東京都は朝鮮人犠牲者への冒涜を認めない対応を! | |||||||
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ヘイト団体「そよ風」が9月1日、「朝鮮人犠牲者追悼碑」の前で集会を画策 東京都は朝鮮人犠牲者への冒涜を認めない対応を!加藤直樹(ノンフィクション作家) 2017年に始まる「そよ風」の妨害行為とヘイトスピーチ今年は関東大震災から100年、つまり朝鮮人虐殺から100年となります。その年の、しかも9月1日に、差別主義団体「そよ風」が、こともあろうに朝鮮人犠牲者追悼碑の前で「慰霊祭」と称する集会を行おうとしています。彼らはこれまで「関東大震災時、朝鮮人は実際に放火略奪を行ったのであり、朝鮮人に対する暴力は正当防衛だった」と主張してきたのですから、これほどの死者への冒涜はありません。東京都は人権条例(オリンピック条例)に定められたヘイトスピーチ集会への「利用制限」を適用すべきであり、そうした多くの声を東京都に届けなければなりません。 どういうことなのでしょうか。以下、詳しく説明します。 東京・横網町公園で毎年9月1日、朝鮮人犠牲者追悼碑(写真上)の前で、朝鮮人犠牲者追悼式典が開かれています。歴代の都知事がこれに追悼文を送ってきました。しかし2017年以降、小池百合子知事がそれを取り止めていることについては、皆さんの多くはご存じだと思います。 そして、この問題にもう少し関心がある方は、小池都知事の動向と関連して、差別主義団体「そよ風」が毎年9月1日、朝鮮人犠牲者追悼式典と同時刻に、そこから30メートルほど離れた「大正大震火災石原町遭難者碑」の前で、「先祖の濡れ衣を晴らす」などと掲げてヘイトスピーチを繰り返す集会を行っていること、そしてその目的が朝鮮人犠牲者追悼式典を潰し、「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑」を撤去させることだと公言していること、彼らの集会での発言が、2020年に、東京都の人権審査会によってヘイトスピーチと認定されたことなどを、ご存じだと思います。 朝鮮人虐殺は「自衛行動」と主張この「そよ風」が、今年の9月1日午後4時半から「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑」の前で「真実はここにある! 関東大震災朝鮮人犠牲者慰霊祭」と称する集会を行うと発表したのです。これまで、虐殺の引き金を引いた「朝鮮人の暴動」「朝鮮人の放火」といった流言を事実だと主張し、「不逞朝鮮人」が「爆弾まで使って放火略奪を繰り返した」のだ、これに対する「自衛行動や制圧行動(=朝鮮人虐殺)は正当な行為」なのだだと主張してきた彼らが、「朝鮮人慰霊祭」という名を冠して、追悼碑の前で集会を開くというのです。
これほどの死者への冒涜、死者への嘲笑があるでしょうか。ドイツのホロコースト追悼碑の前でネオナチが「ユダヤ人追悼集会を開く」と宣言するようなものです。 「そよ風」は2009年に結成された女性団体です。代表の鈴木由起子氏は、「朝鮮人ヲ一匹残ラズ殲滅セヨ」などといったプラカードを掲げるヘイトデモの代表世話人も務め、また「そよ風」としても「韓国人の皆さん、人間扱いしてごめんなさい」などと掲げたデモを行っています。ブログを読むと、朝鮮人、中国人に対する露骨な差別発言が時折、出てきます。近年はデモよりも日本の負の歴史を伝える碑や展示などを撤去させることに力を注いできました。「群馬の森」の朝鮮人追悼碑の撤去を煽ったのも彼らです。 彼らが毎年9月1日に横網町公園で開く集会には、ヒトラーを信奉するネオナチ活動家や、川崎や東京で、行政によってヘイトスピーチと何度も認定されるようなデモを行ったり、接近禁止の仮処分を受けたりしたようなレイシスト活動家たちが多数参加しています。 実際、2020年には、東京都総務局人権部が、この集会における「犯人は不逞朝鮮人」などの発言を、ヘイトスピーチと認定しました。この認定の重要な意義は、単に「不逞朝鮮人」という単語だけが問題なのではなく、「当該発言がなされた日時、場所、その他の態様等に照らせば、別の集会(=朝鮮人犠牲者追悼式典のこと)に対して挑発的意図をもって発せられたもの」だと指摘していることにあります。集会目的そのものに、ヘイトスピーチとしての性質があったと言っているのです。 東京都は「慰霊の公園」で「死者への冒涜」を認めない措置をその「そよ風」が、今年は場所を変えて、さらには掲げてきた「慰霊」の対象まで変えて、「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑」の前で集会を開こうとしています。この追悼碑が横網町公園に建立されたのは、震災50年の1973年です。建立実行委員会には、自民党から共産党に至る都議会全会派の幹事長が名を連ねました。震災時の現実をこの目で見て経験した世代が、政治的立場を超えて、悲劇を二度と繰り返さないという、死者への誓いの表現として、この碑を建てたのです。 なぜ建立の場所が都立横網町公園なのかと言えば、公園のホームページが記しているように、横網町公園が「慰霊と継承の公園」だからです。 横網町公園は、関東大震災の死者を追悼する場として1930年に完成しました。戦後は震災の犠牲者と空襲の犠牲者を共に追悼する場になります。公園内には多くの追悼モニュメントがあり、3月10日と9月1日には中央にある慰霊堂で大法要が行われます。 つまり「そよ風」は、「慰霊の公園」で、100年目の慰霊の日に、しかも追悼碑の前で、死者を冒涜するヘイト集会を行おうとしているわけです。 ヘイトスピーチ解消法は、ヘイトスピーチを「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」と定義しています。「言動」とは「言葉と行い」です。「言葉」だけではありません。朝鮮人に対する差別を公然と掲げる団体が、差別を煽動する意図をもって、しかも9月1日という慰霊の日に、「慰霊の公園」で、関東大震災時に虐殺された朝鮮人を追悼する碑の前で集会を開くことは、それ自体がヘイトスピーチであり、死者への冒涜です。刑法188条が定める「礼拝所不敬罪」にも当たります。 にもかかわらず東京都は、この集会に対して追悼碑の前を使用する占有許可を与えようとしています。「慰霊」という文字さえ掲げれば死者の冒涜も許されるのだとすれば、それは「慰霊の公園」としての横網町公園を自ら否定することになります。 東京都建設局公園緑地部は、数日中にも彼らに占有許可を与える見込みです。しかし、ヘイトスピーチを規制する「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」(人権条例、オリンピック条例)には、ヘイトスピーチが行われる蓋然性が高く、ヘイトスピーチによって「施設の安全な管理に支障が生じる事態」が起こる蓋然性が高い場合は、「利用制限」をかけることができるとあります。 すでに集会としてヘイトスピーチの認定を一度は受け、さらに繰り返しヘイトスピーチを認定されている活動家たちがそこに参加するのですから、「ヘイトスピーチが行われる蓋然性」は十分にあります。そもそも追悼碑の前でヘイト団体が集会を開くこと自体が、ヘイトスピーチというべき「不当な差別的言動」です。 「安全な管理に支障が生じる事態」について言えば、慰霊の日に「慰霊の公園」の追悼碑の前で死者を嘲笑する集会が開かれること自体が、横網町公園の「場」を破壊し、死者を悼む思いでやってくる人々の心を踏みにじることであり、精神的な「安全」を損ねています。死者が嘲笑される「慰霊の場」は「安全」とは呼べません。 東京都に「認めるな」の声を届けようこの事態の本質は二つあります。一つは、朝鮮人犠牲者追悼碑の前で差別主義団体が集会を開くこと自体がヘイトスピーチであり、許しがたい死者への冒涜であること。もう一つは、その開催を認めるとすれば東京都の責任は重大だということです。 読者の皆さんには、第一に、これが最悪の死者への冒涜であり、最悪のヘイトスピーチであると多くの人に伝え、その事実を広めてほしいと思います。 第二に、東京都に対して「死者への冒涜を認めるな。条例に基づく『利用制限』を行うべきだ。そのために人権審査会に調査審議を求めよ。慰霊の公園を守れ」と訴えてほしいと思います。都庁の窓口から都に意見のメールを送るなどの方法があります。各種団体で声明を出して、メディアや都庁、都議会各会派などに送ることもできるでしょう。 9月1日まで、わずかな日数しかありません。それぞれに声を上げていきましょう。 *参考サイト 「関東大震災の朝鮮人追悼碑前でヘイト集会 差別団体が計画」(神奈川新聞デジタル版「カナコロ」、8月19日) 関東大震災朝鮮人被害者の追悼式典にオリバー・ストーン監督が反ヘイトのメッセージ! 一方、小池百合子知事はヘイト団体を後押し(LITERA、20年9月3日) 「そよ風」集会での発言を「ヘイトスピーチ」と認定した東京都総務局人権部の発表(2020年8月3日) Created by staff01. Last modified on 2023-08-20 13:20:19 Copyright: Default |