「あなたは関係ない」に怒りのスイッチ〜渡辺照子さんの出社闘争 | |||||||
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「あなたは関係ない」に怒りのスイッチ〜渡辺照子さんの出社闘争依 草太(レイバーネット報道部)*電話で会社と話す渡辺照子さん。左は関根書記長 昨年12月に、派遣労働者・渡辺照子さんの最後の出勤の様子がレイバーネットのホームページで紹介された。その記事を引用したハフポストの記事がyahooニュースや2ちゃんねるなどにも掲載され、yahooニュースの国内アクセスランキングでは一時トップとなり、コメントは2018年1月4日現在で7600件を超えている。肯定的な意見から否定的な意見までさまざまなコメントが並んでいる。脳科学者の茂木健一郎さんや新潟県の米山隆一知事もツイッターで触れるなど、大きな反響となっている。このような広がりを呼んだのは、渡辺さんと同じような境遇にいる人が多くいるからではないだろうか。
2017年12月末で契約を打ち切られ雇止めとなった渡辺さんは、一方的な解雇に納得ができず、雇止めが決まったあと加入した個人加盟の労働組合、派遣ユニオンの関根秀一郎さん(書記長)とともに、3か月更新を繰り返しながら約17年働いてきた、株式会社「地球科学総合研究所」へ出社することにした。すでに派遣元会社の「パーソルテンプスタッフ」とは2回の話し合いをもったが、「雇止めの理由は予算上の関係で仕事がなくなった」というだけで納得できる説明はなかった。 1月4日午前9時前、最寄り駅の地下鉄「茗荷谷」駅に現れた渡辺さんはとても不安そうな表情を浮かべていた。「100人の前で急にスピーチを求められたことがあるが、それでは全然緊張しなかったのに、今日は人生で1番と言えるくらい緊張する」と話しながら、何度も胸に手を当てて鼓動を確認する姿が印象的であった(写真上)。駅から会社へ向かう途中にも、後ろに大きく手を広げ体をほぐしている姿から、緊張が伝わってきた。 会社に着くと、今までなら入館カードをドアの壁にタッチし、ドアのロックを解除してそのまま1階の職場に行っていたが、今回は雇止めとなり入館カードを持っていないため、エレベーターで4階の受付に向かった。受付の内線電話で出社の理由をI総務部長に話す。しかし、I部長は「すでに派遣元との契約が切れたため渡辺さんとはなんの関係もない」の一点張り。「これ以上アプローチをすると契約上のトラブルということで警察を呼ぶ」とまで言った。渡辺さんは「私と地球科学総合研究所とは何の関係もなかったと、雇用関係がなければなんの責任もないということなんですね。派遣会社との関係がなければ私が16年8か月勤めていても関係ないんですね」と電話越しで話すが、それに対しても「派遣元との契約が終了したため何の関係もない」の繰り返しで一方的に電話が切られた。 しかし、派遣ユニオンの関根さんは再度電話をして、団体交渉申し入れ書の受理を穏やかな口調で求めた。I部長は最初は拒否していたが、関根さんが「このまま団交申し入れを完全に拒否すると、ユニオンとしては御社に対して労働争議権を行使し抗議行動などを開始さぜるを得なくなります」と言うと、I部長の対応が微妙に変化した。しばらく間があったあと「派遣会社と弁護士が同席するなら話し合いを考えないこともない」とトーンダウンしたのだ。最後は女性社員が「I部長は会議が入っているためこれ以上対応することができない、団体交渉申し入れ書も受理できない」と直接伝えにきて終了した。やりとりの間中、渡辺さんは怒りに震え両手を強く握りしめていたのが印象的だった。結局、ユニオン側は団交申し入れ書を郵送することにした。 こうして「出社闘争」は15分ほどで終わった。会社の外に出ると渡辺さんは、さばさばとした表情になっていた。「何年働いていようが派遣は関係ない、派遣会社と契約しているだけで渡辺とは契約していないって言われた。派遣は、人格も存在も認められていない。ひどい制度だ。ここまで人間を愚弄した話はない。17年間、月曜から金曜まで働き、土日出勤や夜遅くまで働いたこともある。その人間を派遣という一点で、面と向かって“お前は関係ない”とよく言える。ますます闘志をかき立てられた。スイッチが入ったよ」。そして「ユニオンってすごいね。個人で言ってもどうにもならないけどユニオンはちがう。社会的強さを感じた」と。 雇止めにあった渡辺さんの事例は氷山の一角だろう。3月には法律の施行が迫っており、「無期転換逃れ」の雇止めが広がっている。渡辺さんは、そうしたたくさん人々と手を携えて進みたいという。派遣労働者・渡辺照子さんの闘いはこれからだ。 <解説 : 「無期転換逃れ」について> ●関連サイト Created by staff01. Last modified on 2018-01-05 22:01:11 Copyright: Default |