「不良初等〈歴史〉教科書では教られない」

全教組、きちんとした歴史授業ための教師宣言、研修進行

▲教育市民団体は光化門政府ソウル庁舎の前で記者会見を行い初等国定歴史教科書廃棄を要求する一方、現場対応計画を発表した。(c)教育希望

教育界が国定歴史教科書の弊害をそのまま抱えている初等6学年の社会教科書の廃棄を要求した。 全教組の教師らは「非適格」教科書では授業ができないとし、 教科書の誤りを分析した結果と授業案など、 授業資料を共有する初等社会科研修を進める一方、 誤りだらけの歴史教科書によらず「きちんと教える」という初等教師宣言を行うと明らかにした。

全教組と韓国史教科書国定化阻止ネットワーク(ネットワーク)は3月9日午前、 ソウル市光化門政府総合庁舎正門の前で 「朴槿恵印初等国定歴史(6学年1学期社会)教科書廃棄要求および現場対応計画発表」記者会見を行った。

冒頭発言をした全教組のピョン・ソンホ委員長は 「大韓民国政府樹立は1919年だと憲法に明示されているのにこれを否定して、 1948年の大韓民国樹立を明示した教科書、 親日と独裁を美化する初等6学年1学期社会教科書(初等〈歴史〉)は、 執筆基準と筆者陣も公開しないまま、密室で秘密裏に書かれている中等国定歴史教科書の歪曲を推測させる」とし 「教師たちが歴史歪曲教科書を直すことを要求し、直接行動に立ち上がる」と明らかにした。

ネットワークのイ・ジュンシク政策委員長は、 教育部が2014年9月に発行した初等社会教科書のサンプルで360箇所ほどの誤りと偏向性が発見され、 指摘されたすべての内容は修正されたが唯一直されなかった部分が 「朴正煕(パク・チョンヒ)政権を独裁政権と書かなかった」という指摘だと批判した。 6学年1学期の社会教科書は、歴史学界と教育界の指摘により補完過程を経たが、 相変らず124か所の誤りと偏向性が発見された。

イ・ジュンシク政策委員長は 「独裁を独裁と教えず、国民すべてを洪吉童にして、 親日独裁に免罪符を与えるのが朴槿恵(パク・クネ)印国定教科書の特徴」とし 「教科書という名前を付けることさえ心苦しい雑書はごみ箱に送るべきで、 不良教科書を教育現場から退出させるために教師、市民団体、歴史学者が力をあわせる」という言葉で関心を訴えた。

▲ (c)教育希望

全教組は国定教科書の素顔を暴露して「きちんと教える」という教師たちの覚悟を込めた小学教師宣言を行うと明らかにした。 ソウル、京畿、全北、光州など市道支部ごとに6学年1学期の社会教科書の問題点を分析し、 正しい歴史授業のために地域ごとの教師研修も行う計画だ。 研修の後には共同授業を行い、国定社会教科書の問題点を知らせる。

全教組ソウル支部は3月19日「心配な小6歴史授業共に解きます」を主題に社会教科研修を準備している。 ソウル支部のキム・ヘギョン正しい教育室長は 「誤りだらけの教科書に黙っていられず、緊急に準備した研修なのに100人ほどが参加を申請した」とし 「研修は6学年1学期の社会教科書全般の問題を説明する講演と、現場教師の教育課程の再構成の事例と授業資料案内などの内容になる。 すぐ3月からの授業に適用できるようにする」と明らかにした。

この日の記者会見の参加者は声明書で 「昨年の5学年2学期の社会教科書も誤りと偏向が数えきれない程指摘され、 教師が該当の部分に訂正メモを貼り付けてつぎはぎになった教科書で授業をしなければならなかったが、 責任を取るべき当の教育部は学者が言い訳をするばかりという無責任の極限状態を見せた」とし 「今回の教科書は無責任からさらに進んで慰安婦の叙述を削除し、 李承晩建国論を反映させて憲法に違反するなど、 『政権の侍女』としての姿を見せて独裁政権に免罪符を与えている」と指摘した。

全教組とネットワークは、非適格判定を受けた初等6学年1学期の社会教科書を廃棄することを教育部に要求する一方、 市道教育庁には代案教材製作と教師研修配置などの積極的な役割を要求した。 さらに、 ▲歴史教科書ばかりかすべての教科書の発行を認定・自由発行体制に転換すること、 ▲国家教育委員会および社会的教育課程委員会の新設などを要求した。

▲全国教育大学生連合も初等6学年の社会教科書慰安婦表現削除を糾弾して少女像の前で記者会見を行った。(c)教育希望

同日、全国10の教育大学校学生で構成された全国教育大学生連合も、 日本大使館少女像の前で 「初等6学年社会教科書慰安婦表現削除糾弾と歴史教科書国定化廃棄要求」記者会見を行った。

全国教育大学生連合は記者会見文で 「6学年1学期の社会教科書は教育部がすべての権限を持つ国定制で、 教科書の内容が政権によりいかに振り回されるかを赤裸々に見せた端的な例だ」とし 「来年から子供たちが学ぶ国定中高校の韓国史教科書は、 執筆陣も、編纂基準も公開されないまま秘密裏に執筆されており、 将来、子供たちがどんな歴史を学ぶのか心配だ。 先生になって教育を責任を持つべきわれわれは、偏向して歪んだ歴史教育に黙っていられない」と批判した。

原文(労働と世界)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作権:この記事は民主労総の機関紙「労働と世界」に掲載された記事です。