パリの窓から : 監禁日誌9 公共医療システムの破壊 | |||||||
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監禁日誌9 公共医療システムの破壊*マン・レイの展覧会広告への落書き ロックダウン6週間となったが、5月11日からの解除のプランはまだ明確にならない。新型コロナウイルスの危機管理における、ドイツとフランスの違いを語る歴史学者の指摘は興味深い。20年前、WHOによる世界の医療システム評価報告で、フランスはなんと総合評価1位、イタリアは2位、スペインも上位だった。20年間に公共医療システムの破壊が進んだのだ。 ●4月20日(月) 35日目。ロックダウン5週間が過ぎた。アルザスのオー=ラン県にあるEhpad(医療つき老人ホーム)で、4月15日に母親を亡くした人の投稿をネットで読んだ。そのEhpadは、人間的な看護を受けられるとてもよい環境だった(例外的)が、PCR検査がなされたのは4月14日のこと。オー=ラン県では2月末、とりわけ3月初めから感染が爆発したが、地域圏の健康局も国も事の重大さに気がつかず、大量検査や隔離を行わなかった。検査が足りないのでEhpadは後まわしにされたのだ。検査の翌日に83歳の母親は発熱し、鎮痛剤のみの治療でその日に亡くなった。発熱前も長期の疾患で床についており、3月初めから訪問禁止になったため、スタッフから感染したわけだ。検査とマスクの欠乏、Ehpadなど高齢者施設の軽視という、Covid19への行政の対処の悪さの犠牲になったと手紙の書き手は考える。 EHPADで亡くなったCovid19の犠牲者たちがフランスで無名の死者にならないようにと、この証言を共有してほしいという投稿者の願いに従って、リンクをつける(仏語)。 母親のドゥニーズ・ヴェセールは最後まで生きる喜びを持ち続け、アルザス語で子ども時代のシャンソンを歌っていたという。1949年にアルザス地方で一番の成績で小学校を卒業し、フランス語、アルザス語、ドイツ語を完璧に話して書いた。娘は、この地域圏の当時の健康局長と健康大臣に対して、訴訟を起こすことにした。ちなみに、この地域の前健康局長は、コロナ感染爆発で、病院の集中治療ベッドが足りなくなる危機状態が続いたのにもかかわらず、以前からの計画どおりにストラスブールの病院の人員と予算削減を行う意思を表明した。非難の声がたちまち広がり、政府は彼を罷免せざるえなくなった。 パリ18区にあるEhpadで今、息子の友人がボランティアで働いている。そこはコロナ危機前から管理にいろいろ問題があり、Covid19で8人が亡くなった。やはりマスクや衛生指導が全く不十分だったからだという。ようやく供給できた防護用品の配付や食事計画など、兵站のオーガナイズを彼が週に3日やっている。 死亡者数はついに2万を超えた。20265(病院12513人、EHPAD 7752人)入院者数30584(重態5683人) ●4月21日(火) 36日目、6週間目が始まる。グラナダのそばの村に住む音楽家(薩摩琵琶と声明)の友人からメールが届いた。グラナダは大学病院が多いのでベッド数などは大丈夫だけれど、マスクは不足し、キャップはホテルのシャワーキャップを使っていると。スペインの外出禁止はフランスより厳しく、散歩もダメだという。友人はフルート奏者・作曲家の夫と、庭のある家に住んでいるからまだいいが、マドリッドなど都会の密集したアパートに住む人は大変だ。友人の上田純子さんはこの機会に声明の九條錫杖を録音し、youtubeにアップして送ってくれたので紹介する。https://youtu.be/IIqiH1wbEbc 日経ビジネスに載ったドイツのパンデミック・シナリオについての記事が回ってきた。BBK (連邦防災局)がロバート・コッホ研究所に依頼して2012年に作成させたもので、変種SARSのようなパンデミックの最悪のシナリオを想定していた。それにしたがって各地方と医療界に準備を要請していたという。 ベルリンに住む友人に聞いてみたところ、どこの医療施設にも準備対策が整っていたわけではないが、政治決定の行程や情報はかなり透明で、コミュニケーションはよかったと思うとのこと。前にも触れたが、最初のPCR検査キットを作ったのは、ベルリンの大学病院シャリテのドロステン博士のチームだ。ドロステン氏はSRASウイルスのDNA(SARS-CoV)の共同発見者で、コロナ感染が始まってから毎日、ラジオなどで細かい情報を語って人気者になったそうだ。友人によると、話がわかりやすく、すごく感じがいいらしい。 一方、フランスのSRASウイルスの研究者は、国から研究費用を削られたことを嘆いていた。公共病院への予算削除と同様に、研究部門でもネオリベラル・ドグマによる「効率、金儲けにつながる研究優先」が進められたのだ。20年来、医療従事者と研究者たちはそれに対して警鐘を鳴らし、予算の増加を国に求めてきた。コロナ危機の後は絶対に政策を転換すべきだが、ワクチンの研究のことしか言わないマクロン(公衆衛生や危機管理については一言もない)には期待できないだろう。 今日発表されたパスツール研究所などの算定によると、5月11日までにフランスの人口の5,7%、約370万人が感染するだろうとのこと。したがって解除後もかなり厳しい防護と接触の回避が行われないと、2回目のピークが訪れるだろう。 死亡者数20796人(病院12900人、EHPAD 7896人)、入院者数30106(重態5433人) ●4月22日(水) 37日目。昨日、ドイツがパンデミック・シナリオに基づいて準備・対策をしていたことを紹介したが、フランスは2009年の鳥インフルエンザのパンデミック計画の失敗(ワクチンを大量に購入したが大幅な感染がなかった)の後に、国の予算をパンデミック対策にほとんど使わないことに決めてしまった。FFP2マスクの在庫さえやめてしまったのだ。退職した医師の友人Rは先日、2000年にWHOが発表した世界191か国の医療システムの評価報告を送ってくれた。総合システム評価ではなんとフランスが1位、イタリアが2位、スペインも7位と南ヨーロッパが上位。一方、アメリカ合衆国は37位(GDPの中で医療に費やす率が最も高いのに)。そして日本は、北欧やイギリス(18位)よりもパフォーマンス度が高かった(10位)。ちなみにドイツはこの報告では25位。つまり、この20年間の公立病院の予算と人員削減、経営のマネージメント化が、いかにフランスの医療システムを疲弊させたかがわかる。 ヨーロッパで死亡者が多いイタリア、スペイン、フランスは、初期の対応が遅れて感染爆発したときに、以前より集中治療ベッド数と看護スタッフが減ったため、緊急時に対応できなくなっていた。この公共医療システムの劣化は、20年来のEUのネオリベラル政策のせいである。フランスの病院では20年間に10万のベッドが削減され、EU全体では10年間に14%のICUベッドが消えた。欧州委員会は2011〜2018年に63回、健康にあてる予算を削減するよう加盟国に通達したのだ。EUのネオリベラル政策の主要な推進国であるドイツがなぜ、ICUベッドなど医療システムを確保できたのか不思議だが(財政が潤っていたことも大きいだろう)、財政状況が悪い南ヨーロッパでは、こうして公共医療システムが劣化したのだ。 さて、ロックダウンが長引いて心理的な苦痛も増しているが、食べるのに困る人々も増えて、食料配給に長蛇の列ができる町や地区がある。13区、14区にも地域の連帯援助サービスがあるので、石鹸やパスタを届けに行った。何が足りないか聞いたら、生理用品だという返答。 死亡者数21340(病院13236人、EHPAD 8104人)入院者数28741(重態5218人)。 ●4月23日(木) 38日目。5月11日からのロックダウン解除について学校は「任意」、「なるべく多くの商店を開けられるように」など、政府の曖昧な発言が続く。レストランやカフェの閉鎖は解かれず、映画館・劇場、文化的な催しの解除はさらに遅れる(大きなイベントは7月半ばまで禁止が7月末までになった)。大統領・政府の言うことがころころ変わって先が見えないので、アヴィニヨン国際演劇祭やマルシアックのジャズ・フェスティバルをはじめ、フランス各地の夏のフェスティバルは次々と中止になった。オーガナイザーのダメージも大きいが、3月から既に仕事が中止になっていたアーティストたち、芸術・文化・芸能関係で働く人たちの状況は本当に深刻だ。 何万人もが詰め寄せる巨大イベントは無理だが、商店は開けてよいが美術館、映画館、劇場は閉鎖を続けよというのは、腑に落ちない。ロックダウン中の今だって、必要不可欠で開いているスーパーや交通機関の中で、「ソーシャル・ディスタンス」が守られていない場合も多いという。混雑するメトロやトラムがあり、マスクも普及していないのだ。人数制限をしてマスクや消毒ジェルなどの防護対策をとれば、美術館(広い)やギャラリー(商店とどこが異なるのか?)、映画館・劇場(観客は動かない)の部分的な営業の工夫はできるのではないだろうか。これはつまり、この政権において文化・芸術はいちばん優先度が低いため、活動を維持するための何の努力もされていないということなのではないかと感じてしまう。文化大臣は、具体的な援助について何も語らない。本屋についてはようやく、注文を取りに行く方式でいくつかの書店が再開したが、「マスクも検査もすぐに供給できないので、優先度の高い経済部門から対処」という方針で、文化は後回しになったのだろう。ちなみに、5月のカンヌ映画祭は行われないが、6月末にマーケット部門だけはオンラインで開催される。 ラジオのFrance Culture(文化放送)では、「軟禁中」のアーティストや作家などをインタビューしている。昨日37日目は歌手・詩人のブリジット・フォンテーヌで、コロナ以前から自宅に閉じ籠っていたという彼女の素晴らしい毒舌は爽快。ついでに、ポスターに加えられた素晴らしい落書きの写真を。 死亡者数21856(病院13547人 EHPAD 8309人)入院者数29219人(重態5053人) ●4月24日(金) 39日目。桜と八重桜は散り、藤やマロニエの花が街並みを彩る。バラやシャクナゲも咲き始めた。町を歩く人の数はかなり増えたと感じる。「軟禁」が限界の人も多いのではないだろうか。 夕方、フランソワ・リュファンのフェイスブック・ライヴ(11回目)。1か月間、ナンシーのCovid19集中治療室の看護助手を手伝ったキャロリーヌ・フィアットがインタビューされた。看護助手から国会議員になった女性だ。ナンシーでは集中治療ベッドを60から160に増やしたが、それらは医療スタッフが自分たちでオーガナイズしたという。パリのサルペトリエール病院の名誉教授アンドレ・グリマルディ医師が告発したように、ここ10年以上、公共病院は企業のようなマネージメント経営を進める管理スタッフを増やし、医療スタッフを減らしてきた。しかし、コロナ感染爆発のような危機的状況が起きると、管理スタッフは無能だ。医療崩壊を免れているのは、ひとえに現場のスタッフのおかげだとキャロリーヌ・フィアットは強調する。また、政府が約束したボーナスは、コロナ病棟の医療スタッフ(1500€)と、EHPADなど他の医療スタッフ(500€)を分断するのでおかしいと指摘する。訪問看護師や介護士など医療従事者全員、そして救急車の運転手や病院の清掃係など、医療部門で働く者全員に特別報酬を与え、低所得の彼らの報酬を上げる必要があると述べる。 それから、「屈服しないフランス」の欧州議会議員、レイラ・シェビのインタビューもあった。4月14日にアマゾンが訴訟(従業員の安全の無視、必要でない物品の配達)で有罪になったことを書いたが、今週はアマゾンが控訴した裁判があった。傍聴券を持って法廷に彼女は赴いたが、緊急事態令後に法務大臣が出した政令(傍聴者を制限)のせいで、入場を拒否された。この権力の濫用はひどいが、裁判はめでたく労働組合側の勝利。裁判所は第一審の判決をコンファームし、アマゾンは「必要不可欠」の物品(食品、医療品)以外は配達できなくなった。本屋が閉鎖されたのでロックダウン後アマゾンは市場を独占し、株が21%も上がった。CEOのジェフ・ベゾスは240億ユーロも稼いだという。 リュファンは今日のライヴを「彼らは永久に変わらない!」と名付けたが、その別の例。経済危機に対する政府の特別援助の国会の再討議で、航空産業(エールフランスやエアバス)や自動車産業に180億ユーロ提供する法案に対し、野党は企業に「パリ会議の温暖化防止目標に適合する計画を出す」という条件をつけようとしたが政府と与党に却下された。1年後に環境高等評議会に報告するだけでよいという甘い条件のみ。エールフランスは航空便の数をさらに増加させる計画で、コロナ危機から何も学んでいない。CO2を減らす技術改良やバイオ燃料を使用するとかを理由に、環境により優しいと主張する。バイオ燃料のために森林が伐採されて、居場所を失った野生動物と人間社会との接触がコロナウイルスを生み出したというのに。 環境破壊において、いちばん責任が重いのはグローバル多国籍大企業だ。そして彼らは、公衆衛生の危機の最中でも、利潤を上げることしか考えない(少しの寄付をしてごまかすだけだ)。変えるには、政治を抜本的に変えるしかないのだ。緊縮政策で低所得・中間層をさらに圧迫し、さらに働かせるのではなく、税制の改革とタックス・ヘイヴンへの脱税の阻止などによって、富裕層が公正に税を払うことで。 死亡者数22245(病院13852人 EHPAD 8393人)入院者数28958(重態4870人)集中治療患者5000人以上の日が、3月30日から25日間続いた。フランスの集中治療ベッド数は5000に減らされていたため、他の地方やドイツ、スイス、オーストリアへの患者の移送も行われた。 ●4月25日(土) 40日目。4回目のネット・デモ。今回よくツイートされたのは、トゥールーズで「マクロナウイルス、いつ終わるの?」という垂れ幕を自宅に掲げた女性が、警察に逮捕されて4時間も拘束されたことへの抗議や、衛生措置を守らない企業を指摘した労働条件視察官が処罰を受けた件、学校再開に関する曖昧さと社会的不公平。巨額の配当金を払った企業のリスト。フェイスブックなど4つのSNSで合計10万の参加があった。 コロナ危機管理におけるドイツとフランスの違いについて、ナチズムの研究者ジョアン・シャプトの興味深いインタビューを読んだので紹介する。「メルケルは大人、市民の理性に語りかけるが、マクロンは国民を子ども扱いして嘘をつく」。 ・ドイツは検査を製造できる中小企業の工業網を保持したので1月末から大量に検査できたが、フランスでは工業部門(とりわけ中小企業)はグローバリゼーションで大幅に消滅。 ・ドイツでも保守党CDUの目標は負債ゼロで、緊縮政策によって鉄道や道路、橋、学校など公共部門の予算は削減されたが、CDU支持の高齢の有権者は医療・健康予算の削減を許さなかった。(フランスも高齢社会で、高齢者には保守やマクロン支持者が多い。病院や老人ホームの劣化に彼らが反応しなかったのはなぜだろう?)ドイツには1月末の時点で集中治療ベッドが28000、フランスは5000足らずだった(人口はドイツ8300万、フランス6700万)。 ・ドイツの政治は比較的安定しており、国民の信頼を得て危機管理ができる状態だった(CDUも人気が落ちていたがメルケル自身は信頼を保ち、大きなデモなどなかった)。それに対しフランスでは「黄色いベスト」運動以来、政権への抗議が1年半続き、年金改革反対の大規模な社会運動の真っ最中にコロナ感染が訪れた。2月29日、政府はコロナ感染対策のための最初の特別閣議で年金法案の強行採決を決めたほど、公衆衛生に関心を払わなかった。社会のさまざまな部門から批判されて弱体化した政権は、自分たちの権力強化のみに力を注いだ。国民の要求に聞く耳を持たない政権の言うことを、国民は信頼できない。 ・中央集権のフランスと異なりドイツは連邦制度で、政治決定がより理性的な対話によってなされる。主権を持つ各州と連邦議会との話し合いで国の政治が行われる。コロナ危機に関するスピーチでも、ドイツの首相と大統領は市民に対して理性的に語りかける。一方、フランスでは大統領が討議もなしにひとりで決定できる。マクロンは、子どもに対するような語調で褒めたり叱責したりし、政府は平気で嘘をつく。 ・ナチズムへの反省からドイツでは議会と連邦憲法裁判所の権利が強く、緊急事態令を今回も発布しなかった。フランスではテロに対する緊急事態以降、行政によって市民の自由と基本的人権が踏みにじられている。 ・ドイツは州によって措置が異なり、バイエルン州とザールラント州では外出禁止令が採決されたが、他では禁止令は出していない。プロテスタント文化で個人主義が強い州と、カトリック文化の州では措置が異なる。フランス、イタリア、スペインなどカトリック文化の国々では、民主国家の機構に教会の強権的なヒエラルキーが踏襲された面がある。プロテスタント文化の北欧、英米の方が、個人の権利の擁護に敏感である。 ・EUでドイツは依然としてダメージの大きい国々の負債を共有しないという立場だが、ドイツ国内で議論は高まっており、左翼党に続いて緑の党、社会民主党の一部もギリシアの負債共有を主張する。経済界の一部からも、ゼロ負債と緊縮への反対意見が出てきている。AfD(ドイツのための選択肢、極右)はもともとギリシアへの援助に反対してできた党で、他国への援助をますます拒む。この内政事情から、今後CDUとSPDの方針は変化するかもしれない。 大統領が(議会での討議もなく)ロックダウンとその解除の日時をひとりで決めるなんて、おかしい。大統領ひとりに権力が集中する第五共和政に早く終止符を打ち、もっと民主的な政体を憲法制定議会によってつくらなくては。 死亡者数22614(病院14050人 EHPAD 8564人)入院者数28222(重態4725人) ●4月26日(日) 41日目。4月26日はチェルノブイリデー、原発事故34周年だ。毎年デモや集会、アクションをしていたが、ロックダウン中は身動きできないので、脱原発全国ネットワークは2003年のドキュメンタリー映画Contorverses nucléaires(日本語版『真実はどこに』)をフェイスブック・ライヴで流した。 さて、昨日ドイツとフランスの違いについての歴史学者の説明を紹介したが、フランスの第五共和政の権力集中と中央集権の伝統だけでは、現政権の危機管理の悪さは説明できない。大統領に特別な権力がある一方、実務を進めるのは首相以下政府の各省を通した官僚機構だ。政治記者などに漏れる情報や政治オブザーバーによると、大統領官邸と首相(政府)の間に協力関係がなく、各省どうしの連携もうまくいっていないらしい。危機にあたってチームワークを組むには、目標をはっきり定めて(一人でも多くの命を救うのを優先するのか、経済など他の要素を優先するのか)お互いに信頼関係がないと難しいが、ロックダウン以前も現在も、それぞれがバラバラな自分の立場からくる思惑で動き、信頼関係もないように感じられる。 また、昨日(土曜)の夜に科学者評議会がロックダウン解除にあたっての勧告を発表したが、彼らは保育園・学校は9月まで閉鎖を勧めていたことが、この発表でわかった。大統領が学校再開を5月11日に決めてしまったので、科学者たちは勧告を出したーー机を1メートル離す、同じグループ以外の生徒と接触しない、中学以上は全員マスク、頻繁に手を洗い、トイレ・洗面所を1日に何度も消毒、給食は教室でとる・・・おそらく5月11日までにそんな体制を整えるのは無理だろうが。教員組合はすでに、教育省の案(クラスを2つに分けて、先生は教室での授業とオンライン授業の両方をする)は実現不可能で、マスクや消毒ジェルなど必要な用品が整うとは考えられないので、授業再開に反対している。科学者評議会はまた、大量検査の必要性、交通機関や学校以外でも公共の場でのマスク使用などを勧告した。 ロックダウン解除プランについては今週、国民議会(各会派3人ずつだけだが)で討議し、採決することになっていたのだが、土曜の夜、4月28日(火)にフィリップ首相がプランを発表し、その後すぐ採決すると告知された。討議のために独自の解除プランを提出する予定の「屈服しないフランス」のジャン=リュック・メランションは、考える時間を与えずにすぐ採決させる強行なやり方は民主主義でないと強く抗議した。国会議員だけでなく地方自治体(地域圏、県、市町村)の長たちも、「解除の実行にあたっては我々の協力を求めるが、プランを練るのには関与させない」と嘆く。ロックダウン解除の特別担当官というのも4月初めに任命されていたが、その人は記者会見など表には出てこないし、とにかく何がどのように決められるのか不透明な状況が続くのには、本当にうんざりだ。 死亡者数22856(病院14202人 EHPAD8654人)入院者数28217(重態468 飛幡祐規(たかはたゆうき) Created by staff01. Last modified on 2020-04-30 05:48:18 Copyright: Default |