「国定教科書、『教育中立性』の憲法精神を侵害」

ソウル大の歴史学者の77%が意見書、歴史教師の2255人が宣言を発表

▲2日午後ソウル大のオ・スチャン教授(国史学科)とユ・ヨンテ教授(歴史教育科)が政府ソウル庁舎接見室で黄祐呂教育部長官と会った後、記者に内容を説明している。 (c)ユン・グニョク［出処:教育希望］

ソウル大の歴史学専攻教授34人が 「歴史(韓国史)教科書を国定化する政界の議論は、『教育の政治的中立性』を規定している憲法精神に合致しない」という意見書を黄祐呂(ファン・ウヨ)教育部長官に渡した。 全国の小中高の歴史教師2255人も国定制に反対する宣言を出すなど、国定教科書の議論が広がっている。

なぜソウル大の歴史学者が怒ったのか?

9月2日午後2時からソウル大のオ・スチャン教授(国史学科)とユ・ヨンテ教授(歴史教育科)が政府ソウル庁舎接見室で黄祐呂教育部長官を40余分間会った。 ソウル大学の国史学科・東洋史学科・西洋史学科・考古美術史学科・歴史教育科の専攻教授34人が署名した 「国政歴史教科書推進反対意見書」を渡すためだ。

この意見書には、ソウル大の歴史学専攻教授44人の77％にあたる34人が署名した。 ソウル大の教授がこうして国定教科書に反対する意見書に集団署名したのは初めてだ。

この意見書で教授らは 「歴史(韓国史)教科書を国定化する政策が政府と与党により広く明言された」とし 「韓国の政界のそうした議論が『教育の自主性・専門性・政治的中立性』を規定している憲法精神と合致しないと憂慮している」と明らかにした。

この日の午前、セヌリ党の金武星(キム・ムソン)代表は交渉団体代表演説で 「中・高校の学生たちが偏向した歴史観による教育で混乱しないように ぜひ『国政歴史教科書』導入が必要だ」と教育部を圧迫する態度を見せた。

意見書に署名したソウル大の教授らは 「国定化により本質的に変わる点は、政府が歴史教科書の叙述を独占することになるということ」とし 「こうした独占政策は、民主化と産業化を通じて実現した今日の大韓民国の地位にふさわしくない」と指摘した。

それと共に教授らは 「同じ歴史教材で全国の学生を教えるのは、 歴史的想像力と文化創造力量を大きく萎縮させ、 民主主義はもちろん、経済の発展にも障害になる」とし 「周辺の歴史学者の中で国定化に賛成する人はいない」と明らかにした。

▲ 2日午後ソウル大歴史専攻教授らが黄祐呂教育部長官に渡した意見書. (c)ユン・グニョク［出処:教育希望］

黄長官と会って出てきたユ・ヨンテ教授は 「われわれは5・60年代、あの激しい冷戦状況でも、 検定歴史教科書を使ったのに…」と残念がった。

今月末までに歴史教科書を国定にするかどうかを告示する予定の教育部は、 行政手続き法によって告示の20日前の今月の初めまでに関連の内容を行政予告しなければならないものと見られる。

全国歴史教師2255人も「国定」反対宣言

一方、小中高で歴史を教える教師2255人(1669校所属)も 「韓国史教科書国定化と歴史と教育課程の改悪に反対する宣言』をこの日に出した。 昨年10月、1034人が参加した1次宣言に続き二回目だ。

宣言に参加した教師たちは 「政府が学生たちに一つの歴史解釈を注入する国定教科書は、歴史教育の本質に反する」とし 「政府はバランスが取れた教科書を強調しているが、 その真実は国定教科書を通じて『親日と独裁』を美化しようとするもの」と批判した。

それと共に教師たちは 「現場教師の反対にもかかわらず、韓国史教科書の国定化を決めれば直ちに国定化廃止運動を行うと共に、 代案的歴史教育実践のために努力する」と約束した。(記事提携=教育希望)

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
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