●根津公子の都教委傍聴記（2024.10.10）

都立高校の良さをPRする？新企画「英語でジョブチャレンジ2024」

　今日も議題は2件のみ。「来年度の都立特別支援学校高等部1年生の募集人員」についてと「英語でジョブチャレンジ2024」について。時間とお金をかけて行くべきかと迷いましたが、「英語でジョブチャレンジ2024」は初めて聞くことだったので傍聴しました。以下、これについて報告します。

　帰宅してネットでこの名前を打ち込んだら今日行われた報告がすべて掲載されていました。都立高校生が企業・団体で仕事を体験することによって、「英語を実践的に活用する機会やキャリアプランについて考える契機とするとともに、世界を視野に活躍する意識の向上や、英語への学習意欲の向上を図る」のだと言います。

　学校を通じて生徒に案内した結果、募集定員152人に対し243人が応募（1、6倍の申し込み）。英語力（申し込み基準はセファールB１以上＝英検2級～準1級程度以上）や生徒の希望から参加者を絞り、7月に都教委による1日の事前研修を経たうえで8月半ばまでに1～2日間のジョブチャレンジ。8月末に英語での事後報告会。ここには受け入れ先の関係者も参加したとのことです。

　都教委が要請して受け入れた企業・団体は、カナダ大使館、ニュージーランド大使館エデュケーション・ニュージーランド、ブリティッシュ・カウンシル、国連女性機関・日本事務所、テンプル大学ジャパンキャンパス、読売新聞東京本社、Lakeland University Japan、日本IBM、楽天グループ、大手外資系IT企業、株)京王プラザホテル、ザ・ペニンシュラ東京、株)Boeing Japan、株)AIG損害保険、BNPパリバ・グループ、バンク・オブ・アメリカ、株)鹿島建設、株)竹中工務店、株)キャノン、株)クボタ、株)丸紅。

　参加した生徒たちのこの企画の満足度は98％。生徒の8割が英語学習への意欲を高め、7割が将来のキャリアプランについて考える契機としたとのことです。希望しての参加なのですから、この数字は当然のことで、これを都教委が「成果」と言うことには頭をひねってしまいます。

　担当のグローバル人材部から｢私立高校は宣伝がうまい（都教委は下手、というニュアンスで）。都立高校ではこんなこともやっていますよと、〝都立高校の良さ″をPRしていきたい｣と発言がありました。つまるところ、「英語でジョブチャレンジ2024」もこれだったんだ、と思いました。　　今朝の東京新聞は、都教委が進める夜間定時制高校廃校・閉課程に対し、「夜間定時制高こそ　現代の学び舎」「都教委の廃止案に元教員ら抗議」の見出しで、存続を求める夜間定時制高校元教員の方々の声を掲載していました。数日前に抗議集会が開かれたのだそうです。お一人は「夜間定時制の歩みを振り返れば、生徒たちの最後の学び舎であり続けてきたことは明白。余裕のある教育環境が実現し誰もが学校で楽しく学べるようにならなければ、夜間定時制を求める声はなくならない」と言っています。

　教育委員長・教育委員はこの記事を読んでいるであろうし、存続を求める請願や署名が毎年出されていることは十分知っています。知っていながら、請願不採択に同調してきました。

　「英語でジョブチャレンジ2024」を素晴らしい企画と絶賛する教育委員らの発言に、私は彼らが夜間定時制高校廃校に反対しないできたのも、偏差値が高い層の〝都立高校の良さ″にしか目が向いていないのだろうと思いました。人権は誰もが等しく持つ、その発想が欠如しています。