用役業者が病院と契約を結ぶ期間のみ
雇用され、その期間内にいつでも解約されているという。
雇用労働部は、韓国GMがこの8年間に1400人の社内下請け勤労者を直接雇用した
と明らかにしたが、これまで無給休職、業者廃業、解約など多様な形式の社内
下請労働者の解雇が続いてきた経過を無視していると指摘する。GM大宇は2007
年の廃業と、GM大宇非正規職支会幹部の懲戒解雇で、解雇者が大量に発生した。
2009年には社内下請千人に無給休職措置が取られている。その後2009年4~9月
の間に大部分の無給休職者が希望退職し、希望退職しない組合員がいる社内下請
2社が廃業した。
特に全非連は、パク・ヨンボム委員長が起亜車に言及し、元請と社内下請労働
者が混在勤務していなければ不法派遣ではないというような結論を誘導してい
ると声を高めている。2010年7月22日、現代自動車社内下請に大法院が提示した
『ベルトコンベアによる流れ生産工程の自動車組み立てラインでは、社内下請け
が独立した業務を目的にする請負にはなれない』という判例を歪曲する恐れが
あるという指摘だ。
その上、2005年、労働部は起亜自動車社内下請を不法派遣と認定し、今年7月に
起亜車社内下請約500人が起亜車を相手に『勤労者地位確認および賃金請求訴訟』
を提起し、進行中だ。
そのため全非連は、「最高裁の判決があったのに、現代車などの社内下請労働
者の不法派遣、正規職化要求を徹底的に無視している雇用労働部が、意欲的に
『社内下請けガイドライン』を推進することは、事実上、不法派遣の是非から
逃げる方法を指導している」と批判した。続いて彼らは「もしこれらの事例が
社内下請け活用の優秀事例なら、今年7月に発表した雇用労働部のガイドライン
が実際に何を意図しているのかを赤裸々に表すもの」と指摘した。
原文(チャムセサン)
翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可( 仮訳 )に従います。
Created byStaff.
Created on 2011-12-27 03:09:18 / Last modified on 2011-12-27 03:09:30 Copyright:
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