映画紹介『若者は山里をめざす』/キッチンカーの似合う場所 | |||||||
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映画紹介『若者は山里をめざす』〜キッチンカーの似合う場所笠原眞弓コロナによる解雇や、物価高での暮らしづらさに日本中が疲弊していると感じるこの頃 。都会に行けば何とかなるだろうと男女を問わず出てきた若者が、さらなる貧困に見舞わ れ、路上にはみ出してきている。そんな若者の行きつくところはどこに? 「消滅可能性都市ナンバー1」と言われている都心から1時間半の埼玉県の東秩父村に は、お年寄りと都会の若者たちの笑い声が響いていた。 小さい時から村を出たかったと言いうこの村出身の女性は、念願叶って都会暮らしを始 めた。ところが「村」出身であることで珍しがられるのにも疲れたし、村が気になりだし て戻ってきた。こうして始まった村人巡りで、さまざまなこの村の魅力や可能性を見つけ ていく。 この地に伝わる和紙に憧れて移住した人もいる。なんとこの村には1200年の歴史を持 つ細川紙という手すきの紙がある。この紙製のほうろく鍋(茶煎り鍋)は、七輪に載せて も燃えないのだ。人手が頼りの、原料の楮(こうぞ)の樹皮を剝いて干すまでは、村人総 出。老若のコミュニティが自然に出来ていく。 この和紙は、戦後の東京の住宅再建になくてはならないもので、辺り一帯の山村の主要産 業だった。その後、新建材の普及や建築様式の変化でどんどん産業としては規模を縮小し ながら、時代に合わせてさまざまな和紙を漉いてきた。ここでは、そんな歴史を背負う和 紙の鍋の周りを都会の若者が囲んでいる。 村のお年寄りに手ほどきを受けて山菜を採取し、村人と共に野草の「ノゴンボウ」や伝 統食の復活に関わる人も。増産を目指して、1軒ずつ回って栽培をお願いしているかと思 えば、力強く太鼓を叩く鬼太鼓座の若者の中に入り、商品化のコンセプトの話し合いもし ている。気がつけば、木々の茂る山を背景に、キッチンカーから山菜などを取り入れたメ ニューが提供されているのだ。 放っておけば消えてしまう山村の生きる技術が若者によって再発見され、今の時代に価 値あるものとして生かされていく。両者の間に流れる柔らかな空気こそが、新時代を告げ ていたのだ。(消費者レポートより加筆) 監督:原村政樹 Created by staff01. Last modified on 2023-01-19 09:42:38 Copyright: Default |