アリの一言:菅義偉首相の「無内容会見」は何を意味するか | |||||||
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7日午後7時から行われた緊急事態宣言延長についての菅義偉首相の記者会見は、あきれるのを通り越して恐怖さえ感じさせるものでした。重大事態における首相の会見としてあまりにも無内容・無責任・無能であり、この首相の政権の下でコロナ禍を過ごさねばならなのかと背筋が寒くなる思いだったからです。 記者からの質問は、「短期集中」宣言の誤り、ワクチン接種の進行、変異株への対応、医療体制の危機、東京五輪開催などに集中していました。いずれも重要な問題です。しかし、菅氏の答弁は、「人流の減少という当初の目的は達せられた」という耳を疑う自己弁護を繰り返す一方、具体的な問題は「しっかり対応する」「すすめていく」「総合的に判断する」など抽象的で無内容な言辞を弄するだけで、何一つ答えませんでした。 例えば、フリーランスの女性記者から、現在非常に懸念されているインドの事態について、インドではPCR検査が十分行われておらず、帰国したくても帰国できない人が多くいるが、政府としてどう対応するのか、というきわめて重要な質問がなされました。 これに対する菅氏の答弁は、「飛行機は空いている」「PCR検査はいろいろなところで行われている」という空疎なもので、質問にまったく答えていませんでした。 東京五輪開催についての質問が多かった(16人中4人)のが今回の特徴です。それは反対・中止の世論の高まりを反映したものといえます。 ところがこれに対する菅氏の「答え」は、「選手には無料でワクチンを接種する」「選手と一般の人との接触は制限する」と当初の原稿を繰り返すだけで、記者の質問にはまったく答えていませんでした。 あまりにも無内容・無責任な答弁です。この状況は何を意味しているでしょうか。 菅氏はいい加減な答弁で市民には必要な情報を示さない(示せない)一方、官僚組織を締め付け支配する方面での“能力”は発揮しています。結果、官僚の忖度は深化し、行政組織も劣化しています。 首相・政府が無能・強権的であるなら、「国権の最高機関」である国会がそれを追及し是正するのが本来ですが、日本の国会は、野党第1党の立憲民主党をはじめ翼賛国会化が深まっており、およそ野党、国会の役割を果たしていません。コロナ禍の中で、国民投票法、75歳以上の医療費2割負担(受診抑制をまねき、コロナ禍の教訓を何も学んでいない)という重要法案がスイスイ通っていることがそれを示しています。 政府、国会が腐敗していれば、メディアがそれを追及し、変革の世論を喚起するのが本来の姿ですが、永年の政権によるアメとムチによって、日本のメディアの劣化も深刻な状況です。7日の会見でも、的確な質問をしたのはフリーランスと外国メディア(いずれも女性記者だったことは偶然とは思いません)であったことは、日本のメディアの実態を表していたと言えるでしょう。 まさに絶望的な現実です。どうすればこれを打開することができるのか。考え続けます。 Created by sasaki. Last modified on 2021-05-08 12:06:05 Copyright: Default |