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LNJ Logo 米国労働運動 : 「労働者第一」が団結の道/大統領選を振りかえる
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【解説】トランプの予想外の圧勝という大統領選挙の結果を受けて、ハリス候補の敗因を巡って様々な分析と報道が行われている。レイバーノーツ誌も創設者ジェーン・スローターの論評と現役の組合リーダーの意見を掲載している。ここでは全米塗装工・関連労組会長のジミー・ウィリアムズ・ジュニアの見解を翻訳した。(レイバーネット国際部 山崎精一)*毎月1日前後に「レイバーノーツ」誌の最新記事を紹介します。
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「労働者第一」が団結の道

2024年10月23日
ジミー・ウィリアムズ・ジュニア

*ハリス副大統領への投票を呼び掛けてペンシルベニア、オハイオ、ミシガン、ウィスコンシン州で選挙活動を展開した塗装工たち

 労働組合のリーダーには、政治について、また政治が組合にどのような影響を及ぼすかについて、組合員に真実を伝える義務がある。全米塗装工・関連労組の会長として、私はその義務を果した。10月いっぱい、そして11月の最初の数日間、私はカマラ・ハリス副大統領への投票を呼びかけるため、ペンシルベニア、オハイオ、ミシガン、ウィスコンシン州を旅した。

 職場や組合の集会を訪れ、ドアをノックしたり、電話をかけたりして、何千人もの組合員と会い、組合員とその家族にとって重要な問題について話をし、大統領選挙についての考えを聞いた。

 その結果は私の予想どおりだった。組合員はインフレや物価の高騰を懸念し、生活費のやりくりに頭を悩ませていた。普通の市民と同じで、強固なハリス支持者もいれば、頑迷なトランプ支持者もおり、投票するかどうか迷っている人、そして投票しないと答えた人もいた。

 組合員とこのような会話をするのは必ずしも容易ではない。私たちはすべての問題について同じように感じているわけではないし、意見を異にするのは気まずいものだ。しかし、組合を率い、働く人々にとって重要なすべての問題について組合員を関与させることが私の仕事である。その責任の一部は、労働者階級を支援する政治家や候補者を支援することであり、組合員にそのプロセスを理解させ、決定に関与させることである。

それでは十分ではない

 私は親子四代の組合員だが、民主党支持者ではなく、選挙は自分で判断してその都度投票してきた。以前から民主党への不満を公言してきた。それは、民主党が労働者にとって本当に重要な問題に取り組むような強力な労働者階級のメッセージを優先することに失敗してきたからだ。トランプ批判をするだけで、なぜ労働者が民主党に投票すべきなのか積極的に説明してこなかった。それではもう十分ではない! 移民問題について民主党は、トランプが主張する懲罰的で強行な反移民労働者政策を受けて入れたが、移民労働者がアメリカにどのように貢献しているか明らかにする積極的な政策を打ち出すべきだった。

 民主党は労働者階級の政党であると主張しているが、過去数十年間、私たち労働者階級との約束を反故にするような選択をしてきた。北米自由貿易協定を成立させ、労働者基盤から離れて大学教育を受けた郊外の有権者へと選挙基盤を移し、従業員自由選択法や団結権保護法のような労働法改革では何の成果もなかった。

 識者や政治家は組合が民主党を支持するのは当然だと考えているため、民主党についてのこのような私の考えを公に話すと反発を受けてきた。しかし、組合リーダーとしての私の最も重要な仕事は、誰が立候補しようが誰が大統領だろうが、組合員に対して誠実であり、経済正義を実現するために組織化することである。

コミュニケーションの失敗

 ジョー・バイデンは、私が生きてきた中で最も組合寄りの大統領であり、組合員労働者を含む全国の労働者に大きな利益をもたらしたことは認める。バイデン政権が成立させたCHIPSおよび科学法、超党派によるインフラ投資・雇用法は私たちの経済を改善し、多くの建設労働者の雇用を確保した。しかし、バイデン政権が労働者にとって重要な問題と十分取り組むことができなかった事実を、組合員は忘れることができない。

 加えて、バイデン政権とハリス陣営はいずれも、これらの勝利の重要性を労働者に伝えることができなかった。ドナルド・トランプは組合つぶし屋であり、スト破りであり、労働者の利益を考えていない。プロジェクト2025と共和党によるホワイトウス・上院・下院支配は、組合員やすべての労働者にとって悲惨な結果をもたらすだろう。しかし、トランプは有能なコミュニケーターであり、多くの労働者が感じている不満や恐怖に訴える力がある。

 民主党は、インフレは大した問題ではないとか、労働者が今感じている痛みは現実のものではないと言って、インフレ問題を取り上げなかった。そのため、私たちは多くの組合員をハリスに投票させることができたが、トランプに投票した組合員もいれば、まったく投票に行かなかった組合員もいた。

 もちろん、人種差別や性差別もハリス敗北の一因であり、私たちはこれらの問題に関して組合員(そして国民)に問いかけ続ける必要がある。しかし、今回の選挙でのハリス副大統領の敗北はあまりにも大きく、私たちは民主党の敗因と今後の行く末を冷静に見つめ直す必要がある。

ほとんどの組合員がハリスに投票した

 14万人の塗装工、ガラス工、その他の技能労働者により選出されたリーダーとして、私は常に組合員が組合の価値観を第一に投票するよう努める。今回もそうしたし、IUPATの組合員も含め、労働組合員はハリス副大統領に投票した。出口調査によると、2024年のハリスに対する組合員の投票率は、2020年のバイデンを20%近く上回るという。

 しかし、私たちは民主党のための選挙全体を担うことはできない。労働運動の規模が足りないのだ。

 有権者の大多数が与えたメッセージは、労働者階級の政党になりたいのであれば、軌道修正するのは民主党次第だということだ。民主党が耳を傾けることを期待しよう。

(ジミー・ウィリアムズ・ジュニアは、米国とカナダの14万人以上の現役・引退労働者を代表する国際塗装工・関連職人組合の組合長である。)


Created by staff01. Last modified on 2024-12-02 04:58:26 Copyright: Default

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