「大阪泉南アスベスト裁判」三度、国を断罪〜国は非情な上告 | |||||||
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「大阪・泉南アスベスト裁判」三度、国を断罪〜国は非情な上告報告=西中誠一郎昨年12月25日「大阪・泉南アスベスト国賠訴訟」(第二陣:原告58人 被害者33人)で、大阪高等裁判所(民事13部 山下郁夫裁判長)は、政府の違法性を認定したが、国側は不服として1月7日に最高裁判所に上告した。これを受けて、同日午後、原告と弁護団は国への抗議と、全面的な早期の政治的解決を求める記者会見を、厚生労働省の記者クラブで行った。
12月25日の大阪高裁判決は、石綿被害についての国の責任の重大性を明確に指摘した画期的なものだった。労働大臣(当時)の責任を昭和30年代にまで遡り、昭和46年以降の規制強化の不行使に対する違法性も厳しく問いただし、「使用者の労働者に対する安全配慮義務とは別個独立であり、被害者に対する直接の責任」とし、「全損害の2分の1を限度として賠償すべき義務がある」という内容で、国に対して総額3億4474万円の支払いを命じた。 一方2011年8月に下された第一陣(原告34人 被害者26人)の大阪高裁判決(三浦潤裁判長)は「労働者の命や健康よりも産業発展が優先する。石綿の有用性のためには犠牲になってもやむを得ない」とし、国の違法性を2度に渡って認定した大阪地裁判決を否定する内容だった。 この相反する二つの大阪高裁判決を受け、田村憲久厚生労働大臣は1月7日午前の閣議後記者会見で「第1陣と第2陣の同じ高裁での判決があまりに違うので、上訴をせざるを得ない」と述べ、同日午後、最高裁へ上告の手続きをとった。 これに対し、原告弁護団副団長の村松昭夫弁護士は7日の記者会見の冒頭で、落胆と怒りを露にした。「国はまだ第一陣の高裁判決にすがって上告するのか?一陣判決が異常だったのだから、今回の判決を受けて厚労省は考えを改めるべき。何の道義もない不当な上告だ。2006年の提訴以降、第一陣、第二陣の原告被害者はすでに13人が亡くなっている。一刻も早い政治的な全面解決が必要。たとえ上告しても厚労省は本来の責任に立ち返って、自らの責任で問題解決することを求め続けたい。国の不当上告への抗議と、被害者全員の救済を求めて、明日、我々も上告します」
続いて4人の原告や家族が、無念さと政治的な早期の全面解決を切実に訴えた。原告の一人、南和子さんは「国の不当上告は本当に残念です。これまで8年近く、原告は一生懸命訴え続けてきました。一端吸い込んだ石綿は取り出すことができない。肺機能を犯され、本当に辛い体を押しながら上京しました。12月25日の大阪高裁では良い判決を頂いて少し喜んだのも束の間、政府の判断に怒りを感じます。どうしても国の上告には納得がいかない。原告がまだまだ沢山苦しんでいる。国民の命と健康を守るべき厚労省や大臣が私たちのことを考えてくれない悔しさと情けなさが、一気に身に滲みます。本当に怒り心頭させております」
慢性的な激しい咳き込みで苦しむ父•井上國雄さんの介護の辛さを訴える男性(藤本幸司さん)や、35年間石綿原料を運ぶ仕事をして喀血を繰り返し60歳で息絶えた夫の苦しみを背負い続ける女性(満田より子さん)。満田さんは「人の命の重みを分かって欲しい。皆本当に苦しんできた。国はきちんと謝罪してくれると思った。なぜ上告したのか?厚労大臣に面会して直接聞いてみたい」と訴えた。夫が石綿工場の事業主だった湖山幸子さんは「裁判で勝ったとしても亡くなった方は戻りません。でも無念な死を迎えた方のためにも、私たちにできることを力を合わせてとにかくやろうやないかと。大臣は目の前の私たちの現実を見て考えて欲しい。たくさんの方に応援して頂きながら、一日も早い解決を求めたい」と語った。
第二陣の大阪高裁判決が出た12月25日以降、東京でも大規模な院内集会や要請行動が行われ、上告の断念と政治決着を求めて与野党の国会議員たちも相次いで田村厚労大臣に面会した。しかし政府の回答は、原告被害者にとってあまりにも非情な「上告」だった。 弁護団長の芝原明夫弁護士は「今回が4回目の判決で、総決算的な高裁判決だった。第一陣の不当な高裁判決を踏まえた上での判決だったと思う。高裁判決が違い過ぎるから上告、という理由はあまりにも形式的で中身がない。非人道的だ。これから最高裁に舞台は移るが、早期解決という原告の切なる願いに変わりはない。今まで通り運動を進めて世論を盛り上げ、政治的に最終的な全面解決を図っていきたいと思います」と決意を新たにした。 明治以降100年に渡り、全国一のアスベスト産業の集積地だった大阪泉南地域のアスベスト裁判は、史上最大規模の産業災害とも言われる日本全国のアスベスト被害を問う原点であり、国の加害責任を問う出発点でもある。 【参考】『大阪泉南アスベスト 国家賠償訴訟を勝たせる会』 Created by staff01. Last modified on 2014-01-11 11:51:20 Copyright: Default |