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「年間100万円の賃金格差は不当だ」〜西東京バスの運転士の訴えを退けた高裁判決堀切さとみ 「100%同じ労働をしているのに、会社の中に二重の賃金規定があるのは不当だ」。西東京バスの運転士、安田崇弘さん(49)が訴えてきた裁判の控訴審判決が、12月5日東京高裁511法廷で行なわれた。支援者で傍聴席が埋め尽くされる中、裁判長は無表情に「控訴を棄却する」と主文を言い渡した。 西東京バスは、八王子市や青梅市などを中心に路線バスを運行する、京王電鉄の子会社だ。1999年から2008年まで一部路線が「多摩バス」へ移管され、安田さんは2002年に多摩バスに入社した。その多摩バスを、西東京バスが2011年に吸収合併。それに先駆けて2007年に「別則就業規則」をつくり、2007年以降に就職した社員、多摩バスから移行した社員に適用した。その結果、同じ路線を同じ時間走行している正社員の間に、なんと年間100万円から150万円の賃金格差が生じることになった。吸収合併してから10年以上たっても状況は変わらない。会社側は「一国二制度」と言って居直っているという。 子育て真っ只中だった安田さんは「月収25万円以上」の募集に惹かれて多摩バスに入社した。しかし、それだけの賃金を得るために週70時間勤務はザラで、子どもの寝姿しか見ることができなかった。しかも、過労による事故は多発しており、組合で安全な労働環境づくりのために頑張ってきたが、執行部を解任される。その後、組合は待遇の低い労働条件を呑んだまま、吸収合併を受け入れてしまった。 西東京バスに移った後も、不当な賃金格差を訴え続ける安田さんに、会社側は圧力をかけた。出先での休憩時間、コンビニでおにぎりを現金で買っただけで懲戒処分にしたのだ。乗務中は、財布を所持してはいけないという規則に違反したからだと会社は主張。安田さんは「今ならキャッシュレス化が普及しているが、私が処分されたのは2016年。現金がなければ何も買えない時だった」と憤る。
バス業界では、労働者に対するパワハラが横行し、退職に追い込まれる人が後を絶たない。傍聴には他のバス会社の労働者、退職者も駆け付け、口々に安田さんを激励した。 Created by staff01. Last modified on 2023-12-06 12:01:38 Copyright: Default |