本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:[民主労総ロードマップ政策ワークショップ](3回)-「いかに団体行動を保障するか」
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 20050725roadmap...
Status: published
View


職権仲裁の代わりに最小維持業務、「公益調和 vs スト権制限」

[民主労総ロードマップ政策ワークショップ](3回)-「いかに団体行動を保障するか」

崔ハウン記者

20日の民主労総第3次ロードマップ政策ワークショップでは、『いかに団体行 動権を保障するか』という主題で職権仲裁廃止に関する議論を主として進められた。

最近の保健医療労組ストライキで、再び議論になった職権仲裁制度は、ずっと 前から憲法で保障されている労組の団体行動権を奪う旧時代的な制度として批 判されてきた。1996年と2003年に合憲決定が下されたが、2003年には違憲とす る意見が4人にもなっていた。国際労働機構の結社の自由委員会(CFA)も、最近 数年間、職権仲裁制度について必須共益事業の範囲を調整するように是正勧告 をした。

労使関係制度先進化委員会(先進化委員会)は、『労使関係法制度先進化方案』 として、必須共益事業の概念と職権仲裁制度を廃止する代わりに、公益を保護 するための方案として△簡易調整、調整過程公表などの調整手続きの補完 △労働委の職権で調整を開始 △ストライキ時は7日前の予告義務 △公益保護のための最小業務維持義務の賦課 △代替労働制限から公益事業を除外 △必要時には緊急調整実施 などの導入を提示している。

金ホンヨン、「スト権と公益の調和がとれた保障、労使関係の自主性ために最小業務維持必要」

先進化委員会の委員でもある金ホンヨン忠南大教授は『公益を保護するための 最小業務維持義務』が職権仲裁廃止の最も重要なポイントだという前提で最小 業務維持の主旨と形について提案を行った。

金ホンヨン教授は「最小業務維持義務導入の意義は、『スト権と公益の調和が とれた保障』を実現し、ストライキの時に社会的に容認される状況を維持する ことにより、緊急調整の必要性を遅らせる効果があり、それを通して、労使関 係の安定と自主性を確保することにある」と主張した。

最小業務維持義務の法制化の対象基準について金ホンヨン教授は、△停止・廃 止されると公衆の日常生活や公衆の生命身体の安全・健康を顕著に損なう△重 要な施設の装備を損傷すると、今後のサービス提供が顕著に困難になる重要な 業務△代替が容易でない重要な業務△争議行為時にも維持される緊急な必要性 がある業務などを上げた。金ホンヨン教授はこの基準に現行の公益事業の概念 に含まれる『国民経済に顕著に阻害』するという基準は含まれない点を肯定的 に強調した。

また金ホンヨン教授は「最小維持業務の範囲は法令に詳しく記述されるが、労 使が自主的に決定する可能性を残して、協定が合意できなければ労働委が決定 (仲裁)し、解決しなければならない」と主張した。

金ホンヨン教授が最小維持業務のために提示する方案は△労使協定や労働委の 決定(労使協定が決裂した場合)で各事業場で最小維持業務を具体化し、勤労提 供を続ける勤労者を使用者が指名△これに従わなければ、業務命令違反で懲戒 △指名された勤労者が拒否した時は他の勤労者を指名し、代替労働を投入する ということだ。金ホンヨン教授はまた「政府次元でも公的な代替労働力の投入 や、サービスの直接提供で、私的な代替サービスがさらに拡大するように規制 を暫定的に緩和するなどの積極的対処をしなければならない」と主張した。

提案を終えて、金ホンヨン教授は「先進化方案として職権仲裁制度を廃止し、 その代わりに公益保護のために最小業務維持義務を導入するという提案は、 議論の開始を意味する。最も重要なことは、労使の自主的統制だ」とし、 「正確な実態調査に基づき、範囲は具体的な基準で提示すべきだ」と強調した。

金ホンヨン教授が提示した最小業務の具体例

金テヨン、「ストライキ効果出せる核心部分でストライキ禁止」

定期路線旅客運輸事業
市内バス、都市鉄道場合出退勤時間帯に限り通常の1/2配車.
市外バス、済州道航空、図書間船舶運行-一日運送回数の1/2
都市鉄道、鉄道運送中央および各逆意管制業務

水道・電気・ガス・熱エネルギー・石油精製および石油供給事業
マン供給体系メンテナンス業務
地域暖房場合夜間冷房のための生産
発展石油精製など連続生産工程場合安全に減量生産ための作業

公衆衛生および医療事業
応急室、分娩室、麻酔室、回復室業務とこれらの業務に関する施設支援部での必須業務
集中治療室、人工心臓室、癌病棟などの治療業務および特別給食提供業務 (ただし、総合病院や一定規模以上の病院、保健所がない島嶼山間僻地病院)
血液銀行、長期銀行の保管義務および供給に必要な業務
廃棄物の処理事業で環境被害防止義務

銀行および4大社会保険
コンピュータ・ネットワークの通常の維持業務
自動入出金機の利用メンテナンス業務
社会保険給与の申請、審査、支給などの業務

放送および通信事業の場合
全国単位地上波とラジオ、テレビ送出業務
KBS1ラジオおよびKBS1 TVの報道業務.
正午夕方ニュースと緊急ニュース
郵便小包など速達業務
電話網正常なメンテナンス業務
インターネット網メンテナンス業務

金テヨン、「労組スト権公益対立概念ではない、最小維持義務は旧時代的ストライキ制限」

金ホンヨン教授に続いて提案をした金テヨン民主労総政策局長は、提案された ロードマップの問題点として、まず代替労働の拡大を指摘した。公益事業を代 替人材投入制限から除き、ストライキを制限するために臨時職請負などの非正 規職の使用を制度化するという問題を持つという。さらに「ロードマップが提 示する新規採用方式である代替労働は、ストライキ参加者の元職復帰を保障す る国際労働基準に反する」と金テヨン局長は指摘した。

金テヨン局長は特に最小業務維持法制化に対しては「事実上、職権仲裁の状況 と変わらず、スト権の制限だ」と強く不満を表わした。最小維持業務の対象で ある公益事業は、既存の必須共益事業場から旅客運輸、公衆衛生、放送、造幣、 熱暖房、社会保険業務などに拡張されている。金テヨン局長は「国際労働機構 が鉄道、石油事業などを必須公益事業から除くよう勧告しているのに、むしろ ロードマップは公益事業という名で現行の必須共益事業よりもスト権を制限す る業種を拡大している」と批判した。

また金テヨン局長は「提出されている基準と例示されている最小業務維持は、 ストライキ効果を出せる核心的な部分のストライキを禁止し、ストライキ以前 の交渉妥結やストライキ長期化を招く」、「業務間の関連性が高く、直間接に 関連する組合員の幅が非常に広く、これは事実上ストライキそのものを困難に する」と指摘した。

金テヨン局長は最小維持業務を決定する過程で、ストライキ禁止対象組合員の 判断に関する紛争などで労働委の一方的な仲裁が許されるなど、国家権力の支 配介入が強まる点も問題だと指摘した。「使用者の指名権は、ストライキへの 使用者による支配介入権を強め、合法的な組合員弾圧の手段になる」とし、 「指名を拒否した時の組織的行為について、組合員に個別に責任を課するなど の問題が制度化される」という点も、金テヨン局長は憂慮する。

こうした問題の根本的な原因として、金テヨン局長はスト権を公益と両立させ ることで、ストライキ(労働者の要求)を『私益』の追求だと前提しているとい う点を上げた。金テヨン局長は「保健医療労組はこの数年間、公共医療機関の 拡大、健康保険拡大、営利医療機関拡大反対など公共性強化闘争をしてきた。 鉄道や発電も数年間、民営化反対、公企業透明経営、社会公共性強化だった」 とし、スト権が公益に対立するものではないと強調した。金テヨン局長は「あ るいは委員会は今の労組の実質的な要求が勤労条件改善だと主張するかも知れ ないが、1人乗務廃止の要求や、看護師の非正規職化反対は、安全な市民交通 の確保や医療サービスの質的な向上など、長期的に真の公益を追求するもので はないのか」と反問することもした。

金テヨン局長は「11%台という低い組織率により、同種業種の公益代替効果が 大きく、自動化の発達などで使用者のストライキ対応力が高まっているので、 委員会が憂慮するストライキ混乱事態は現実には発生しなかった」と指摘し、 「労組がこれまで公共部門のストライキで委員会が憂慮したような点を考慮し、 応急室業務の維持などの具体的な実践をしてきた」と主張した。金テヨン局長 は「こうした労使の現実を無視してスト権の法的制限だけで接近することは、 旧時代的非民主的発想」と強く批判した。

2005年07月25日11時39分

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンス:営利利用不可・改変許容仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2005-07-27 03:00:34 / Last modified on 2005-09-05 05:18:13 Copyright: Default

関連記事キーワード



このフォルダのファイル一覧上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について