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予断と偏見に満ちた異様な法廷〜尾澤裁判第2回公判を傍聴して

白田真希(尾澤孝司裁判を支援する会・埼玉)

 11月11日、尾澤裁判の第二回公判が開かれました。
 証人として「尾澤さんから暴行を受けた」と称する警備員が出廷。傍聴席は初公判に続き大法廷が空いているにも拘わらず中法廷で、それも顔が分かると傍聴者が証人に街で会ったときに危害を加えるかもしれないというとんでもない理由からです。


画:こがうめさん

 証人が立つ証言台の周囲はコの字型に衝立が立てられ、傍聴席からは完全に見ええないようになっていました。証人が入廷する際には衝立が傍聴席と法廷を仕切る柵の前に3枚、衝立と衝立の間には隙間から見えないようにとさらに衝立を置き、計5枚並べられるという「遮蔽措置」が取られました。これだけで十分と思われるのに、さらに証言台の真後ろの16席を使用禁止としたのです。全く意味不明の措置です。傍聴者をさらに制限しようとしているとしか思えません。

 さらに、開廷直後、検察側は「尾澤さんが初公判時に不規則発言をしたから」という理由で、証言台と弁護側との間も遮蔽措置をとることを求めました。弁護側は猛反対。さすがにこれは裁判官が却下しましたが、検察官や裁判官が尾澤さんや傍聴者をいかに予断と偏見に満ちた目で見ているかがよく分かります。

 裁判中も柵の左隅の扉の前に廷吏が一人立ち塞がるようにしていました。分かりづらい場面では尾澤さんや弁護人が傍聴席に向かって説明をしようとすると裁判官は声を荒げて止めました。2日前に続き裁判長は傍聴席ばかり気にしてちょっとの独り言や余りにもばかげた証言や検察側の発言に思わず笑い声を漏らしただけでも、「次は退廷させる」と脅しました。また廷吏が大声を上げる場面もありましたが、彼らにその権限はあるのでしょうか。

 検察側の証人への質問は尾沢さんが暴行と警備業務の妨害をしたと誘導しようとするものでした。しかし、弁護側の質問で明らかになったのは警備員の証言の矛盾と起訴理由が成り立たないという事実です。

 検察側が証拠として出した監視カメラの映像を浅野弁護士が苦労して1秒ごとの画像化したものを証拠として提出し、それを承認に見せながらどの段階で「暴行」があったのか追及しました。検察は7時28分から8時13分の間を「犯行時間」としていますが、その間ずっと暴行をしていたわけではなく、証人が「押されて尻餅をついた」というのは後ろにあった植え込みに接触したほんの1,2秒、それが2回だけであることが明らかになりました。

 また、尾澤さんが韓国サンケン労組の意を受けて面会を申し入れたことが団体交渉権であるとの認識もなく、取り継がなかった理由は「サンケン電気から抗議行動の人間から声をかけられても無視しろ」との指示があったからだと、何度も証言をしました。しかし、尾澤さんが総務か人事への取継ぎを求めたことに対し、警備員が「自分で電話しなさい」と答えた場面があり、そのときだけ何故無視せずそう答えたのか、その矛盾に答えることはできませんでした。

 起訴理由の「威力妨害」について警備員は、警察にも検察にも尾澤さんの行為により警備業務に支障をきたしたとの供述はしていない、警備会社からも申告していないと明言しました。このことから「威力業務妨害が暴行だけでは弱い(暴行の事実がないのだから)」とみた検察が、無理やり後付けしたものだということが明確になりました。

 弁護側の厳しい追及に、検察側は何度もそれを止めようとしました。矛盾を突かれて慌てたのでしょう。

 警備員の証人尋問はあと2回行われます。尾澤さんや傍聴者への露骨な差別をやめ、広い法廷で公正な裁判を行うことを求めるとともに、多くの傍聴希望者がいることを裁判所に見せつけ、たくさんの「目」と「耳」でこのおかしな裁判を「監視」したいと思います。


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