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平和の名を冠する戦争法案を許さない〜清水雅彦・日体大教授

                    林田英明

 6月3日に出された「安保関連法案の廃案を求める憲法研究者の声明」呼びかけ人の清水雅彦・日本体育大教授(49)を招いた講演が21日、福岡市であり、180人が聴き入った。連帯集会実行委員会主催。

 最初に清水さんは、与野党が推薦した憲法学者が3人とも「安保法制は違憲」とした衆院憲法審査会を挙げ、「憲法学界も保守化して自衛隊合憲論も増えているが、それでもこの安保法案には立憲主義の立場から反対している」と内情を伝えた。

 尖閣諸島の防衛を念頭に安倍晋三首相が閣議決定だけで自衛隊を出動させようとするのは中国軍との衝突を呼びかねず完全否定し、警察と海上保安庁の活用を推したうえで「緊張状態をつくった安倍首相こそ政権を退いたほうが緊張緩和につながる」と続けた。

●集団的自衛権の変質

 当初、考えられていた集団的自衛権は、軍事大国ではない国が同盟国に助けてもらうものだった。しかし、今は大国が小国に攻め込む時に悪用されていると清水さんは説いてPKO(国連平和維持活動)の変質も問題にする。PKO協力法の改正案で治安維持業務も加わったため、民生支援に限らなくなった。武力衝突の局面が近くなり、ISAF(国際治安支援部隊)にも自衛隊が加担しかねないと危惧する。「米国の戦争に巻き込まれることは絶対にない」をはじめとする安倍首相の根拠なき発言を「ウソをついているのか無知なのか」と当惑しながら批判するのも理解できる。

 憲法空洞化の動きに、ではどう対処したらいいのか。まだ死んでいないこの憲法の、実はラジカルな側面に光を当てる。戦争のない状態を目指す9条だけでなく、差別や貧困のない状況をも全世界に追求する前文の意義を強調して、それこそが本当の意味での積極的平和だとした。「米国の対テロ戦争に協力すれば自衛隊員が他国民を殺し、また殺されることになり、国内にもテロを呼んでしまう。日本に求められているのは、戦争に協力せず平和主義に徹することだ」と清水さんは繰り返す。

●自己規制はねのけよ

 そして自己規制をはねのける勇気の一歩を促した。日体大の理事長は松浪健四郎・自民党元衆院議員であり、教員の行動の記事はPDFで学内に回覧されるが、これまで一度も制約を受けたことはないという。権力からの圧力を忖度して無用に自己規制する風潮が強まっている。波風を立てまいと、最初から闘いを放棄してはいないか――清水さんのメッセージは、そのように会場に広がった。

 軍隊のない国は世界に27。日本が28番目の国になれるのか。清水さんの言う通り「優等国からわざわざレベルダウンして『普通の国』になることはない」と思う。米国を筆頭とする「普通の国」のやっていることが何かを考えれば。政治は国会だけで決まるものではない。平和の名を冠する戦争法案を許さない、党派を超えた大同団結を清水さんは強く望む。冒頭に挙げた声明への賛同は230人を超え、今も少しずつ増えている。

*写真=共著を手に集団的自衛権を伴う安保法案を否定する清水雅彦さん


Created by staff01. Last modified on 2015-06-25 01:41:53 Copyright: Default

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