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サンケン尾澤裁判、控訴棄却の不当判決!〜抗議する被告人に退廷命令

尾澤邦子


*判決後、報告する尾澤孝司さん(9/11 東京裁判所前)

動画(2分)

 「被告人は退廷!」東京高裁刑事5部 伊藤雅人裁判長は、尾澤孝司さんを退廷させ、判 決文を読み上げました。いったい誰に対する判決なのか。本人を目の前から消して、刑を 科すのか。それが司法のやることか。これが「裁判」といえるのか。民主主義も人権もな いではないか!

 公判冒頭、尾澤孝司さんは、弁護側が提出した18点の証拠・証人申請を、伊藤雅人裁判 長がすべて却下したことに対して抗議しました。その中には、一審判決に重大な事実誤認 があることを明らかにした3つの意見書や、サンケン電気の関係者や、韓国サンケン清算 人が書いた嘆願書なども含まれています。

 最高裁判所事務総局発行の「裁判所NAVI」刑事裁判には、「裁判所では、検察官と起訴 された人(被告人)やこれを弁護する弁護人の言い分をよく確かめ、それぞれの側から出 された証拠を調べ、被告人が本当に犯人であるかどうかを判断します」と書いてあります。

 証拠・証人の全てを却下して、いったい何を根拠にして判決するというのでしょうか。 予断と偏見に基づき、検察官の言い分のみを認めて「一審判決に間違いはない」というこ とを言うのだろうと予測できました。だから尾澤さんは抗議したのです。弁護人にも当人 の尾澤さんにも意見を言う場を与えず「退廷!」とは、あまりにひどすぎます。

 9月11日12時から尾澤控訴審判決公判の前段集会が行われました。韓国から元韓国サン ケン労組のオ・ヘジン分会長、民主労総慶南地域本部長のキム・ウニョンさんが駆けつけ てくれました。

 傍聴整理券の交付には108人が並びましたが、傍聴できたのは37人。大法廷を用意すべ き裁判所が、警備法廷で厳重なボディーチェック。「公正・公平な裁判」はどこにいった のでしょうか。

 判決の内容は、酷いものでした。裁判長は「(尾澤さんが)つき・押すなどの暴行を17 分間やった」と言っていましたが、尾澤さんは警備員に押されて、会社の敷地外に押し出 されているのです。警備員の「押す」力の方が強かったのに、尾澤さんの「押す」だけが 「暴力」になるという不思議。 「原審に誤りはない」「事実誤認はない」と、結論ありきで話す裁判長の言葉は、事実に 基づかない、うそが明白な言葉でした。

 尾澤さんは韓国の慶南地方労働委員会の「和解勧告」をサンケン本社に伝えようとして 、会社の受付に行こうとしたのであり、警備員に用事があったわけではなく、ましてや「 暴行」など、でっち上げです。サンケン電気の受付にいた関総務課長と村上管理副本部長 が警察に「けんか」と通報して逮捕させたのです。通報したサンケン電気の社員が証人と して裁判に出てくるべきです。裁判所が検察と一体となって「サンケン電気隠し」をして いることは許せません。

 グローバル企業は、OECDの「多国籍企業の行動指針」や国連の「ビジネスと人権の行動 原則」などがあり、海外で何をしてもいい時代ではありません。現地の労働者の抗議に知 らんふりはできません。サンケン電気は、韓国の労働者がコロナで日本に来られないこと で全員解雇し、封じ込めようとしました。そうはさせじと、日本で「韓国サンケン労組を 支援する会」が門前でインターネットで、当該労働者の抗議の声を本社に響かせました。
 企業を擁護する司法の判断は、日韓労働者・市民の連帯、労働運動に対する弾圧です。

 公判後の集会でキム・ウニョンさんは「衝撃だった。韓国内でもさまざまな裁判を見て きたけど、被告人を無理やり退廷させるのを見たことがない。いったい何世紀の裁判か。 傍聴して、日本には人権も民主主義もないと感じた」と話していました。そして「韓国で は今にも戦争が起こりそうな状況だ。日韓民衆の連帯が必要だ。東アジアの平和な未来を 共につくろう」と訴えました。

 このままでは終わりません。不当判決に抗議します。 


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