薔薇マークキャンペーン : 【コメント】菅義偉首相の辞意表明にあたって | |||||||
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薔薇マークMailNews 薔薇マークキャンペーン MailNews No.25 2021/09/16 =========== 薔薇マークキャンペーンは、松尾匡(立命館大学経済学部教授)を代表とする政策提言グ ループです。コロナ10万円給付金や消費税減税など、国のお金を積極的に使うことを呼び かけています。<https://rosemark.jp> https://rosemark.jp =========== ■■目次■■■■ ・【コメント】菅義偉首相の辞意表明にあたって ・【呼びかけ】消費税5%に戻せ!京都デモ! ・【近著】 ・【お願い】報告を送ってください ・【ご寄付のお願い】 ■■■■■■■■ 【コメント】 菅義偉首相の辞意表明にあたって 2021年9月8日 薔薇マークキャンペーン事務局 菅義偉首相が今月末投票の自民党総裁選挙に立候補せず、辞任に追い込まれました。 私たちは、昨年9月、菅新政権発足にあたって発表したコメントで、菅新政権の経済政策 は安倍政権以上に新自由主義的な性格を強め、とりわけコロナをチャンスとして中小企業 の淘汰を推進していくだろうと警告しました。残念ながら、事態は私たちの警告したとお りに推移してきました。 しかし、この人々の命や暮らし、生業をないがしろにする菅政権の姿勢は、多くの人々の 不信や怒りを招きました。菅首相が、総選挙を目前にして辞意表明せざるをえなくなった のは当然の結果です。 以下、菅政権が進めてきた政策を総括し、来る総選挙で、人々の力で転換させることを呼 びかけます。 まとめ 1.数々の新自由主義の法案を成立させる 2.支援金を出し渋り補正予算を30兆も使い残す 3.新自由主義・緊縮財政の路線を不退転の決意で推し進めてきた菅政権 4.世界の潮流は「高圧経済政策」へ 5.総選挙で時代遅れの新自由主義路線にピリオドを 1.数々の新自由主義の法案を成立させる 菅さんのブレーンには、新自由主義改革を進めてきた竹中平蔵さんや中小企業半減論を唱 えるデービッド・アトキンソンさんがいます。この二人は、菅さんの首相就任後早速、公 式に登用されました。この二人を筆頭とする菅さんカラーのチームが狡智を絞った成果が 、6月16日に終わった第204回国会で成立しています。 「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案」では、規模拡大やグローバル展開す る中小企業だけを選抜支援する仕組みがつくられ、「所得税法等の一部を改正する法律案 」ではM&A(買収・合併)を促進する税制優遇が導入されました。また、「銀行法等改正 案」では、銀行が株で中小企業を支配できるようにするとともに、地域金融機関の合併や 統合を後押しする仕組みがつくられました。 2.支援金を出し渋り補正予算を30兆も使い残す こうした中小企業淘汰路線の裏には、国内産業を空洞化させて海外に企業進出し、生活に 必要なものはそこから輸入するよう転換しようという財界の大方針があります。 そうした背景からコロナを中小企業淘汰のチャンスにしようと狙う菅政権は、事業者への 補償が必要となる緊急事態宣言を出し渋り、五輪の開催強行とも相まって、感染状況の悪 化をもたらしました。 コロナ禍が長引くことになったにもかかわらず、菅政権は、事業者支援を縮小してきまし た。納税猶予の特例制度も家賃支援給付金も、今年初めの感染拡大第4波の前に打ち切ら れました。持続化給付金も「一時支援金」「月次支援金」という小間切れの制度に姿を変 え、業者の実態をみない機械的な審査で「不備ループ」といわれる事態すら引き起こしま した。 こうした支援金出し渋り政策もあって、菅政権は前年度のコロナ対策の補正予算を、なん と30兆円も使い残しています。安倍前政権が「空前絶後」と自賛したこの補正予算は、た くさんの水増しがあると指摘されたものでしたが、それでもいわゆる「真水」に限った50 数兆円は、GDP比にして諸外国に比べ特に見劣りのするものではありませんでした。しか し30兆円も使い残したことで、世界的に見ても少ない、竜頭蛇尾な結果に終わったことに なります。 3.新自由主義・緊縮財政の路線を不退転の決意で推し進めてきた菅政権 そもそも新型コロナ感染では、長年の新自由主義政策で保健衛生、医療への支出が緊縮さ れてきたために、検査は不十分で、医療崩壊を招いています。にもかかわらず菅政権は、 コロナ禍の下でも病床削減措置を続けてきました。 菅政権の悪政といえば、五輪強行によるコロナ蔓延のほか、学術会議会員任命拒否や、国 民投票法、重要土地利用規制法強行などがよく指摘されます。それだけでなく、新自由主 義に基づく中小企業淘汰と産業空洞化と、可能なかぎりの緊縮財政の路線を、不退転の決 意で推し進めてきたことも、強く指摘しておかなければなりません。 4.世界の潮流は「高圧経済政策」へ 世界を見渡せば、菅政権が推し進めたような新自由主義路線は、すでに時代遅れのものに なっています。 コロナ経済対策としての追加的な財政支出・減税の規模は、GDP比にして4分の1あまり のアメリカを筆頭に、ニュージーランドの19.3%ほか主要英連邦諸国の10%台半ばの数字が 続きます。緊縮の総本山だったドイツでも11.0%です。特にアメリカのバイデン政権は、 発足後早速約208兆円の「米国救済計画」を通し、先日も約110兆円のインフラ投資計画を 可決させました。財政赤字は「米国救済計画」で日本の国家予算分に匹敵する約100兆円 膨らんだ上、さらにこれで28兆円膨らむ見込みです。 こうした路線は、「高圧経済政策」と称されています。大規模な財政政策と、一時的にイ ンフレ目標値を上回ることを辞さない金融緩和の組み合わせによって、経済の過熱をしば らく容認し、雇用の本格改善をめざす政策のことです。このような考え方は、少し前まで は、MMTのような異端派か左派的なケインジアンの主張でしたが、今では主流の経済学者 が続々賛同を表明しています。 5.総選挙で時代遅れの新自由主義路線にピリオドを いま、自民党の総裁選挙がマスコミで取り上げられていますが、菅政権の新自由主義の法 案や緊縮財政は、いうまでもなく、自民党の議員たちがこぞって賛成して成立させきたも のです。誰が自民党総裁に選ばれようと、企業の海外進出を進めて国内産業を淘汰する路 線が、大枠において変化するとは考えられません。 私たちは、総選挙で、時代遅れの新自由主義路線にピリオドを打たなければなりません。 そのために、これに対抗する野党が、こうした世界の潮流を民衆のために活かす政策を大 胆に打ち出すことを期待します。 →薔薇マークキャンペーン「コメント」へ https://rosemark.jp/2021/09/08/sugajinin 【よびかけ】消費税5%に戻せ!京都デモ きたる10月1日は、消費税率が10%に引き上げられて二周年になります。薔薇マークキャ ンペーンの松尾匡代表と西郷南海子事務局長が呼びかけ人に加わっている「消費税5%に 戻せ!京都デモ」では、同日、消費税5%への減税を求めるデモ行進を行います。10%に 引き上げられた消費税は、力の弱い事業者ほど売値に転嫁できず、菅政権が上記の中小企 業淘汰路線を進めるにあたって大きな力を発揮してきました。また、コロナ禍で収入が減 ったり、職を失ったりした人にとって、大変な暮らしの重荷になってきました。総選挙に 向けて、野党四党の政策合意にもなった消費税減税の世論を盛り上げるために、近隣にお 住まいのかたには広く参加を呼びかけるとともに、全国各地で同様の取り組みへの参加、 連帯をお願いします。 →呼びかけ文へ https://syouhizei5.seesaa.net/article/483330081.html 【日時】2021年10月1日(金) 午後6時半 街頭演説 午後7時 デモ出発(四条河原町まで) 【集合場所】京都市役所前 【近著】 ●『市民と野党の共闘で政権交代を』(8/31発売) 五十嵐仁、小林節、高田健、竹信三恵子、前川喜平、孫崎享、西郷南海子著 西郷南海子さん(薔薇マークキャンペーン事務局長)が「「実感」から出発する政治—「 正しさ」を問い返す—」という論考を書いています。野党リーダーが壇上で手をつないで 正しいことを言うだけでは有権者に届かない。ではどうすればいいのか? 地べたに根ざ した活動を続けてきた著者だからこそ説得力を持つ問題提起です。 →出版社チラシへ https://akebishobo.com/cms/wp-content/uploads/2021/08/ad77d891d e59e62ccf5d7ae5e7da0c30-1.pdf ●『定点観測 新型コロナウイルスと私たちの社会 2021年前半』(9/17発売) 森達也、斎藤環、雨宮処凛、上野千鶴子、大治朋子、今野晴貴、斎藤美奈子、CDB、辛 酸なめ子、武田砂鉄、仲正昌樹、前川喜平、町山智浩、松尾匡、丸川哲史、安田浩一、谷 川茂著 松尾匡さん(薔薇マークキャンペーン代表)が「まだまだ進むコロナショックドクトリン 」という論考を書いています。上記事務局コメントでも取り上げた、菅政権が成立させた 新自由主義立法のとんでもない中身や、バイデン政策などの世界の動きを解説し、菅路線 に対抗する形で最近出された経産省の新産業政策路線への批判的検討もしています。 → 出版社の紹介ページへ https://ronso.co.jp/book/%e5%ae%9a%e7%82%b9%e8%a6%b3%e6% b8%ac%e3%80%80%e6%96%b0%e5%9e%8b%e3%82%b3%e3%83%ad%e3%83%8a%e3%82%a6%e3%82%a4%e3 %83%ab%e3%82%b9%e3%81%a8%e7%a7%81%e3%81%9f%e3%81%a1%e3%81%ae%e7%a4%be%e4%bc%9a-2 021/ 【お願い】生きる場、働く場から報告を送ってください 消費税・コロナショックのなかで、今人びとが生きる場、働く場はどうなっているのか? 皆さまからの報告をお待ちしています。あわせて、薔薇マークキャンペーンへのご意見 もお願いいたします。 今後、キャンペーンでは皆さまから届いた報告やご意見をホームページやメールニュース で公開していく予定です。報告・ご意見は下記より。 https://rosemark.jp/contact/ https://rosemark.jp/contact/ ご寄付のお願い 薔薇マークキャンペーンは皆さまからの寄付のみによって活動しています。活動継続のた めにご協力をお願いします。ご寄付は、郵便振替・銀行口座・LINE Payで可能です。ご寄 付は下記から。 https://rosemark.jp/donation/ https://rosemark.jp/donation/ 薔薇マークキャンペーン 【Twitter】https://twitter.com/the_rose_mark https://twitter.com/the_rose_mark/ 【ホームページ】https://rosemark.jp https://rosemark.jp/ 【ご意見・お問い合わせは】info@rosemark.jp mailto:info@rosemark.jp Created by staff01. Last modified on 2021-09-16 14:25:26 Copyright: Default |