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トヨタのサプライチェーン「ナンブ・インドネシア」で27人が解雇遠野はるひ(横浜アクションリサーチ)
4月2日の深夜、インドネシアの労組・SEDARからメールが届いた。「今日、委員長、副委員長、書記長を含む、ナンブ・インドネシア(Nanbu Plastics Indonesia)の労組・SEBUMIのメンバー27人が解雇された。ナンブ・インドネシアで起きた労災と非正規雇用問題を訴え、トヨタ・インドネシア(TMMIN)へ抗議行動をした報復だろう。」 ●事件の発端は契約労働者の労災 ナンブ・インドネシアは、2010年に南部化成の子会社として、自動車関連の日本企業が集積していているブカシに設立。プラスチック製品の自動車部品を製造し、製品をトヨタ関連工場に納入しているトヨタのサプライチェーンである。ナンブ・インドネシアの従業員は約600人でその約半数が契約労働者であり女性が多い。ちなみに、南部化成は2015年10月には全株式が日清紡グループに譲渡され、日清紡の傘下の子会社となっている。 事件は2016年9月にさかのぼる。9月26日、契約女性労働者、アティカはプレス機械で右手中指の先を切断した。すぐに手当てをすれば接合できたはずだが、アティカは8ゕ月働いていたにもかかわらず、健康保険のBPJSKカードが支給されていなかったために、病院に行くことができなかった。健康保険の手続きが終わり治療を受けることができたのは19時間後、冷蔵庫に保管されていた指先は元にもどることはなかった。 その後、指先の切断面を覆うように爪が生えてきて出血するようになった(写真)。2017年の中頃のことだ。医師は指の傷は治癒し爪は生えることがないと説明したが、2017年12月、別の医師は右手中指の第一関節を切断しなければならないと診断した。 ●労組による交渉、行動、そして解雇 ナンブ・インドネシアには、2013年に設立された労組、SEBUMI(ファイサル・アル・ラフマット委員長)がある。SEBUMIと関係組織SEDARは、アティカの労災対応とアティカを含む9人の契約労働者の正規労働者への身分変更を要求して、2018年1月10日に会社との交渉をスタートさせた。労組は、労働法に基づいて、会社は労災の被災者を正規労働者にしなければならない、また、労働法の規定条件をみたしている契約労働者を正規労働者へと身分変更しなければならないと主張したが、会社はこの要求を拒否した。 SEBUMIの要求の背景には、労働者保護に手厚いインドネシア労働法と国民皆保険の存在がある。2003年に発布されたインドネシア労働法では、有期契約を結べる業務は限定され、業務ごとに年限が2年から5年と規定されており、それを超えると正規雇用にしなくてはならないと明記されているのだ。また、2014年から国民皆保険を導入している。 交渉は1月17日に2回目、1月19日に3回目と実施されたが、会社は要求を拒み続けただけでなく、19日にはアティカと5人の契約労働者を契約期間が終了したという理由で解雇した。SEBUMIはBPJSK(労務保障機関)にもアティカの治療継続に責任をとるように要求し、2月13日にはカラワンにある地域労働監督署、3月1日にはブカシにあるBPJSK の地域事務所前で抗議行動をおこなった。
3月8日、SEBUMI とSEDARのメンバー300人は、北ジャカルタ、スンターのトヨタ工場前で抗議行動を行い、トヨタのサプライチェーンであるナンブ・インドネシアでおきている労災と解雇問題へ社会的責任をとるように訴えた。 今送られてきた情報によると、今日ナンブ・インドネシアは新たに61人の組合員を解雇し、解雇通知を送ってきた。通知によれば、解雇理由は会社の顧客へデモをおこない、会社の名誉を傷つけたということだ。会社は工場の警備を軍人に依頼している。 Created by staff01. Last modified on 2018-04-04 00:17:14 Copyright: Default |