民主労総侵奪の公務執行「適法4、不適法3」

キム・ジョンフン前委員長の国民参加裁判、懲役1年6か月・執行猶予2年を宣告

裁判所が警察の民主労総侵奪に抵抗する過程で、進入した警察に負傷させた容疑で起訴されたキム・ジョンフン前全教組委員長に対し、 懲役1年6か月、執行猶予2年を宣告した。

ソウル中央地方法院刑事26部(部長判事キム・ウス)は2月3日、 特殊公務執行妨害と特殊公務執行妨害致傷容疑で起訴されたキム・ジョンフン前委員長に対する1審判決を下した。 この刑が確定すると、キム前委員長は国家公務員法により教師職を失う。

民主労総侵奪が適法な公務執行か?

裁判所は争点になった逮捕令状職務執行適法性について 「逮捕対象者らの通話内訳、言論報道などに基づき、 彼らが民主労総に潜伏している蓋然性がある状況で、 民主労総捜索の必要性と緊急性に照らしてみると、適法な公務執行と見られる」と明らかにした。

▲キム・ジョンフン前全教組委員長が宣告を控えて記者の質問に答えている。

問題になった過剰兵力配置についても 「逮捕令状の執行を阻止する人員とその程度を見ると、 消防署員を呼び扉を解錠し、相当数の警察を動員して建物に進入した後、 捜索した行為は最低限の範囲内で行われたので刑事訴訟法199条1項の比例の原則に反しない」と付け加えた。

だが国民参加裁判で行われた今回の事件陪審員の有無罪関連評決を見ると、 最高の争点に浮上した「逮捕令状だけで民主労総捜索が可能だったのか」と 「拘束令状なく逮捕令状だけで建物主の許可ない開閉装置の解除が可能か」に対し、 7人の陪審員のうち公務執行で適法だという意見を出した陪審員と、 不適法だという意見を出した陪審員がそれぞれ4:3に分かれるなど、論議の余地を残した。

民主労総侵奪の前日の2013年12月21日に警察が申請した民主労総押収捜索令状を裁判所が棄却した状況で、 逮捕令状だけで民主労総を侵奪した警察の公権力執行に対する問題提起は相変らず有効だという傍証だ。

国民参加裁判陪審員の評決は適法4:不適法3

裁判所は「被告人の犯行の後、捜査機関の過度な捜索などによる、 すなわち被告人の主張と同じ民主労総事務室の開閉装置および備品などの損壊、催涙液乱射などに関する法的責任問題は、 別途に論じられる」と線を引いたが、判例によれば 「公権力行使の方法または手段などが職務上の義務に違反して国民に損害を加えた場合には、 その行為全体を違法と評価して国家賠償責任を認めることができる(ソウル高裁、2006ナ68348)」と明示されている。

裁判所は警察の民主労総侵奪k過程であらわれた ▲弁護人参加権制限< ▲夜間執行制限違反の争点事案も認めなかった。

裁判所はまた、 「警察が消防署員の助けを受けて京郷新聞の扉を除去し、建物を捜索した行為は適法な内容であり不当な侵害ではないので、 キム前委員長の正当防衛は成立せず、正当な行為でも適法な逮捕令状執行を妨害する行動であり目的の正当性を持たず、成立しない」と説明した。

裁判所はキム前委員長の量刑について 「逮捕令状の執行を妨害して危険物であるガラス破片を投げたことは、 正当な公権力行使を無力化する犯罪行為」としつつ 「被害傷害を負わせた行為が多少偶発的に発生したと見られ、 傷害は深くなく被害回復のために努力した点などを考慮して、量刑の参考にした」と明らかにした。 特殊公務執行妨害致傷の場合、最低懲役3年の刑だが、裁判官の裁量で刑を減軽したのだ。

陪審員の評決意見をみると、 キム前委員長の「過剰防衛」が認められるという意見と、そうではないという意見も3:4で対立した。 京郷新聞玄関の大型ガラス扉が割れ、全身にガラスの破片を浴びたキム前委員長が極度の興奮と不安状態により、 防御行為の強度が高まったことを認める雰囲気もあった。

「わが国の人権水準に合う判決を期待して控訴」

今回の裁判は、1月27日から29日までの3日間、国民参加裁判で行われ、 検察は裁判最終日に懲役3年を求刑した。 同日、陪審員の評議まで終わったが裁判所は「法理的な争点を再検討する」という異例の決定をして、宣告を先延ばしした。

▲全教組は判決の後の記者会見で控訴の立場を明らかにした。［出処:全教組］

全教組は裁判の後に記者会見を行った。 この席に参加した全教組のピョン・ソンホ委員長は 「鉄道という公共財を資本に渡そうとする試みに反対する鉄道ストライキを弾圧した政府が、 100人程度が守っている建物に公権力を投入し、 彼らを容赦なく踏みにじったことが今回の事件の真実」とし 「憲法で保障された権利を取り戻すために闘争する」と明らかにした。

この事件の弁護を担当したシン・インス弁護士(法務法人ヨヌン)は 「国民参加裁判で進められた今回の裁判の結果を謙虚に受け入れ尊重する」が 「今回の判決は、捜索令状のない逮捕令状の適用範囲を決めるリトマス試験紙のようなもので、 当然勝つべきだった事件だが、弁護人が陪審員と裁判所にこれを伝える方式が足りなかったと感じる。 わが国の人権水準にふさわしい判決を期待して控訴する」と明らかにした。

キム・ジョンフン前委員長も 「逮捕令状万能主義を認めた判決が残念だ。 割れたガラスを全身に受けて恐ろしかったし、その状況が情状参酌されなかったことも残念だ。 逮捕令状で万事可能な権力を振り回し、市民を恐怖に震えさせたその状況に、誰かが責任を取らなければならない」と力説した。 付け加えて「最終審までまだ時間が残っているが、昨日、学校に復職した後、初めて授業をして今日、教職喪失宣告を受けたので複雑な心境だ」とし、 最後まで応援してほしいという所感を伝えた。(記事提携=教育希望)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
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