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『誰がために憲法はある』が都内の中・高で自主上映された

   報告 笠原眞弓


*(C)「誰がために憲法はある」製作運動体

 12月14日、井上淳一監督作品で渡辺美佐子さん主演の映画『誰がために憲法はある』(写真)の上映とトークが、都内の武蔵中学・高校であった。

 この映画は、前半は松元ヒロの『憲法くん』を渡辺美佐子さんが朗読。その後、渡辺さんたちの演劇活動、原爆の朗読劇『夏の雲は忘れない』が今年で終演するので、それを中心に据えて、参加女優へのインタビューや上演会での朗読場面を映していく。加えて、この朗読劇を創る動機となった渡辺さんの小学生時代の同級生にまつわる物語で構成されているちょっと“不思議”な映画だ。

 『夏の雲は忘れない』は、2007年秋の地人会の解散に伴って終演した『この子たちの夏』を新たに引き継ぐものとして2008年に渡辺美佐子ほか、女優たち18人ではじめた。

 憲法の映画を作ろうと模索しているときに、手に入れた自民党の改憲草案。これをパロディー化しようとしたが躊躇があり、結局今のような形になっていったという。

 『誰がために憲法はある』は、去る12月7日の「平和・協同ジャーナリスト基金賞」の奨励賞を受けた作品である。その贈呈式後の交流会で14日の上映会を知り、お願いして参加させてもらった。会場は、武蔵中学・高校の教室である。生徒と父兄を対象とした上映会にもぐりこんだわけだが、主催の方もこころよく許してくださった。感謝である。

 さて、上映後のトークの前に会場を見渡すと、中学生らしき生徒が結構見受けられる。つい、インタビューしたくなる私。突然おばさんに声をかけられても、はきはきと答える生徒たち。先生のインフォメーションがあったので見に来たと。中三、高校生もいますと、かたまりを指さしてくれた。30人はいただろうか。首に縄をつけて引っ張って来ても、なかなかこのような映画は見ない年齢である。自主的に見てくれるなんて、涙が出る。

 この朗読劇は、広島・長崎への原爆投下前後のことだが、圧巻は子どもたちの最期の言葉。多くの子供たちがその言葉もなく亡くなったので、残っているのはわずか。中でも一番多いのが「お母ちゃん」であり。次が「天皇陛下万歳、お母ちゃん万歳」。疑いようもない当時の時代が現れている。生徒らは感動したと言うので、自分たちで調べて上演してみたらとちょっと無責任に提案すると頷く彼ら。素直な生徒たち。ところで、な、なんと、最後に渡辺さんが、台本を先生に差し上げていた。彼らは上演するかもと、嬉しくなる!

 井上さん、渡辺さんそれぞれのトークの後の質疑でも、中学生の「あいちトリエンナーレ」と「しんゆり映画祭」の『主戦場』上映中止に抗議して井上さんが上映予定だった『止められるか、俺たちを』の上映を取り下げたことを踏まえ(最終的に『主戦場』の上映が決まり、井上さんの映画も上映された)、表現の自由の現状などについての質問もあって、よく調べてきていると、驚く。

 この会場で、同じ空気、同じ時間を共有できたことが、本当にうれしい。「生きていてよかった」なんて、平凡だけど、思ってしまう。いい上映会だった!! あちこちで上映会してほしいと思いう。


Created by staff01. Last modified on 2019-12-18 22:25:02 Copyright: Default

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