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イアン監督・井戸川元双葉町長大いに語る〜8月6日『A2-B-C』上映会

                        堀切さとみ

 広島に原爆が投下された八月六日。福島の子どもたちを記録した『A2-B-C』 が志木市で上映された(主催は「武蔵野市民学校」)。昼、夜二回の上映後、イアン・トーマス・アッシュ監督(写真右)は「僕のトークよりも、皆さんから質問して」と言い、次々と出てくる質問にユーモアを交えながら応えた。

 「前から観たいと思っていた」と、元双葉町長の井戸川克隆さん(写真左)も参加。イアン監督が『美味しんぼ』のことをたずねると、井戸川さんは、「誰もやらない福島の子どもたちの疫学調査をしたという裏付けがあるのに、私の話は全部クローズされてきた。でも漫画が叩かれることで事実を伝えることができた」。

 『A2-B-C』も当初、日本での上映は難しいだろうと思っていたとイアン監督は明かす。「ある週刊誌(『アサヒ芸能』)が、この映画は嘘ばっかりだと書いてくれたおかげで、ポレポレ東中野は連日満員になった」という話に会場から笑いがおこるが、井戸川さんは「事実をそのまま映画にしているのに、圧力をかけられること自体が社会問題だ。世の中を二分する内容は良くないといって公共施設が拒否するということもあるが、それこそ福島県人を差別化しているのではないか」と問いかけた。

 イアン監督は「先輩から『こういう映画はやっちゃいけない。放射能のせいだという証拠がない。不安をあおるだけだ』と言われた。でもそれは違う。わからないからこそやらなきゃならない」「チェルノブイリだって28年たっても まだわからないことが沢山ある。わかるまで子どもたちはずっと放射能を浴び続けなければならないのか。後になって『もっと努力するべきだった』というより『子どもたちを守りすぎた』というくらいの方がいい」と力をこめた。

 「アメリカ人だから本音が撮れたのでは」という質問に対して「僕がたとえ何人だとしても、これに近いものは撮れたと思う。なぜなら人間として付き合っているから。本音が引き出せないのは、言いたいことがたくさんあるのに言わせないリポーターのせいだ」と語った。

 どんな支援ができるかという問いには「福島の人が求めているのは、正しい情報。それなくしておカネがいくらあっても、何に使っていいかわからないだろう」と答えた。

 2000年に日本で暮らし始めたイアン監督。3・11が起きて、逃げるわけにはいかないと思ったという。「福島を撮りたくな いし考えたくない。でも撮らなければ、考えなければならないと思った。まったく関係 ない仕事をしながら、この映画を撮った。自由を売るくらいなら、売れなくてもいい」。

★イアン・トーマス・アッシュのブログ
http://bit.ly/1pFdoWE


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