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言い続けることこそが最大の抵抗〜土地規制法案反対の活動を振り返って

 海渡 雄一(共謀罪対策弁護団)

 6月16日の深夜に、土地規制法案が拙速審議の末に参議院で可決成立しました。この法案の反対運動に取り組んだ経緯と感想と課題を走り書きにはなりますが、まとめておきます。

 土地規制法案は閣議決定が3月末まで遅れました。私たちは、デジタル監視法案の反対に注力していて、法案の内容の検討が遅れました。半田さん、仲松弁護士の警鐘に促され、NCFOJとして検討を始めたのは閣議決定直前の3月23日の会議からになりました。

 もともとは自由権規約委員会に出す追加レポートの検討として始まった意見書の検討作業の中で、大変な悪法であることがわかり、緊急に多くの市民団体に呼び掛けて、緊急声明をまとめ5月10日に発表しました。それから、現在までわずか5週間です。

 違反行為は刑罰に直結するのに、注視区域、重要施設、監視の対象者、調査される事項の範囲、調査の主体、阻害行為などあらゆる法概念があいまいで、それが憲法と人権規約に反する根本要因でした。

 また、土地規制法案は基地や原発の周辺の土地の外資による取得を禁止するものではなく、被害を受けている住民を敵視し、監視しようとするものです。そして、内閣総理大臣にすべての情報を集め、独裁化をすすめ、住民を恫喝して黙らせようとする法案です。

 その第一ターゲットはあきらかに沖縄です。そして、第二ターゲットは首都圏を含む全国の基地県と原発立地県です。しかし、それだけではありません。第三ターゲットは重要インフラ施設の周辺、すなわち全国に拡大できるのです。私には関係がないと、この土地規制法案に手を拱いていれば、最後には一般市民も口を封じられることになりかねません。だから、この法案は基地や原発に反対している人たちだけの問題ではありません。

 このような、反対の論理の骨格は私たちの提起した論点が、国会でも、日弁連の声明でも、一貫させ、ひろめていくことができたと思います。

 国会前の行動については4月の1日から沖縄反戦一坪株主運動の皆さんが戦闘となってけん引され、そこに私たちも加えていただき、最終的には連日様々な枠組みの反対行動が取り組まれました。

 なかなか、一般に問題点が広がらず、ほとんど報道もなされず、焦ったときもありましたが、この法案が沖縄や基地・原発周辺の問題にとどまらず、日本全国に広がる、都市部にも大きな影響を与えることなども、終盤では共有できたと思います。

 最終的に15万ツイートのツイッターデモが実現できたことはよかったと思います。これだけの反対の声があったこと、政府・自公与党がこれを無視して法案成立を強行したこと、立憲・共産・社民はこれに反対したこと、維新・国民民主はこれに手を貸したことを、歴史的事実として心に刻み、記憶していきたいと思います。

 ともあれ、私たちは、またひとつの違憲立法が誕生するのを見ました。戦前の治安維持法の例を見ても、悪法が、悪法として恣意的に適用されるようになるには、時間がかかります。ですから、この悪法が濫用されぬよう、これからも政府への監視を続けていくことが、この法案に反対した私たちの責任となりました。

 そして、次の衆院選挙で、政権交代を実現させ、この法律は廃止させましょう。このとき、この法案に賛成してしまった国民民主党とどのような関係を結ぶべきか、きちんと、そして早急に議論しなければならない深刻な課題となりました。

 この法案に反対の声を上げてくださった多くの皆さんに心から感謝します。悪法の恫喝に負けないで、言うべきことを言い続けることこそが、最大の抵抗です。

*写真は6月16日夜、議員会館前集会で訴える筆者。


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